カラット探偵事務所の事件簿2 | ||
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読 了 日 | 2012/12/23 |
著 者 | 乾くるみ | |
出 版 社 | PHP研究所 | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 353 | |
発 行 日 | 2012/08/01 | |
ISBN | 978-4-569-67863-4 |
年最初の本は「カラット探偵事務所の事件簿1」の続編だ。といっても、データをご覧のように読み終わったのは暮れの23日だから、2年越しの記事となる。本来は12月31日にアップロードするつもりだったのだが、急に出かけることになり、年が明けてしまった。
2012年は政権交代があったりして、何かと不安定な、不確定な要素を多くはらんだ年だったような気がしている。
それに、東日本大震災の被災地の復興も遅々として進んでないようで、被災者の皆さんの中には、まだまだ辛い日々を送っている方もたくさんいるのではないか。
今年は何とか誰しもがいい年だったと思えるような年にしたいものである。といって僕が何をできるわけでもないから、あまり期待はしない方がいいのかも・・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/b8/b4ec98792d6e79306238ce5aa9fb40bc.jpg)
待ちに待っていた本なのに、5か月もたってようやく手に入れた。昨年2011年10月に「カラット探偵事務所の事件簿1」を読んで、僕の好みでもあったので、1となっているからには2も出るのだろうというようなことを、ここにも書いたら、多分「文蔵」(PHP研究所発行の文庫型の月刊書籍)に連載されているのを読んだハンドルネーム根無し草さん(僕のブログの数少ない読者の方で、時折コメントをいただいている)から「続きはありますよ」と教えられて、心待ちにしていたのだ。
本シリーズに限らず、著者の作品はアクロバチックといいたいようなロジカルなストーリーが魅力で、読み終わって「アッ!」と 驚かされることが多い。前にも書いたが、ミステリー読書の醍醐味は、なんといっても騙される喜びや、不可能と思われる事件が 論理的に解明された時の驚き、二転三転するストーリー展開などだ。
このシリーズは、所長・古谷謙三が学生時代の同級生・井上を誘って、自分の趣味で始めたような探偵事務所で、謎解きを専門とする探偵事務所だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/b8/b4ec98792d6e79306238ce5aa9fb40bc.jpg)
来、名探偵はホームズにしろポワロにしろ、必ず助手のような人物が側についていることから、というだけで古谷は同級生だった井上を転職させてまで、自分の事務所に引き入れたのだ。だから井上はさしずめホームズに対するワトソンといったところである。
しかしながら、現実には不思議な謎解きを持ち込む依頼人がそうそういるはずもなく、事務所は毎日が閑古鳥が鳴くだけの状態だ。表紙のイラストのごとく、古谷は机で読書、井上は机がないから来客用のソファーで、日がな携帯のゲームをやっている始末だ。もともと古谷家は財閥で、事務所の入っているビルのオーナーでもあることから、探偵事務所が赤字であっても一向に困ることはないのだ。そうはいっても何もせずに一日を過ごすのは、井上にとって苦痛以外の何物でもない。
一見持ち込まれた謎を椅子に座ったまま、詳細を聞くだけで解明する、いわゆる安楽椅子探偵にも見えるが、古谷は時により謎の発生した現場に訪れて、検証も行うから純粋なアームチェア・ディティクティブはない、が、彼の鋭い洞察力や、観察力、そして 明快な頭脳が論理的思考を促して、謎を解明する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/b8/b4ec98792d6e79306238ce5aa9fb40bc.jpg)
そんな状態の事務所に今回は下記のように。7つの事件が持ち込まれる。(1がFile5で終わっているので、続くFileナンバーは6から始まっている)
凶悪な殺人事件があるわけではなく、古谷所長が興味を示す事件の謎は極めて日常的なことではあるが、いずれも不思議な現象でなんだろうと思わせることばかりだ。
例えば最初の事件?は、古谷所長の従弟で高校生の長島三郎君が持ち込んだもの。夏休みに彼の兄・次郎の友人たちがマンションの部屋に集まって、バルコニーで日光浴をしているのだが、ある時そこに三郎も行って一日を過ごしたあと、気付くと右腕の肩付近にハート形の白く日焼けしていない部分があった。
誰かがその部分だけハート形に日焼け止めを塗ったのか?ハートもマークは愛の告白か?一体誰がどのよう手段で、そんなことをしたのだろう、次郎の友人たちの中には女性もいたので、彼女たちの誰かが?
と、まあそんな具合である。
パズラー小説ではあるが、どれにも興味を惹かれる謎が提示されて、それに対する論理的解明が面白い。こういう小説を読みながら飲むコーヒーは、また格別の味わいだ。
# | タイトル | 発行月・号 |
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File6 | 小麦色の誘惑 | 2010年11月号 |
File7 | 昇降機の密室 | 2011年2月号 |
File8 | 車は急に・・・ | 2011年5月号 |
File9 | 幻の深海生物 | 2011年8月号 |
File10 | 山師の風景画 | 2011年11月号 |
File11 | 一子相伝の味 | 2012年2月号 |
File12 | つきまとう男 | 書き下ろし |
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