Simplex's Memo

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岐阜市は「路面電車」をどう議論してきたか?(その9・前編)

2005-03-05 23:18:15 | 鉄道(岐阜の路面電車と周辺情報)
ここまで、岐阜の路面電車について、岐阜市と市議会がどのような議論を展開したか見てきた。
いよいよ平成16年に入る。
恐らくかなりの量になると思われるので、前年分に引き続いて定例会単位で見てみたい。
まずは、3月に開催された第1回定例会。定例会開催前の3月1日、名鉄は3線の廃止届を中部運輸局へ提出し、いよいよ名鉄の撤退が秒読み態勢に入った。そのような状況下で両者の議論はどう戦われたのだろうか。
なお、本文中<質問>は議員質問内容、<答弁>は市当局、<市長答弁>は市長の発言内容をそれぞれ示す。

参考:「岐阜市議会議事録」

<質問1>
 路面電車を経営している名古屋鉄道株式会社は2月23日に取締役会が開催され、撤退を決定するとともに、3月1日には廃止届を国土交通省中部運輸局に提出したという。名鉄は長年にわたって岐阜市を初め地域の公共交通を担ってきたが、今度の名鉄が行ってきた路面電車の対応は当初から撤退ありきで進められ、このような姿勢は到底納得のできるやり方ではない。しかし、運輸規制緩和が進んでいる状況ではこの動きを止めることは難しい。
 市長は名鉄から経営撤退の意向がなされた後、路面電車については高齢社会の乗り物として、また、環境負荷の軽減など、人や環境に優しい公共交通として活用をしていきたいと言ってきた。そして、昨年の10月から11月にかけて路面電車の定時性や安全性の検証、あるいは路面電車に対する市民意識を探るため、軌道内通行不可の交通規制や安全島設置等の実験を実施し、あわせて路面電車に関する市民アンケートを行ってきた。
 沿線市町対策協議会が取りまとめた路面電車に関する調査研究結果が公表されたが、その中では、路面電車の利用者推移、交通社会実験の結果と関連の市民アンケートによる評価、さらには、路面電車を仮に経営を引き継いだ場合における受け皿の検討等について取りまとめがされている。
市長が常々この議場において言ってこられた路面電車の市民評価をこの資料から読み取ってみますと、市民の路面電車に対する評価は全体として低い評価が出ていると思う。すなわち路面電車を残すべきという市民は約50%程度しかない。
 名鉄が撤退意思を表明した後、沿線市町では市町が共同して「乗って残そう運動」を始めた。また、存続に向けての署名活動が住民の手によって進められたが、平成14年度の利用者人数は前年の平成13年度の実績を下回っており、長期にわたる減少傾向に歯どめがかからなかった。また、路面電車の課題の1つであった安全性や定時性の向上については、一般車の軌道敷内通行不可の実施や安全島を設置すれば、その効果は上がると、実験を通して認められている。
 しかし、岐阜市の道路は幅員が狭く、路面電車を優先できるような状況ではない。
実験結果を現実の施策に結びつけるには沿線住民の理解や一般ドライバーの意識を高めていくことが必要であり、難しい状況にあるのではないか。さらに、岐阜市が仮に経営を引き継いでいくということであるなら、三セク等の受け皿が必要になる。当然この受け皿会社は80億円を上回る土地や建物、車両等の資産を名鉄から譲渡を受ける必要が出てくる上、この資産譲渡には多額の税金が必要となる。また、経年的な経営に対する助成も覚悟しなければならないなど、路面電車の経営は市民理解や財政的問題を踏まえると、大変厳しいと感じている。
 名鉄が廃止届を提出した状況の中で市長が決断をする時期に来ていると思う。来年度、岐阜市は新しい総合交通体系の策定が予定されている。新たな都市交通を考えていく上においても路面電車存続問題の先送りは許されない状況ではないか。市長は沿線市町と一緒に新しい会社を設立して路面電車を存続させるのか、あるいは廃線やむなしとされるのか、市長の責任ある決断を望むとともに、今後、沿線市町の首長会議に臨まれるのか、その決意を伺いたい。

