1月13日予算委員会は第二次補正予算案の審議をめぐり大混乱、与党は通常の委員会運営のルールすらすっ飛ばし、さらなる審議を求める野党の声も無視して、強行採決にひた走りました。
国民の7割以上が「支給の中止をすべし」と考える2兆円の給付金を含む第2次補正予算案に対して6日、民主・社民・国民新党の三党で、この2兆円の給付金を削除せよという修正案を出しました。与党はこれを一考だにせず、給付ありきの姿勢を改めることはなかったのです。
当日の委員会でも、理事会であらかじめ賛成反対討論の有無を各党に聞かずに議事を進め強行採決に及んだため、社民党として反対討論をすることが出来ませんでした。まさに前代未聞の事態です。
これまでの政権でも強行採決などの強引な議会運営は数々ありましたが、ここにきて国民の支持を大きく失った政権は、自分達の政策がどんなに不評であっても、「これしかない、やるしかない」と突っ込んでいきました。政権としては末期的、そして議会制民主主義の体裁を整えることすら放棄しました。
引き続く本会議でも与党は多数で法案は通過させましたが、野党が多数の参議院ではそうはいきません。
政治に知恵がなくなり、国民のための妥協を忘れ、硬直した政策を振りかざす政府・与党には、一日も早い政権交代を求めなくてはなりません。
以下、幻となった私の反対討論を記します。
私は社会民主党・市民連合を代表して、平成20年度補正予算(第2号)(特第2号)(機第2号)に対する反対討論および、平成20年度補正予算(第2号)(特第2号)に対する両修正案に対する賛成討論を行います。
この10年の間に定額減税、定率減税、地域振興券など何度か減税、給付金の政策が実施されましたが、納めた税金が国から戻されるあるいは給付を受けるという当然の権利に対して、今回のように7割以上の国民から異論が噴出したものはなかったのではないでしょうか。支持率が20パーセントを割った政権によるこの給付金については、別途国民の意を汲んだ用途をしっかりと議論に付すべきで、そのために野党三党で修正案を提出しました。
そもそも定額給付金は、中低所得者に対する減税として提案された定額減税が、納税をしていない低所得者層にも拡大するようにという配慮に立ったものといわれます。しかし、そのために825億の事務費を使い、またその業務を担う自治体には多大な負担をかけ、加えてややこしい手続きゆえに、本当にそれを必要とするご高齢者や母子家庭、あるいはワーキングプアで住居を失った人々にはその手元に渡される保障がありません。
福祉政策としてこれらのお金をきっちり使う方がもっと有効になりますし、また経済状況の悪化から仕事と雇用のなくなった地方にも活路を開く「いのちとみどりの公共事業」に振り分けるべきです。学校や病院の耐震化、脱アスベスト、そして各小・中学校に太陽光パネルをつけるなどの使途によって、生命の安全、環境を守る、そして子ども達にも生命と環境の大切さを伝えることが同時に可能です。加えて疲弊した地方がしっかりとこの時代の危機を乗り越えるためにも、自治体の裁量権を最大限組み込むべきであります。
そして、そもそもこの2兆円をめぐる論議に予算委員会の過半の時間が割かれている間にも、世界ではイスラエルのガザ侵攻・無差別空爆による大量殺戮など、平和の危機が拡大しています。一刻も早い停戦に向けた日本の努力が問われます。また経済悪化に対しても世界各国で思い切った財政出動が行われていますが、その中軸には明確にエネルギー構造の転換、石油依存から再生可能エネルギーへの転換が掲げられています。その上に立ったグリーンニューディールでもあります。
我が国でも政治が明確にこうしたメッセージを産業界も含めた国民に送る必要がありますが、それを支える制度設計として電力の国定価格買い取り制度や明確なキャプ(排出量の上限設定)を課した排出量取引などは導入されないままです。これでは時代の難局を切り抜けられるわけがありません。
このような理由から二次補正予算案から定額給付金を削除する分離修正案に賛成し、政府提案の二次補正予算案には反対します。
最後に経済情勢が急激に悪化し、中小企業の危機と雇用破壊という緊急事態に対し、今こそ政治が責任を持って事態打開のために最大限の力を注ぐ時であります。無責任な政策をダラダラと続ける麻生政権では、この国難を乗り切ることはできません。一刻も早い解散・総選挙を訴え、私の反対討論といたします。
阿部知子