隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1430.わかっちゃいるけど・・・

2014年01月23日 | エッセイ
わかっちゃいるけど・・・
シャボン玉の頃
読 了 日 2014/01/18
著  者 青島幸男
出 版 社 文藝春秋
形  態 文庫
ページ数 263
発 行 日 1991/09/10
ISBN 4-16-740502-4

 

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読本というかミステリー読書とは関わりがないと言うことで、除けてあった本の中に本書が混じっていた。
参議院議員になったり、東京都知事になったりと、どこまでが彼のおふざけか、あるいは真の姿なのかよくわからないのが青島幸男氏だった。
前に読んだ有吉佐和子女史の「複合汚染」にも冒頭で、名前が出てくるが、参院選での選挙運動を放り出して、期間中ヨーロッパ旅行に出かけるなどという行動が、いかにも青島氏らしく人によっては「ふざけた野郎だ!」と言うようなことになるのだが・・・。
僕ら普通の市井人が直木賞作家でもある、青島氏をよく知らなかったとしてもちっとも不思議ではないのだが、一時期非常に身近に感じていたことがあったから、毎日見ているテレビタレントをあたかも知人のように感じるのと同様に感じていたのだ。
昭和36年と言えば僕はまだ22歳で、今となって思い返せば青春真っ只中(いや、終末期か?)と言ったところだ。その昭和36年に日本テレビで始まったのが、「シャボン玉ホリデー」という音楽バラエティー番組だ。
この本はその番組に係っていた、と言うよりどっぷりと首まで漬かっていた青島氏が、番組とそこに登場する人物や内容についてのエピソードを紹介したエッセイである。
氏は何しろ歌(作詞)は書くは台本は書くは、出演はするは、で文字通り八面六臂の大活躍を、この番組でしていたから、後に到るまで思い入れは深かったろうと想像するが、エッセイによればそれほどではなかったような? いや、それも彼独特のポーズか?。

 

 

多分その頃はまだ我が家にテレビはなかったと思うが、どこで見ていたのだろう。僕はこの番組のメインタレントだったザ・ピーナッツ(写真)の大ファンだったから、毎週楽しみにしていたのだが、どこでテレビを見ていたのかまったく憶えていないのだ。

 

まさか認知症が始まったのではないだろうが、このところボキャブラリーが貧困になったり、人の名前が出てこなかったりと、疑わしい症状に悩まされている。そのうち本人の記憶障害のためこのブログは閉鎖します、なんてことにならないことを願うばかりだ。

 

 

書は、文藝春秋社の「オール讀物」に昭和60年8月号から61年11月号までの1年余り連載されたエッセイをまとめたものだ。しかし、番組放送時から20数年経ってもよく細部まで憶えていたものだと、感心するほど当時の状況が事細かに描かれている。
番組のレギュラー出演者は、先述のザ・ピーナッツの他にハナ肇とクレイジー・キャッツや、当時人気アイドルグループだったスリー・ファンキーズとか、ナベプロ(その頃飛ぶ鳥落とす勢いだった渡辺晋・美佐夫妻の率いるワタナベ・プロダクション)のタレントが次々と登場した。
ピーナッツに続く三人娘と言われた、中尾ミエ・園マリ・伊東ゆかり嬢(当時)など多彩なタレントがゲスト出演して、歌やコントで盛り上げていた。
まだ、放送作家として売り出す前だった青島氏が、番組ディレクターだった秋元氏とともに、番組を媒体としてしだいに頭角を現していく経緯が面白おかしく描かれる。

後に奥山伸(テルノブ)氏(放送作家後しての青島氏の弟子筋といった人だったか?はっきり憶えていない。もうこの本はかなり前に処分してしまっているから。)が「かもめのみなさん」という著書に、青島氏の滑稽とも言える人柄や、番組に係ったタレントの動向が、その裏に敬愛の情をチラつかせながら、ユーモアたっぷりにエピソードを公開している。
両書に登場する人物の中には、既に鬼籍に入っている人も少なくない。半世紀以上も前のことだからそれは当然のことなのだが。次第に遠ざかっていく昭和の時代の一端を示す、一つには僕の青春後期を思い起こさせる本として、ミステリーではないが取り上げた。

 

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