(ブログ読者からの投稿です)
ドルはなぜ$マークなのか。円はなぜ、EnではなくYenなのか
ドルはなぜ$マークなのか。そして円はなぜ、EnではなくYenなのか(少なくとも日本人は、イェンと聞こえるような発音はしない)。結構謎で、すんなりした答えは見当たりません。
ドルマーク$の由来
まず、ドルマークについては図書館レファレンス(こんなことにもレファレンスが使えます)。
ドルマークはなぜ$なのか。DOLLARならDをかたどったものでもよいのに。 | レファレンス協同データベース
メキシコドル(8レアル銀貨)に由来し、8の字が$になった、という説がよく知られているようです(他にも諸説あり)。
ドルという単位はアメリカ(米ドル)だけでなく、カナダ・ドル、オーストラリア・ドル等、たくさんの国で使われており、記号も「C$」(カナダ)、「A$」(オーストラリア)となることから考えると、$マークはアメリカで出来たわけではなさそうですね。
あなたはいくつ知ってる?意外と知らないお金の記号と、その成り立ち
には、こう書かれています。
アメリカが確立される以前、北アメリカ地域で勢力の大きかったメキシコと、その宗主国であるスペインの通貨「ペソ」を起源とする説が有力です。ペソP`sのPとSが重ねて書かれるようになった結果、$になったと言われています。
中国の人民元と日本円の記号はともに「¥」なのはどうしてなのか
次にYenですが、Wikipedia等によれば、明治になって日本が「両」から「円」にしたのは、香港の貿易銀が「圓」を単位にしていたからであるようです。香港では丸いコインを「銀円」と呼んでいた由。その円をなぜEnではなくYenと綴るようになったかは、日銀も不明としているそうです。しかし、「圓」が香港に由来するとなると、中国語の「圓=YUAN(ユエン)」が関係していそうですね。東洋貿易をやっているイギリスやフランスの商人からすれば、中国と同じ「圓」だ、イェンだ、と思ったのでしょう。
こんな説明もされています。
日本の通貨「円」を英語で「YEN」と書く理由を知っていますか? | 英語びより
「円」を「yen」と書く理由は、大昔、最初に「円」という通貨に触れた英語圏の人が「yen」とつづっていたことが発端です。
そして、その「yen」というつづりが現在までずっと使われ続けているということ。
実は、言語には一度採用されたつづりは変更されにくいという特徴があります。
そのため、つづりとして「yen」と書くこと、発音することがすでに確立されていれば、今さらながら「en」に発音を変更することはありません。
日本の「円」も、中国の「元」も、韓国の「ウォン」も、元の漢字は「圓」
円の旧字は「圓」。韓国のウォンも漢字で書くなら「圓」だそうです。今回問題の人民元や、ニュー台湾ドル、香港ドルも、お札には漢字で「圓」と書いてある。
日本が「圓」を簡略に「円」にしたのと同様、中国も「圓」の略字を「元」(圓も元も発音はyuánユエン)を当てたので、日本では中国の貨幣単位は「元」だと勘違いしている。
こんな詐欺事件も起こっています。
「¥」マークを巡ってトラブルが相次ぐ。中国の人民元と日本円の記号はともに「¥」なのはどうしてなのか(久保田博幸) - 個人 - Yahoo!ニュース
1680円かと思って通販で購入したところ、1680人民元であったことで、日本円では購入価格が約20倍となっていたというものである。1人民元は約20円程度となっている。
なお、国際取引で日本円の¥と中国元の¥を特に区別したい場合には、「JP¥」「CN¥」と書くのだそうです。ウォンは「₩」だとか。
GNP世界第二位、アメリカに次ぐ経済大国、日本円の神話、などという話は過去のものとなり、今や「JP¥」と書かないと日本円のことにならない。悲哀を感じますね。
おまけ:「薬園台」の「園」を「圓」と書き間違えたため、「薬円台」にされてしまった
余談ですが、「薬円台」というのは、薬「園」台を薬「圓」台と書き間違えてしまい、「圓」なら新字は「円」だろうと書き換えられてしまったようです。小石川養生所の薬草園があったから「薬園」なのに、なぜ「圓」だと思ったのでしょうねぇ(笑)。
(追記)
この記事を読まれた方から「円は「ゑん」だから、ウェンに近かったのだろうが、外国人にはイェンと聞こえたのだろう。江戸をYedoとしたり、恵比寿ビールのYebisu もそうだ。」というコメントを頂きました。ご指摘の通りだと思います。
円が 「WEN」ではなく、「YEN」 と表記されるようになった理由は、幕末以降の日本に影響を与えた外国人(英語国民)達が、「江戸」を「Yedo」としたように、「え」を「ye」と表記していたことや、"ヘボン式"で有名なヘボンが、"和英語林集成" で「え」や「ゑ」で始る全ての日本語を「ye~」と表記してしまったからだそうです。
(ヘボンの「和英語林集成」、円満(エンマン)が「YEMMAN」と表記されています)
「え」と「ゑ」の発音は歴史的にはまったく違っていて、それぞれ "e" "we" と発音されていいましたが、江戸時代に至っては、その違いは消え去り、ほぼ同じ発音になっていた。
さらに、日本語の「え」は 英語の "e" ほど口を開かないし、江戸っ子は「え」と「い」の発音が曖昧だったから、外国人の耳には、 "ye" に聞こえたのかもしれません。
yuan(ユエン)に近い発音を持つ通貨は他にもあります。台湾の通貨も「圓」ですし、お隣の韓国の通貨はWon、ベトナムの通貨はDongです。すべて漢字圏ですね。
(「ベトナムも漢字圏?」と思われる方もいると思いますが、ベトナムがフランスの植民地になってアルファベット表記に変えられる前、ベトナム語は漢字で表記されていました。
ベトナムは「越南」、ハノイは「河内」、ホーチミンは「胡志明」、といった風に…)
香港の貿易銀(1867) 漢字は「壹圓」、英字は「ONE DOLLAR」となっている
初めて「YEN」表記がなされた「明治通宝」
両耳にまるく「YEN」 本当は真ん中に1が入るところ、なぜか「0YEN」になっている
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