こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
看護師さんも募集中!!

あっちこっちで・・

2012-01-11 23:27:50 | 訪問看護、緩和ケア
年末年始で患者さんとのお別れが続いて、今は少し空きが出ています。
でも、研修などが重なって、スタッフの動きも複雑になっているために、やたら新患さんを受け入れるのも慎重になります。

そんななかでも、患者さんは刻一刻と変化しています。

最後まで看るのは無理。最後はホスピスで・・・
と言っていたご家族が、「ここまで家で看たのだから、最後までみたいと思う。」と言ってくださいました。
Aさんは、ここ数日で黄疸が進み、意識レベルも下がってきています。
肝性昏睡の始まりでしょうか。
傾眠状態となっていますが、呼べばうなづいたり、いやいやをしたりする状態です。

とても自律の強い方で、ずっと気丈に自分で何でもされていました。
でも、さすがに今日は動ける状態ではなくなってきました。
それでも、多くの人が望むように、オムツは拒否され、今朝は夫に抱きかかえられながらトイレにも行きました。
訪問した時には無呼吸も出ていて、時々起こして欲しいと言っては、うずくまるような姿勢をとるとご家族は言います。
前かがみに蹲るような姿勢を、蹲踞(そんきょ)といいます。
きっと、上を向いていることが苦しくて、前かがみになることで、横隔膜も下げてお腹の緊張も緩めて、息苦しさを緩和しているのだと思います。

「だるい?」頷きます。
「少し、息苦しい?」一度はうなづいたものの、そのあとは首を振ります。
「痛みは?」首を振ります。
けれど、表情は曇っていて、呼吸も乱れています。

私たちは、よく辛くても辛いと言わない患者さんに出会います。

多くは、ご家族が辛くなったら、最後は病院で。という患者さんによく見られます。

苦しがったり痛がったりすると、ご家族がもう見れなくなったと思い、入院になってしまう事が嫌で、我慢してしまう事が多いのです。

患者さんから離れ、ご主人と娘さんにお別れが近いことをお伝えし、これからどうされますか?と聞くと、「最後まで、ここで。」と言ってくれたのです。

あとで、ご家族から「入院はしなくていいから、我慢せずに辛い時や苦しい時は言っていいよ。」そう言ってあげてくださいね。と伝えて帰りました。

きっと、これからもっと深くもっと長い眠りに入っていかれると思います。
苦しさや、痛みが少しでも減って、ご家族との時間が穏やかであるように祈ります。


昼から区役所での認定審査会があり、早めに行って区役所前の小さなレストランで、一人で昼食をとりました。
ここは、1年前にオープンした小さなかわいいお店です。
一件そうとは気づかないようなたたずまいですが、最近は女性のお客さんが結構入っています。

お昼のランチプレート980円。

今日は、こめこ鳥のトマトソースランチプレートにしました。

 
サラダと、野菜もたっぷりでとっても美味しいです。
マカデミアナッツ風味のコーヒーもついてきます。

認定審査会が終わり、区役所の階段を下りながらふと下を見ると、「
人間かと思ったら、訓練用の人形でした~。
           
一瞬ギクッとしましたが、消防士さんは日夜訓練しているんですね。
ご苦労様です。

そこから患者さんの家まで車を走らせていると、今度はいきなり目の前にブタさんが・・。




しかも、かなり賑やかにブイブイ言ってます。(^^)v

やはり他人とは思えない懐かしさが・・。
信号が変わって去っていくブタさんを、残念な感じで見送りました。
やっぱり、お肉になっちゃうんでしょうね。


あちこちで、そんな風景に出会えるのも、訪問看護の楽しみです。

明日も、おもしろいものが見れるといいな~。

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (ちさ)
2012-02-11 00:51:51
いつも拝見しています。
先月、自宅で子宮がんが肝臓に転移した母を
在宅でみてました。
苦しみがでたら24時間対応しているし麻薬も使えると聞いて安心していましたが、激痛が夜間の休日に出たので連絡すると麻薬が往診医の診療所にもあまりなくて薬局もしまってるし出せないとの話でした。聞いていた話と違うと思いました。最後の最後にそんなことを言われて家で看取る予定だしたが病院に運び
数時間後に亡くなりました。
やはり在宅ではそういうこともよく
ある話なんでしょうか?
こんなことをいきなり聞いてすみません。。
返信する
クリニックによってだと思います。 (こぶた部屋の住人)
2012-02-11 02:04:07
うちで連携しているクリニックでは、あまり考えられないのですが、そういう体制のクリニックもまだまだ多いのかもしれません。

通常、終末期の患者さんには、予測指示を出しますので、その中にはレスキューが処方されていて、もちろん麻薬のお薬もかなり早い段階でご自宅に置いておきます。

また、それまで麻薬を使っていなくて、そんなに痛くなるのは、何か身体のなかで不測の事態が起こったのかもしれません。

いずれにせよ、せっかくの思いが通じずに悲しい思いをされてしまいましたね。


ただ、病気は本当に人それぞれ、違う経過をたどりますし、中には大量のモルヒネでしか抑えられない痛みもあることは事実です。

在宅では、事前の病状観察や予測がすごく大切で、訪問看護や往診医の方針にも大きき左右されてしまいますね。

でもぎりぎりまでお家にいられ、娘さんにずっとそばにいてもらった事には変わりまりません。
どうか、あまり悔やまないでくださいね。
返信する
ありがとうございます (ちさ)
2012-02-22 00:19:26
早急にコメントをいただいたのに
お返事が遅くなり申し訳ありません。

やはりクリニックによるんですね。
あの日は麻薬のレスキューを家に準備をしていただいていたので、電話して医師と相談しすぐに飲ませました。
初めは効いていたけどだんだん効かなくなり
薬もなくなり、夜中だったのでとても困り不安になりました。
看護師さんに連絡すると薬を持ってきてくださるということで1時間半待っていたけど、来なくて連絡すると今は薬がないので無理ですよ。
明日の朝になるとのことで、なるべく苦しくないようにとの私の思いが伝わらず悲しい思いをしました。その後搬送を決めました。

今では不測の事態が起こったのだと思えますが看護師さんと思いが通じあえなかったことに悔いが残ります。

でも親身な回答をいただき心が晴れました。ありがとうございます!

返信する
レスキューも (こぶた部屋の住人)
2012-02-22 22:59:30
飲み薬一つではなくて、これは30分おきに何度でも、それでも効かなければ子の座薬、とかこれとこれを合わせて、とかバリエーションがあるので、そこまでの対応があるか無いかは大きいですね。
また、クリニックには、多少の薬のストックもあるので、朝まで何の連絡もなくがまんさせたとしたら残念です。
もう少し、状態の変化や、起りうることの予測についての説明があれば、違っていたのかもしれません。
不測の事態だったとしても、日々の関係を強くしなければと思いました。
返信する

コメントを投稿