米兵が犯人と特定されたわけではない。だが、米兵が犯人である可能性は高い。
事件は、11月7日早朝に発生した。健康づくりの為の早朝ウォーキング中の外間政和さん(66歳・読谷村)がひき逃げ事故で死亡、道路脇の雑木林で遺体となって発見された。自動車運転過失致死、道交法違反(ひき逃げ)の重大事件である。
加害車両とおぼしき車を米兵が修理工場に持ち込んだことが判明し、すでに嘉手納署が押収している。この押収したYナンバー車に付着した毛髪や血液の鑑定結果が、死亡した外間さんのものと一致したようだ。Yナンバー車両、修理依頼の米兵、当該車両に付着した被害者の毛髪と血液、もはや米兵が犯人である事実は動かし難い。
案の定、昨日(11月10日)米陸軍トリイ通信施設司令官のジェームス・ウッダード大佐が読谷村役場に安田村長を訪ね、「同基地所属の20代の軍人が事故車を運転し、修理工場に車両を持ち込んだことを認め」、謝罪した。ウッダート大佐は、身柄の引き渡しにも前向きな対応を示したようだが、身柄引き渡しが起訴前なのか起訴後なのか、現段階の報道で知る限りでは不明である。
私は、今回の事件は極めて悪質だと考える。交通事故を惹起し、救護義務や事故報告義務を尽くさず、重傷の被害者を放置して逃げている。救護義務を尽くしていれば、被害者は助かったかもしれない。事故車両をこっそり修理に出し、証拠隠滅をはかる等許し難い。事故は、公務中か公務外か不明である。ウッダート大佐は、基地内に禁足状態にあるとする。だが、禁足であって拘禁・拘束ではない。基地内での禁足では、過去に口裏合わせ、逃亡の事実もある。
現行の日米地位協定17条5項Cでは、身柄が合衆国の手中にある場合、公訴提起まで合衆国が引き続き行う(拘禁する)、と定めている。1995年の少女暴行事件後、殺人や強姦などの凶悪事件の場合、起訴前の身柄引き渡しに米側が「好意的考慮を払う」よう運用改善された。私は、当時からこのような運用改善ではダメで、公務中・公務外を問わず、原則として日本側に身柄を引き渡し、日本側の拘禁施設で拘束すべきと主張してきた。日米地位協定は、見直しや運用改善ではなく、全面的改正しかない。
今回の悪質なひき逃げ死亡事故に強い怒りを覚える。県警の適正な捜査と犯人米兵の即刻の身柄引き渡し(起訴前)を強く求めるものである。あーあー、それにしても沖縄県民は、いつまで米兵による事件・事故で苦しまねばならないのだ。