こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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在宅の知名度、まだまだだなぁ・・。

2012-09-22 21:13:00 | 訪問看護、緩和ケア
これだけ連携連携騒いでいて、いろんな病院で地域連携会議とかやっていますが、その実、連携を意識しているのは、連携室や相談室だけで、外来の先生たちはほとんど連携なんて理解してくれていないのじゃないかと思います。

慢性期に入リ地域の病院に繋いだり、通院が難しくなって在宅の先生に繋いだりしますが、もう丸投げで「そっちに行ったらもう関係ないからね!」的な先生もいて、キャッチボールができないのに、地域連携なんて言えないじゃないかと思うことがよくあります。

病状が進んで「もう、外来に通院するのがひどく辛い。でも病院とまるきり切れるのは怖い。」
というのは患者さんみんなの思うところです。
<3か月ごとに病院には予約を取って、、間を往診の先生に管理してもらい、必要に応じて検査や入院治療が必要なときに、在宅医と連携を取って診てもらえる。そして、よくなったらまた地域に戻す。>
こういうキャッチボールが成立して初めて地域連携と言えるはずなのに、往診医を希望した途端「はいどうぞ、ごかってに。」「今度来るときは、全くの初診と同じ扱いです。」と言われてしまったりします。

こういう言われ方をすると、患者さんは凍り付いてしまいます。
「まずい、先生を怒らせた。具合が悪くなっても、もう二度とこの病院で診てもらえなくなる。」と慌てて「先生、もうちょっと頑張って通院しますから、見捨てないでください。」とすがりつくような形になって、通院で一番つらい患者さんが我慢をすることになったりまします。

それじゃあ、最後まで見てくれるのかというと、いよいよ長くなって入退院を繰り返すようになると「うちは急性期の病院だから、どこか慢性期の病院に転院してください。」とバッサリ切られたりします。

立場弱いんですよね。患者さんは。

「診て頂いている。」と思っている側と、「診てあげている。」側なんでしょうか?
おかしいですよね。そういう図式ではないはずです。

そうかとおもえば、「この病院ではもう診てあげれないけれど、絶対にホスピスに行った方がいいですよ。すぐにホスピスの入院予約を取りなさい。在宅での看取りなんて、できる状態じゃないです。肝臓が破裂するかもしれませんよ。食道の静脈瘤が破裂するかもしれませんよ。そうなったら、どうします?延命措置をしてもらえませんよ。」と主治医にこんこんと説得されたご家族がいました。
ご本人の最後まで家にいたいという思いとは裏腹に、ご家族は震え上がってしまいます。
しかも、「ロキソニンは肝機能が悪くなるから駄目です。」
「腹水穿刺在宅でできるの?カート?何それ?」

うーん。
ひどすぎる。
連携以前に、緩和ケアを勉強してほしかったりして・・。

ここ数日、そんなやり取りを目の当たりにして、いったいこれはどういうことなのかと、憤懣やるかたない思いでした。

もちろん、全部がそんな先生ばかりではなくて、きちんと患者さんの最後まで考えてくれる先生はいますし、転院するにしても在宅に繋げるにしても、ちゃんと連携の形をとってくれる先生だってたくさんいます。

同じ病院でもこんなに連携に対する意識に格差があるのは何でなのかな?と考えてしまいます。

最近、うちには某大学病院の研修医の先生が一日研修に来ます。
これは、大学の意向ではなくて、研修先の在宅クリニックの院長の考えで始まったことです。

でも、研修医の先生は、とても興味深く同行訪問をしていきます。

地域の訪問看護ステーションの動きを知ってもらう。
訪問看護が何をできるのか、何をしているのか、何を考え何を見ているのか。
たった一日でも、私たちの現場を見てもらうことは、とても意味のあることだと思います。

在宅患者の重症化が進む現在、大がかりな器械が必要なもの以外、ほとんどの医療的な処置を在宅でやっています。
人工呼吸器も腹膜透析も、ドレーンや解放創や感染症。
また反面、精神的な支援は奥が深く、日々の我慢強い対話や、行政を巻き込んでの社会的な支援も多くあります。

何故今在宅なのか、日本という国の抱える近未来の問題が、そこにはあるのだということも知ってほしいと思います。

それには、やっぱり教育なのかなぁ?
医学の勉強も大切だけど、もっと大事なことも教えてほしいと思う今日この頃です。