酒席に珍しいお客を連れて行った。
普段無口な彼の性格を知る者は少ない。
私の求めに応じて彼は心地よく参加してくれた。
繁華街の裏通り其の店寺田屋は在った。
私は、ごった返す飲み屋街のパ-キングを避けて、
少し離れたパ-キングへ駐車した。
ケイタイが鳴った・・・
遅れた私を心配して彼からの電話だった。
薄暗い裏通りを寺田屋に向かう、彼は待っていた。
其の店は、以前来た事があるが新撰組からの追撃を
避けるため敢えて場所は公表できない ?
通りに面してカウンタ-がこちらを向く、
其の横から細くて急な階段が上に伸びている。
突然の乱入にも耐えられる造りの小部屋が数部屋
程よい具合に配置されていた。
私は、その料理屋を隠れ宿と呼んでいる。
風雲急を告げる京の都は、各藩の浪士達が入り込んで
夜の街は特に厳しく危険である。
三々五々、何処からともなく同志たちは集まってきた。
維新を為す、歴史を作るサムライ達である。
本物の幕末は幾多の浪士達で血塗られた歴史となったが、
現実を否定し、階級社会に絶望し、日本の夜明けを切望
した彼らの胸の内は切ない。
維新後明治政府で要職を占め日本丸の舵取りを託された
者たちは、ごく僅かの生き残りにしか過ぎない。
数多くの名も無き志士たちは底冷えのする京の都で
露と消えた。
物事を改革しようとする事は、かように犠牲が伴うと
云う事なのである。
寺田屋に参集した面々は、一見何の変哲も無い上級武士
の装いである。
郷士のいでたちの者は、ひとりとしていなかった。
敵を欺くと言う事は、かように気配りが必要だと言う事
なのだ ?
隠密が、それとなく探りを入れてくる。
その土地に根ざした幕府容認のお庭番たちの動きが激しく
なって来た。
私は、前後左右 ! 車の動きにまで気を配って路地裏を
縫ったのである。
彼は、律儀にも左右に目を光らせて私を誘導してくれた。
少し遅れた私たち二人の前に、海鮮盛りが並べられて
数本の熱燗が湯気を立てて主を待っていた。
「乾杯 !」 志 胸秘める志士たちの酒宴が始まった。
今夜は、秘密の会合ゆえ! お酌の仲居さん方は遠慮願った。
志士たちの中に紅一点、眩いばかりの町娘が居た。
豪商近江屋の一人娘おりょうである。
龍馬が立ち上がった、其の横に中岡慎太郎がいる !
長州は桂小五郎が薩摩の西郷隆盛と御忍びで来ていた。
乾杯の音頭は、軍艦奉行並 勝 海舟 ・・・ !
龍馬が、私が同行した志士を紹介した。
長州は 高杉晋作、やや頬を紅潮させて彼は挨拶した。
無口で照れ屋の晋作は、私に視線を移してニヤリ・・!
「今夜は、無礼講 ! 心置きなく飲んでくれ !」
私の言葉で、彼は輪の中に埋没していった。
底冷えのする京の町 寺田屋界隈は、新撰組 見廻組
薩長土の志士たちが混沌として徘徊していた。
酔いがめぐった晋作は面白い ?
彼の酒席では爆笑の渦が巻き起こっていた。
中岡が云う、「Uさん、晋作は面白い、浪速のよしもとへ
送り出しますか ?」
晋作が叫んだ !
「わしにツイッタ-の 新撰組の芹沢鴨を送っちゃってくれ!」
新撰組 近藤 勇に惨殺される男の名である。
私は、歴史の皮肉を感じていた。
京 松山の夜は、賑わいの中に更けて行った ・・・。。。
合掌
普段無口な彼の性格を知る者は少ない。
私の求めに応じて彼は心地よく参加してくれた。
繁華街の裏通り其の店寺田屋は在った。
私は、ごった返す飲み屋街のパ-キングを避けて、
少し離れたパ-キングへ駐車した。
ケイタイが鳴った・・・
遅れた私を心配して彼からの電話だった。
薄暗い裏通りを寺田屋に向かう、彼は待っていた。
其の店は、以前来た事があるが新撰組からの追撃を
避けるため敢えて場所は公表できない ?
通りに面してカウンタ-がこちらを向く、
其の横から細くて急な階段が上に伸びている。
突然の乱入にも耐えられる造りの小部屋が数部屋
程よい具合に配置されていた。
私は、その料理屋を隠れ宿と呼んでいる。
風雲急を告げる京の都は、各藩の浪士達が入り込んで
夜の街は特に厳しく危険である。
三々五々、何処からともなく同志たちは集まってきた。
維新を為す、歴史を作るサムライ達である。
本物の幕末は幾多の浪士達で血塗られた歴史となったが、
現実を否定し、階級社会に絶望し、日本の夜明けを切望
した彼らの胸の内は切ない。
維新後明治政府で要職を占め日本丸の舵取りを託された
者たちは、ごく僅かの生き残りにしか過ぎない。
数多くの名も無き志士たちは底冷えのする京の都で
露と消えた。
物事を改革しようとする事は、かように犠牲が伴うと
云う事なのである。
寺田屋に参集した面々は、一見何の変哲も無い上級武士
の装いである。
郷士のいでたちの者は、ひとりとしていなかった。
敵を欺くと言う事は、かように気配りが必要だと言う事
なのだ ?
隠密が、それとなく探りを入れてくる。
その土地に根ざした幕府容認のお庭番たちの動きが激しく
なって来た。
私は、前後左右 ! 車の動きにまで気を配って路地裏を
縫ったのである。
彼は、律儀にも左右に目を光らせて私を誘導してくれた。
少し遅れた私たち二人の前に、海鮮盛りが並べられて
数本の熱燗が湯気を立てて主を待っていた。
「乾杯 !」 志 胸秘める志士たちの酒宴が始まった。
今夜は、秘密の会合ゆえ! お酌の仲居さん方は遠慮願った。
志士たちの中に紅一点、眩いばかりの町娘が居た。
豪商近江屋の一人娘おりょうである。
龍馬が立ち上がった、其の横に中岡慎太郎がいる !
長州は桂小五郎が薩摩の西郷隆盛と御忍びで来ていた。
乾杯の音頭は、軍艦奉行並 勝 海舟 ・・・ !
龍馬が、私が同行した志士を紹介した。
長州は 高杉晋作、やや頬を紅潮させて彼は挨拶した。
無口で照れ屋の晋作は、私に視線を移してニヤリ・・!
「今夜は、無礼講 ! 心置きなく飲んでくれ !」
私の言葉で、彼は輪の中に埋没していった。
底冷えのする京の町 寺田屋界隈は、新撰組 見廻組
薩長土の志士たちが混沌として徘徊していた。
酔いがめぐった晋作は面白い ?
彼の酒席では爆笑の渦が巻き起こっていた。
中岡が云う、「Uさん、晋作は面白い、浪速のよしもとへ
送り出しますか ?」
晋作が叫んだ !
「わしにツイッタ-の 新撰組の芹沢鴨を送っちゃってくれ!」
新撰組 近藤 勇に惨殺される男の名である。
私は、歴史の皮肉を感じていた。
京 松山の夜は、賑わいの中に更けて行った ・・・。。。
合掌