こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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行き場のない人々

2012-03-30 23:30:26 | 訪問看護、緩和ケア
世の中には、病院や老人施設などがたくさんあるように思えますが、実はそのどこにも行き場のない人たちがいます。
しょうがいないから、なんとか家で頑張っていても、いよいよどうにもならなくなる時が来ますが、さて、どこに繋げようかと見渡しても、帯に短したすきに長しで、途方に暮れてしまうのです。

いちばん受け入れ先が無いケースは、認知症と精神疾患と、重度の内科疾患を持っているケースです。

精神病院はあっても、重篤な内臓疾患があると、そちらを先に治してください、と言われます。
一般病院にお願いすると、「うちには精神科がないので、無理です。」もしくは「暴れたり、抵抗しませんか?そういう場合はうちでは無理です。」などと言う事になります。

だいたい、今ある精神症状が認知からきているのか、パーキンソン病などからきているのか、精神疾患から来ているのかさえはっきりしないで、これはもうたらい回しのようになってしまいます。

それでも、なんとか周囲のサポートで家で過ごしていても、次に尿閉が起こってしまい、バルンを挿入したとします。

でも、認知?があるので、自分の身体に入っている管を見て「これはなに?!誰かが私にこんなものを入れた!」と言うところから始まり、「いろんな人が家に入り込んで盗んでいく!」「お釜のご飯が全部目玉になっている。」などの幻覚の中、バルンカテーテルを自力で抜去したりするのです。

バルンカテーテルは、膀胱の中に管を入れ、先にある直径1センチほどの風船を膨らましてあります。
これを一気に引き抜くのは、ふつうかなりの勇気がいりますし、これを無理に抜くと、ひどい時は尿道を傷つけてしまいます。
先日も、自分で抜去したバルンカテの、風船が膨らんだままお風呂に浮いていました。

尿閉であるという事はすぐに忘れてしまうし、日々妄想と幻覚の中で怯えています。

結局ケアマネも看護師も、施設や病院を探し、ようやく問題行動があればすぐに返すという約束で、老健にお願いすることが出来ました。
その後には、入院の受け入れ先も決まっていたのですが、あとでまたごちゃごちゃと言ってきています。


本当は、精神科と内科があって、精神症状の治療をしながら、お体の方も治してもらえるのがいいのだけれど、こういう病院は限られていて、よほどのことがなければ入れません。

自傷、他傷があるとか、大暴れをしているとかでない限り、そういうルートが見つからないのが現状です。
こういうケースは、実は意外と多くて、在宅のサポーターやご家族は、本当に大変な思いをしています。
国レベルで、こういう心身両面をケアしてもらえる施設や病院を、作ってもらえるとうれしいのですが・・。
本当に、難しいですね。