<市長答弁1>
 沿線市町対策協議会で取りまとめた検討資料によると、かなりのコスト縮減を図ったといたしましても、概算ではあるが、毎年4億1,000万円から7億3,000万円程度の公的負担が予想されている。
また、名鉄から引き継ぐ路面電車などの資産は、名鉄の簿価ベースで82億円という巨額である。
 いずれにしても、多額の初期投資が必要となり、存続に向けては多くの公的負担を覚悟しなければならない。また、先ほどの指摘のように、路面電車の利用者数の推移についても、長期にわたる減少傾向には歯どめがかからず、現時点でも利用者増が見込める状況ではない。
 さらに、市内の道路は他の路面電車が走行している都市に比べて相対的に道路幅員が狭いなど、道路環境面においても課題なしとはしない状況である。このような中で路面電車を存続するということになると、市民や利用者に対する税負担に関する理解、あるいは日常生活における路面電車の位置づけをしっかりと持って貰わないと、今後、存続していくことはなかなか難しいのではないかと思っている。一方、仮に路面電車を廃止した場合、高齢社会の問題、あるいは環境問題への対応、さらには、中心市街地の活性化など、将来の本市におけるまちづくり、あるいは岐阜市近郊からの本市への求心力の喪失などといったさまざまな課題も出てくると考えている。
 代替交通としてのバス交通についても渋滞状況など、バス路線としての問題も抱えている。また、バスに変えた場合の利用者の負担の増加などという問題も発生してくる。
 今後、路面電車については現状のままで残すことは大変厳しい状況であると思っているが、今後のまちづくり等との関係も十分考慮して、ことしの6月ごろまでには最終判断をしたいと考えている。また、今後は、沿線市町対策協議会での検討はほぼ終了している状況となっており、今後は首長間でその方向性を決めていくことになっている。その際には沿線の動向を十分把握することも重要であるが、岐阜市としての明確な決意を持って臨みたいと考えている。

<質問2>
 路面電車を経営している名古屋鉄道株式会社は赤字経営を理由にして撤退するという状況である。名鉄がこれまで進めてきた撤退に向けての一方的なやり方はいかがなものかと思う点もある。しかし、廃線手続が進んでいる現状の中では新たな道を見つけていかなければならないと思う。
路面電車については、この1年間の間に路面電車実験、さまざまなイベントを開催、あるいは存続署名活動等、路面電車に関する動きがあったが、期待をしていた利用者の増加に結びつく結果にはなっていない。
 路面電車に対する市民意識はまだまだ高まっていないという状況であると思う。仮に経営を継続していこうということであるならば、税金の投入は不可欠である。このような厳しい財政を踏まえますと、税を投入していけるような余裕はないと思うが、市長は、このような実態の中、廃線やむなしとされるのか、税金投入を覚悟で路面電車を存続されるのか。

<市長答弁2>
 沿線市町対策協議会での検討結果では、事業者の運行実績に基づく必要な安全性を確保した上で、経営手腕にすぐれた事業者のノウハウを活用してコスト縮減を図った場合の試算結果が出されている。路面電車を存続する場合の受け皿として、軌道施設や車両を道路と同じ都市基盤として自治体が負担をし、運行そのものは軌道事業者が責任を持って運行する、いわゆる上下分離による公設民営方式では、概算ではあるが、毎年4億1,000万円、上下分離によらない第三セクター方式では毎年5億2,000万円から7億3,000万円の公的負担が予想されている。また、路面電車継続のための資産は名鉄の簿価ベースで82億円という巨額であり、いずれにせよ多額の初期投資が必要となる。また、利用者数の推移は、「乗って残そう運動」期間中を含め、長期にわたる減少傾向には歯どめがかからず、今後の少子化傾向を考えると利用者増はなかなか見込むことは難しいと思われる。このような状況の中で路面電車が存続するということになると、市民や利用者には税負担の理解、さらには、日常生活における路面電車の位置づけをしっかりと持つことが必要になる。
 路面電車の走る高知あるいは豊橋など他都市の道路環境と比べると、岐阜の道路幅員が狭く、軌道敷内通行不可や安全島の設置が容易でない現状で路面電車を存続することは大変厳しい状況ではなかろうかと思っている。しかし、一方、高齢社会や環境問題への対応、あるいは中心市街地の活性化など、将来における本市のまちづくりに対し、路面電車は有効な手段となる可能性も持っているので、様々なことについても十分考慮をした上で、6月ごろまでには最終判断をしたい。

