家族連れや子どもが遊ぶ公園の近くを飛ぶオスプレイ=6日午後3時前、宜野湾市愛知のいこいの市民パーク(鈴木実撮影)
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オスプレイ3機が6日、普天間飛行場に飛来し、1個中隊12機の配備が完了した。重低音を響かせ、ゆっくりと降下する機体を、周辺住民らは顔をこわばらせて見つめ、「いつ落ちてくるかわからない」と恐怖を口にした。3連休の催しでにぎわう那覇の上空も通過し、不安が広がった。1日の初飛来から、日米の安全策合意に反する飛行を繰り返すオスプレイ。「県外、海外へ持っていって」。本格的な運用を前に、住民らは怒りを募らせている。
普天間飛行場の東南に隣接する宜野湾市宜野湾区。公民館前では岩国基地から来た3機のオスプレイがアパートの間を縫うように低く降下する様子が見られた。台風で延期になった敬老会の準備に追われていた自治会長の仲村清さん(54)は「オスプレイの音は重くて、これまでのものと違う。いつ落ちるかと区民の恐怖はさらに増して計り知れない。落ち着いて行事もできない」と顔をこわばらせた。
同区は戦後、土地の大半が基地に接収された。追い出された区民が基地周辺に集落をつくり直した。宜野湾郷友会会長の宮城政一さん(68)は「苦労した先輩方のためにも、静かな平和な村を返してほしい」と嘆く。
佐喜真淳市長は公民館前で、オスプレイが普天間飛行場に向かうさまを注視した。敬老会のあいさつでは「いっぺー、でーじなとん。先輩方や市民がみんな反対している。配備はけしからんと総理大臣に直訴してきます」と決意表明。お年寄りから大きな拍手が湧き起こった。
2004年に米軍ヘリが墜落した沖国大では、ラグビー部が運動場で練習していたがプロペラ音を聞いて、選手らが動きを止めた。
主将の福永優太さん(21)は「初めて見たけど、近くをこんなに低く飛ぶんだ」。チームは来月の九州・沖縄大会でリーグ昇格を目指している。「危険が気になって、練習がたびたび中断するんじゃないか。プレーに集中しないといけないのに」と不安を口にした。
滑走路南側にあり、騒音被害が最も深刻な上大謝名区。自宅にいた国場久子さん(68)は、5分おきにヘリモードで飛んで来るオスプレイの重低音に、家族との会話を遮断された。「低く飛ばないで。私たちも辺野古の人も同じ沖縄の人間。国外に行ってくれないかね」と表情を曇らせた。
滑走路北側の新城区にある普天間中学校ではこの日、野球大会があり、大勢の子どもや父母でにぎわっていた。息子を応援していた女性(43)は「最近、母親同士でも話題はオスプレイ。練習中に落ちてしまったらと不安になる」とため息をついた。