隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0256.殉教カテリナ車輪

2002年07月19日 | 本格
殉教カテリナ車輪
読 了 日 2002/07/19
著  者 飛鳥部勝則
出 版 社 東京創元社
形  態 文庫
ページ数 360
発 行 日 2001/07/27
ISBN 4-488-43501-7

 

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潟・塩座間市(という地名は実際には無いので架空の街だろう)にある井摩井美術館に勤務することになった井村正吾は学芸員の矢部直樹と推理小説談義をした際に、二つの密室で同時に殺人事件が起こるという話をしたら、矢部はそうした事件が実際に有ったと言う。
そして、その後彼から事件に関係が有るといって、「東条寺桂の手記」を読むようにと、渡された。
東条寺桂は地方のマイナーな画家で、若くして自殺したという。
矢部直樹はその2年前に東条寺の描いた「S嬢」と題された絵のモデルが若き日の妻に似ていたことから、東条寺に興味を持って調べるうち、彼が残した二枚の絵画“殉教”と“車輪”について知ることになる。

図像解釈学(イコノロジー)という、絵画からその絵が作られた理由や、意味を探り芸術の歴史に跡付けをする学問をもとに、過去の事件が解明されていくストーリーである。
作中挿入されている絵画は、画家でもある著者が描いたものだから、ストーリーの中で解釈されていく雰囲気とマッチしており、不思議な感じを与えている。
1997年 井村正吾から1995年 矢部直樹、1976年 東条寺桂と遡り、再び1997年 井村正吾へ戻るという四つの章からこうせいされた絵画ミステリー。
第9回鮎川哲也賞受賞作。

 

 

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