【宜野湾】「長年、返還されない普天間飛行場をふさいだ。県民の力で、やればできる」-。普天間のメーンゲートである大山ゲートが28日、市民らの座り込みによって閉鎖された。参加者は前日の倍以上の約120人。何度も繰り返される警官隊の排除にめげず、座り込み、米軍は門の閉鎖に追い込まれた。参加者は「オスプレイで死者を出したくない。このやり方でしか、配備は止められない」と、怒りと覚悟を行動で示した。
■大山
沖縄平和運動センターなどの約120人は、警官隊にごぼう抜きにされては座り込み-を繰り返した。米軍は午前10時23分、ついにゲートを閉鎖。その後、軍用車両を基地内に入れようとして開門を試みたが、警官隊と市民が激しくもみ合い、断念した。
基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の高里鈴代さんは、フェンス内で警備する米兵に対し「私たちは標的ではない。私たちの憤りを想像してほしい」と英語で訴え。元名護市議の宮城康博さんは「全市町村議会が配備反対の意見書を可決した。議員たちはこの場所で、意見書を実行する時期だ。身近な議員に声を掛けてほしい」と、参加者に呼び掛けた。
うるま市の女性(68)は伊佐浜闘争で、屋根の上に登って抗議する人に対し、米軍ブルドーザーが突進した光景を忘れることができない。金網越しの若い軍警備員に「失業率が高いから、あなたたちの仕事は否定しない。それでもウチナーの歴史を、もっと深く知ってほしい」と語り掛けた。
激しい風雨の中、生後4カ月の娘を抱いて沖縄市から駆け付けた女性(33)は「子どもを守りたいだけ。10万人の思いを無視して、オスプレイを飛ばすなんて信じられない」とやりきれない様子だった。
■野嵩
封鎖は2日目 一時もみ合い
野嵩ゲートの封鎖は27日から2日目。午後8時半すぎ、米兵と基地従業員の警備員約10人が現れ、市民団体がゲート前に止めた車3台に違法駐車の警告書を置こうとした。「基地内に車を止めるのは違法」という通告に、市民団体の約10人が「帰れ」と叫び、一時もみ合いになった。県警車両約10台が出動した。
封鎖を知らずに車で入ろうとした米兵の1人は「オスプレイに抗議があることは知っていた。ユニークな運動だね」。別の1人は「中に住んでいるのに、どうすればいいのか」と途方に暮れていた。
■佐真下
ゲート開放 警戒強まる
【宜野湾】野嵩、大山の2ゲートが使用できなくなったことを受け、米軍は28日午前、残る佐真下ゲートを開放した。警備員や米兵が検問するなど、警戒を強めていた。近くに住む60代の男性は「10年ほどこの門が開いているのを見たことがなかった」と話していた。
普天間3ゲート 一日の動き
5:30 マスコミを含む十数人が野嵩ゲート前に。一部住民は徹夜で警戒
7:00 野嵩で県民大会実行委が3日目の抗議集会
9:38 野嵩から移動した市民ら100人超が大山ゲート前に突入し2車線を占拠
10:00 大山で警官が1回目の排除行動。市民団体からは「暴力やめろ」など怒号が飛ぶ
10:20 何年も使っていなかった佐真下ゲートが開く
10:23 混乱の中、米兵や軍警備員が大山ゲートを閉じる。「解放区をつくった」などの歓声と拍手が上がる
11:12 大山で警官が「排除、排除」の声を上げ2回目の排除行動
11:28 大山で負傷した女性が救急車で搬送
11:53 米兵と軍警備員が大山ゲートにチェーンの鍵をかけ、完全に封鎖
13:18 雨が降り始め、大山でブルーシートを屋根にしようと作業開始。フェンスにひもを結ぶのを、基地内から軍警備員が阻止
16:11 米軍と話し合うためとして山内徳信参院議員らが沖縄防衛局に野嵩に呼び出されたが、1時間近く待たされ抗議。防衛局職員は車両の撤去を求める
16:45 風雨が強くなり、市民団体メンバーが大山で今後の対応について協議
18:30 大山で市民団体リーダーが座り込み終了を告げ、解散式。暴風警報解除後の再結集を呼び掛ける