隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1620.七人の敵がいる

2016年04月19日 | 学園ミステリー
 
読 了 日 2016/04/19
著  者 加納朋子
出 版 社 集英社
形  態 単行本
ページ数 305
発 行 日 2010/09/24
ISBN 978-4-08-771356-5

 

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近に迫った天羽支部会を前に、会報作りが遅々として捗らない。何も考えずにいつもの定型(と言っても僕が作ったものだが)通りに作れば、問題はないのだが何か一つ二つ工夫を凝らして、などと思うからない頭を絞ることになる。
天羽支部と言うのは、社会福祉法人薄光会が運営するケアホームCOCO(ケアホーム六棟を有する事業所)の利用者の、保護者・家族の団体で、年に4回ほど事業所や法人本部とのコミュニケ―所を図るための会合を開催している。
薄光会はその他に入所施設の豊岡光生園、特別養護老人ホームの三芳光陽園、通所施設の鴨川ひかり学園、湊ひかり学園を運営しており、富津市をはじめとする千葉県南部地域の福祉の一端を担っている。
それぞれの施設ごとに、利用者の保護者・家族の会が結成されており、同様の会合が行われるが、天羽支部は先述のごとくケアホーム利用者の保護者・家族の集まりで、昨年(平成27年)4月に豊岡支部から分割されてできたばかりで、ようやく1年が過ぎたところだ。

5月1日に行われる平成28年度最初の支部会には、第4号となる会報を配布する予定だが、一応八部どおりは出来ているのだが、どうもいまいちピンと来ないので、頭を悩ませている。しかし、ない頭をどう絞ったところで、仕方がないから適当なところで妥協するしかないだろう。
明後日4月21日には支部会役員の打ち合わせがあるから、それまでにできた処までを見本としてプリントして、見せなければならない。

 

 

実に10年ぶりの著者の作品だ。著者を知った当時はストーリー構成の斬新さに驚きながら、ずいぶん入れ込んだという気がしている。北村薫氏に続く「日常の謎派」と呼ばれる作家の一人として、次々と作品を発表した加納朋子氏は、僕の読書生活に欠かせない作家の一人となったのだが、2007年4月に読んだ18冊目の「モノレールねこ」を最後にしばらくご無沙汰している。
いつものように特にこれと言った理由があるわけでも、もちろん嫌いになったわけでもない。
八方美人的な僕の読書は、その時々で気になった本を読んでいるから、時として好きな作家も忘れがちになることは往々にしてあるのだ。
この作品はドラマにもなっており、気になってはいたが見はぐってしまって、当然録画もしてない。原作を読んだので、いつかレンタルビデオでも借りて、見ようと思っている。

 

 

容は下表にあるように、タイトルの七人の敵が7章にわたって描かれる。昔読んだ著者の作品とは一味も二味も違い、キャリア・ウーマンの仕事とは別の、私生活での奮闘がテーマのストーリーだ。
まるで鉄の女とでも言いたいような、出版社の編集を仕事とする山田陽子は、一人息子の洋介が小学校に入学したのを機会に、PTAに出席するがそこでの彼女の一言が、他の全員を敵に回してしまうことになる。と言うスタートは後の様々な立場での彼女の活動を妨げる元となるのだ。
しかし、それぞれの敵に向かって恐れることなく立ち向かう、山田陽子の言動は小気味よく、その機知と行動力で撃破?して行く展開が面白い。と書く女の闘いは面倒くさくて僕は嫌な感じを抱くのだが、この作品は後味が良く、著者の作品として配食とも思えるが、新境地を開いたという感じだ。

 

初出(小説すばる)
# タイトル 発行月・号
第1章 女は女の敵である 2009年4月号
第2章 義母家族は敵である 2009年6月号
第3章 男もたいがい敵である 2009年8月号
第4章 当然夫も敵である 2009年10月号
第5章 我が子だろうが敵になる 2009年12月号
第6章 先生が敵である 2010年2月号
第7章 会長様が敵である 2010年4月号

 

 

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