すずきせいこの「日々雑感」

政治や暮らし、孫のことから平和・原発問題まで“本音でしなやかに”・・・

反骨の政治家、野中広務さんの訃報

2018年01月28日 | 日々思うこと

26日夜、小渕内閣で“影の総理”と言われた野中広務元官房長官(92)の訃報が伝わりました。野中広務さんは京都府出身で、25歳のときに園部町町議を皮切りに同町長、京都府府議会議員、同副知事、衆院議員と政治の道を50年以上歩かれ、ご自身が出身ということで差別問題に様ざまなカタチで深く関わった反骨の政治家でもありました。

野中さんは“軍国少年”から戦争体験者として、戦争への道につながることには敏感に反対する政治家で人権と平和を大事に差別と闘い、日本軍が中国に残してきた「遺棄化学兵器」などの戦後未処理問題にも積極的でした。

また1995年の北京で開催の世界女性会議の後、無理だと思われていた男女共同参画社会基本法を99年に衆参両院全会一致で成立させ、国の最重要課題と位置づけて男女共同参画の政策が進みました。そして2000年6月の衆院選で73才定年制を主張し、2003年10月に政界を引退しても小泉内閣を「非情の政治」と批判したり、近年ではアベ政権への苦言を呈していたことを思い出します。

そんなことで書棚から、09年初版の野中さんと辛淑玉さんとの対談『差別と日本人』(角川書店 724円+税)を取り出しました。野中さんの「日本の閉鎖性と、僕はずっと闘ってきた。誰も手をつけなかった利権に関する税の問題などは、自分が政治家でいる間につぶしておかなければ、永久にこれは続いていく」と、誰も語れなかった人間の暗部を指摘です。

対談を終えた野中さんは「あとがき」で、戦後の未処理問題について「この問題を解決していかなければという責任感が国家にも政治家にもない。過去、自分たちが迷惑をかけてきたことを忘れて、竹島問題や尖閣列島問題が出たら、欲求不満を爆発させるかのようにワーッと騒ぐ。また北朝鮮がミサイ発射などで騒ぎを起こすとたちまち、戦争ごっこのように自衛隊の軍備拡大をしようとする声があがる」・・・・・、「政治家の目はどこを向いているのか、弱者や虐げられた人に対する政治家の“鈍さ”は、差別と根っこでつながっていると思う」と・・・。

24日に書き込んだ故田中角栄さんの「戦争を知らない世代が政治の中枢となったとき」同様に、今日のアベ政権には耳の痛い言葉で、自民党内の懐の狭さとお粗末に昭和という時代がまた遠くなってしまったことを感じます。

4日続きの氷点下のホワイトアウトも日曜日には久しぶりに晴れて、青空とはいかないまでもお天道さまがとてもありがたく、これで雪もかなり消えることでしょう。ふと庭を見ると、スヌーピーと共に思わぬ雪のいたずらでシャッターを押しました。

24日から我が家へ“避難”していた下の孫と、インフルエンザ予防接種を一度もしたことがいない私も感染することなくホッと一息の日曜日です。固い駐車場の除雪を娘がやってくれたので明日は久しぶりに外出ができそうで、上の孫も病院へ行き完治証明書をもらい通学ができることでしょう。 

反骨精神で闘い続けた野中広務さん、与野党から功績をたたえる声が少なくありません。お会いしたことのない政治家でしたが、深く敬服し心よりご冥福をお祈りいたします。