こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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『長寿社会と延命治療』中島一光先生 続き

2012-09-20 21:41:49 | 訪問看護、緩和ケア
一昨日の続きですが・・・

寿命を延ばすことから、最後の時を自分で選ぶ、死の質を向上させることに人々の関心はシフトしていきます。

もし、家庭の環境や在宅での支援が整えば、自宅で死にたいと思う人の割合が大きく増えていきます。

終末期医療に関する国の指針

・最も重要な原則
 患者本人の意思決定を基本にする。
・医師の独断を避けるため
 医師や看護師、ソーシャルワーカーらで作る「医療・ケアチーム」で対応
・患者の意思が不明なときは、
 家族と話し合い、患者にとって最善の治療方針を取る。

なるほど、これは原則ですね。

「情報共有と合意」
による、終末期の自己決定が提案されたわけです。


近年、胃瘻を巡って喧々諤々いろんな意見がありますよね。
とみに、最近では胃瘻に関して否定的な意見も多いと思います。

でも、こればかりは一概に良い悪いを判断はできませんし、それぞれメリットデメリットがありますから、それこそよく話し合うこと、本人の意思を尊重することが必要になります。
ただ、本人の意思を確認できないケースが多いので、よけい悩むわけです。

日本老年医学会の「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン」には、この胃瘻、経管栄養に関するフローチャートがダウンロードできるようになっているそうです。

とはいえ、その人の生きてきた過程や、健常時のものの考え方などを、家族とともに推測したり振り返ったりしながら、医療者を交えて考えていけば、その方向は決まってくると思います。
なんかこう、素直に考えて家族ならわかることってあるんじゃないかな・・と思ったりして。

そしてリビングウィル。
日本尊厳死協会の「尊厳死の宣言書」
・延命の措置をは断る。
・苦痛を取る処置はできるだけしてほしい。
米国の「事前指示書」は、さらに進んでいるようです。
・延命治療について選択としての意思表示
・意識がなくなった後の代理人の指名
Advance Care Planning

アメリカのaging with dignityの五つの願いというものがあります。

願い1から5まであります。
アメリカでは州によって法律が違いますから、適応されるかどうかも書いてあります。
ただ、日本においても意思表示としては活用できるのではないでしょうか。

日本では、いくら元気なときに本人が延命措置をいやだと言っていても、いざとなると「これをしなければ確実に死にます。」と言われれば、「お願いします。」と言ってしまう家族が多いと思います。(もちろん、これは誰も責められませんが。)
けれどその延長には、人工呼吸器をつけられ、チューブに繋がれた家族を前に、「これでよかったのだろうか?」「ごめんね。」そんな思いにさいなまれるご家族が多いのも事実です。

このあと、実際にNIPPV の装着を最後まで拒否し続けた患者さんと、無理やりマスクをつけることを強要した夫、その間で苦悩した医療者の事例を検討しました。

実際、NIPPV装着に関してずっと悩みながら対応している私たちとしては、どんな答えが出るか期待しましたが、やはりこれだという答えは出ませんでした。
そんなに簡単に割り切れるわけはなく、これはずっと私たちのテーマになっていくのでしょうね。

そんな感じで、改めて延命やその尊厳がどこにあるか、などを考えさせられた講演でありました。