(JIJI.COMの記事より)
ハマス殲滅は単なるスローガン、真の目的は…
東海大学客員教授・アラビア語同時通訳者 新谷恵司
12月1日、停戦期限が切れると、イスラエル軍はこれまでにない規模の砲爆撃を陸海空から敢行し 、逃げ惑うガザ地区の一般市民を容赦なく殺害した。1日の死者数はパレスチナ当局の発表で200人以上。これが最も忌まわしい ジェノサイド(集団虐殺)でなくて何であろうか?
その日、日本のメディアはイスラエル軍が「戦闘再開」と見出しを打ったが、反撃する手段を持たない女性や子どもの上に冷血にも爆弾を落とす行為のどこが「戦闘」なのか? 戦闘とは、撃ち合いがあって初めてそう呼べる行為だ。「虐殺」を再開したのである。正確に報じてほしい。逃げ場のない住民を兵糧攻めにした上で狙い撃つ、世界で最も卑怯(ひきょう)かつ残虐な軍隊の行為には、正当性のかけらもないのだから。
避難呼び掛けた先で狙い撃ち
イスラエル軍が今、執拗(しつよう)に壊しているのは、住民に避難を呼び掛けた先であるガザ地区南部だ 。住んでいた北部の家は廃墟にされ、戻る場所はない。その人々を 狙い撃ちしているのだ。戦闘「前半戦」では、病院も、救急車も、そしてボランティアの医療従事者も、ジャーナリストも、むしろ意図的と思われるやり方で、有無を言わさず殺害した。多層アパートを爆撃し、老人から子どもまで、数家族を一家そろって殺害した。
「東京で何人死んだか、気にしたか?」
あまりにあからさまな虐殺行為を前に、イスラエルを孤軍支援する米政権は針のむしろに座らされている。国内でも、ユダヤ系市民までが反対の声を上げる中、海外に駐在している大使も、米国の信頼が失墜する恐れがあるとする意見を送ってきているという。そのためかオースティン国防長官は、イスラエルの攻撃は「 戦術的な勝利を戦略的な敗北に変えてしまう」と踏み込んだ発言をし、国務省は「イスラエル軍は意図的に民間人を狙っているわけではない」とイスラエルに代わって言い訳する始末である。
そのような中、飛び出したのがグラム米上院議員の「暴言」だ。CNNテレビのインタビューに対し、グラム氏は「東京やベルリンを壊滅させた時、何人死んだかなんて気にしたか?」と述べて、オースティン国防長官は「ナイーブすぎる」と批判したのである。この暴言の背後に横たわる闇は深い。「戦争はどんな汚い手を使おうと、勝てばよいのだ」という論理が、イスラエルのシオニスト政権を支配していることは想像に難くない。
集団虐殺にくみしてはならない
しかし、都市攻撃は人道に対する罪であるとの敗戦国日本の主張は受け入れられなかった。その既成事実が今も人類を苦しめているのである。もし、この論理に流されて、米・イスラエルの蛮行を追認するのであれば、それは先の戦争で亡くなった父祖の霊を冒瀆(ぼうとく)するだけでなく、近未来の大惨劇さえ、予感させると言わざるを得ない。そんな恐ろしい時代の再来を招かないためにも、私たちは決して集団虐殺にくみしてはならない。
(TBS NEWS DIGより)
イスラエル政府施設前に泊まり込みも…世論67%「戦闘停止と引き換えに人質解放を行うことに賛成する」と回答
イスラエル・テルアビブ。家族や知人がパレスチナ自治区ガザで人質となっている人たちが集まり、声をあげていました。
記者 「国防省の関連の施設の前にはテントがずらっと並べてあります。人質の家族や支援者はここで毎日寝泊まりして、政府に対して解放の交渉を前に進めるようにと訴えています」
ハマス殲滅までの戦闘継続を望む声が根強いイスラエル。その一方で、22日に公表された世論調査では、67%の人が「戦闘停止と引き換えに人質解放を行うことに賛成する」と回答するなど、人質解放を優先すべきとの声も高まっています。その背景にあるのが…
今月、イスラエル兵がガザで白旗を掲げて助けを求めた人質3人を誤って射殺しました。殺害された男性の父親、アヴィ・シャムリズさん。
息子が殺害されたアヴィ・シャムリズさん
「寂しいです、いつも彼のことを考えています。大切な存在を失いました」
「何が起きたのか知りたいのです。私も特殊部隊に従事していましたが、白旗を掲げ、降伏してくる人を撃ったことなんてなかったです」
シャムリズさんは、現場の兵士が、人質に関する十分な情報もなく任務を行っていること。また、指揮官の指令も適切でないことが事件を引き起こしたと非難します。
アヴィ・シャムリズさん
「政府は、人質の解放のために十分に取り組んでいません。交渉のテーブルでハマスが合意するものを提示し、人質解放を最優先にするよう政府に求めたいです」
ジャーナリスト103人が死亡 ガザ地区の死者は2万424人に
イスラム組織ハマスは、イスラエルとの戦闘により、ガザ地区で犠牲となったジャーナリストが100人を超えたと発表した。
ガザ保健省によると、10月7日の戦闘開始以来、ガザ地区の死者は2万424人となり、このうちおよそ7割が女性と子どもだとしている。
また、ハマス当局は24日、ガザ地区の中で報道していた記者やカメラマンなど103人が犠牲になったと発表した。
ガザ地区で取材するジャーナリストらは、「イスラエル軍が自分たちを黙らせるために意図的に標的にしている」と批判しているが、イスラエル軍は否定している。
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