隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1586.謎ジパング

2016年01月04日 | エッセイ
謎ジパング
読 了 日 2015/12/21
著  者 明石散人
出 版 社 講談社
形  態 文庫
ページ数 342
発 行 日 1999/01/15
ISBN 4-06-263962-9

 

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いもので、もう今日は働く人の大半が仕事始めとなる日だ。僕はと言えば毎日が日曜日の状態だから、別に仕事始めも、終わりもないのだ。それに今日は3月下旬から4月上旬のような陽気になるというではないか。と言うことで、たった今コーヒーを飲み終わってこれを書いているところである。それと言うのも、昨日、1昨日と施設に入所している息子を伴って、遊園地へと赴いたので、懸案事項の一つが解消して、ゆったりとした気分なのだ。
息子は今年の誕生日(6月23日)が来ると、満49歳になるが、知的障害の彼は食事や衣服の着脱などの日常の作業はこなすことができるものの、話すことができない。いくつかの単語は言えるのだが残念ながら意味をなさない言葉は、人とのコミュニケーションが取れない状態だ。
以前は年に数回里帰りと言うことで、2日から3日の間自宅へ帰ってきていたのだが、カミさんがあまり具合が良くないので、数年前から自宅へは呼べなくなっている。そこで年に何回かは反対に僕が施設から連れ出して、遊園地などに同行することにしている。それでも、僕とて若い頃のように活発には身体を動かすことが困難になってきている。若い彼と付き合うには限度があるから、彼には気の毒だが、そうしたことも次第に少なくなっていくことだろう。

 

 

昔と違って現在は障碍者に対する一般の認知度が高まって、遊園地なども障碍者への配慮が割と行き届くようになっているので、楽になった。若い頃は連れて歩いている際に、突然大きな声を発したりすることで、周囲の人たちに迷惑をかけるという意識で、恥ずかしいという思いがあった。
その点、カミさんなどはそうしたことが、日常茶飯事だったから、ずいぶん苦労をしただろう。大した仕事はしていなかったが、それでも僕の方はどうしても、会社、仕事が優先と言うことで、カミさんや息子に対しても関心が薄かったようで、今になって申し訳ないという気持ちで後悔している。
彼が入所しているのは、社会福祉法人薄光会が運営するケアホームの一つで、富津市湊にある「あけぼの荘」だ。 薄光会ではこのほかに5か所のケアホームを有しており、それぞれに数名の利用者が起居して、ヘルパーさんたちの生活介護のもとで、快適な暮らしを送っている。ここに至るまでの道のりは、決して平たんなものではなかったが、障碍者の支援にまじめに取り組む職員をはじめとして、多くの支援者の協力のもと、円滑に運営されていることに、障害を持つ利用者の安寧な生活を維持している。そうした施設は親にとっては何物にも代えがたく、感謝している。

 

 

頃になってから読むとは思ってもいなかったが、何しろ1999年1月に発行されて間もなく新刊で買ったものを、17年も積ン読で置いたのだから、我ながら困ったものだ。その何年か前に僕はここに収録されているどれかを、「IN POCKET」(講談社)で読んだと思っていたら、巻末に初出誌が小説現代とあり、僕の記憶は勘違いだったとわかる。 そんなこと(勘違いや思い込み)は珍しくもないことだが、買った当時は家に持ち帰って、後で読もうと巻末なども見なかったから、勘違いの記憶も17年もの間、正されずにいたのかと思うとなんだか可笑しい。
しかし今回改めて読んでみて、こんな面白い本をなぜ今まで読まずにほっといたんだろうと思った。小説現代で読んだ1篇は、今考えると13番目の「黄金の国ジパング」だったと思うが、とにかくどこを読んでも、明石散人氏の研究熱心というか、その博覧強記ぶりに圧倒されるのだ。

 

 

副題に「誰も知らない日本の歴史」とあるように、総じていえば雑学的なところもあるが、歴史に宇と僕でもなるほどと納得させるところはすごい。とにかく何事に関しても疑問や好奇心をもってあたり、ある仮説をもって資料を探ることは、学者や研究者の進め方だ。
そして、独自の理論を構築するなど、読んでいて凡人の僕などには気の遠くなるような話だ。ここに収録された話がどれも、著者の理論が真実かどうかは僕の判断できるところではないが、読み物としては誠に面白く愉快だ、蘊蓄を語りたい人や、一家言をお持ちの居士にはうってつけの読み物だと思う。

 

収録作
# タイトル
1 桃太郎の正体
2 どこからやって来たのか日本のお茶
3 オムスビの不思議
4 「皿屋敷」の謎を探る
5 邪馬台国に謎はない
6 日本最古の将棋駒
7 金閣寺の伝説
8 江戸っ子の洒落
9 富士山雑話
10 宇宙を閉じ込めた日本人
12 青いチューリップ
13 伽羅先代萩
14 黄金の国ジパング
15 江戸文化立役者の罪
16 川中島合戦の通説の真偽
17 失われた大四元
18 国宝金印のキズ
19 金印発見の裏事情

 

 

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