壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

画家・翠川 真 

2008年01月24日 21時51分57秒 | Weblog
 体調が、ようやく戻ったようだ。
 「美術館・画廊めぐり」の虫が、騒ぎ始めている。
 急性腸炎のため、予定が狂ってしまった。ヨシ、今日は画廊宮坂だ。

 そう心に決めて、篠笛の練習をする。
 まず笛をあたためる。寒いと笛も音を出してくれないのだ。
 「赤とんぼ」、「竹田の子守唄」、「浜辺の歌」、「コンドルは飛んでゆく」と練習を進める。
 「コンドルは飛んでゆく」が、一番難しい。歌えないからであろう。なにしろこの曲は、路上パフォーマンスでしか聞いたことがないのだ。

 昼食後、銀座へ。9日ぶりだ。
 画廊宮坂で、「翠川 真」展を観る。
 入口のところから、全作品を見渡す。すがすがしい“気”が流れている。
 つぎに一点ずつ、じっくりと観させていただく。
 また、全体を見渡してから、気になる作品をもう一度観る。

 翠川 真さんは、1965年、長野県生れ、東京芸大大学院修了の若手画家で、デザイン会社の社長でもある。
 さて、肝心な作品であるが、簡単に言うと、金箔の上に押花をのせたもの、木の葉に金箔をのせ葉脈を浮立たせたもの、と二通りある。もちろん絵具も用いている。
 やがて朽ち果ててゆく花びらや葉に、永遠の命を与えているのだ、金箔を用いて。
 おそらく、“母なる自然”と一体化することを望んでいるのであろう。

 どの作品にもいえるのだが、観ているだけで、優雅でリッチな気分になる。
 アルコール過敏症の私は、コーヒーをいただきながらリッチな気分に浸れたが、ワインなら最高では?
 優雅な気分になれるのは、作品から音楽が聴こえてくるからではないか。最初は気づかなかったのだが、題名はすべて音楽用語。
 「プレリュード」「アリア」「メヌエット」「オラトリオ」「モデラート」「コラール」「トレモロ」「カンタービレ」「カデンツア」など…。

 技術的なことはわからないが、“大変な仕事”を、いとも簡単にやってのけた、と見えるところが実にすごい。金箔をこれほど自在に操るのは、至難の業だ。それを鑑賞者に強いないのも、潔く、気持ちがよい。これは作家の人間性であろう。

 翠川さんの“画道”も、片岡球子さんと同じく“我道”ではなかろうか。つまり、独自性があるということ。あとは完成度だけだ。
 道は見えているのだが、しっかりと定まってはいない、宇宙遊泳の状態と、ご本人は思っているかもしれない。
 自分の心持を託すのに最適な花を見つけ、世界中にもない、自分自身の花を咲かせるよう、更なる研鑽を積み、より完成度を高めて欲しい。

 かなりの作品が、売約済になっているのは、まことに喜ばしい。
 残っている作品で特に好きなのは、「アリア4」と「プレリュード6」。
 この2点は絶対のおすすめだ。持っていても、値上がりは望めないが、生涯、心豊かに、優雅でリッチな気分でいられることは請合う。
 また、懐が豊かな方には、「カデンツア」がおすすめ。

 26日(土)午後5時まで、開催中。
 詳しくは、画廊宮坂のホームページを、ご覧願いたい。


      絵のなかの葉っぱにひそむ春の歌     季 己