<質問3>
 路面電車を経営している名古屋鉄道株式会社は赤字経営を理由にして撤退するという状況である。
名鉄がこれまで進めてきた撤退に向けての一方的なやり方はいかがなものかと思う点もある。
しかし、廃線手続が進んでいる現状の中では新たな道を見つけていかなければならないと思う。
路面電車については、この1年間の間に路面電車実験、様々なイベントを開催、あるいは存続署名活動等、路面電車に関する動きがあったわけだが、期待をしていた利用者の増加に結びつくものとはなっていない。
 路面電車に対する市民意識はまだまだ高まっていないという状況であると思う。仮に経営を継続していこうということであれば、税金の投入は不可欠である。このような厳しい財政を踏まえると、税を投入していけるような余裕はないと思うが、市長は、このような実態の中、廃線やむなしとされるのか、税金投入を覚悟で路面電車を存続されるのか、明確に答弁していただきたい。

<市長答弁3>
 路面電車の将来方向については、市民の痛みを伴ったり、移動手段の選択性が狭まるなど、直接市民の皆様方に大きな影響を及ぼすことと考えられるため、市民の意見を広く求めたい。路面電車については、高齢社会の進展がさらに加速し、大気汚染などの環境問題の顕在化やまちづくりの問題など、社会状況の変化に対応するため、車中心の見直しが求められており、路面電車の見直しや復活の動きが国内やヨーロッパで出てきている。
 この背景としては、路面電車は身近な交通手段として路面から直接乗りおりができるほか、自動車やバスに比べても二酸化炭素の排出量が少なく、また、ヨーロッパなどではまちづくりの面での効果も大きなものとして利点を持っている。また、車両の低床化や軽量化、騒音、振動の低減、さらには、乗り継ぎ拠点を総合的にグレードアップした、いわゆるLRTと言われる次世代型路面電車に発展させられる可能性も持っている。さらに、多くの高齢者など交通弱者の移動手段を確保するため、ワンコインバスなどで路面電車の主要な駅、電停を結ぶなど、路面電車を軸にした総合的な交通システムとして構築していくことも考えられる。このような総合交通体系におけるさまざまな路面電車の活用策等については、先般示した沿線市町対策協議会検討資料で述べているところである。また、あわせて経営を維持した場合の収支試算についても示したところである。
 こうした路面電車の役割を認識し総合交通体系の柱として位置づけることが必要であると考え名鉄に対し強く存続を要望してきた。しかし、名鉄の撤退が明確になった現在、存続していくということになると、市民や利用者の皆様方には税負担に対する理解、あるいは日常生活における路面電車の位置づけをしっかり持っていただくなど、解決すべき課題が多くあり、路面電車を現状のままで残すことは大変厳しい状況であると思っている。しかし、今後の中核市としてのまちづくりや交通基盤としての必要性等の関係も考慮し、さきにも答えたとおり6月ごろまでには最終判断をしたい。

<市答弁3>
 路面電車の存廃に関するスケジュールについて、3月1日に名古屋鉄道株式会社は国土交通省に対して、平成17年3月末日を廃止の予定日とし、揖斐線については廃止届出書、美濃町線、岐阜市内線につきましては廃止許可申請書を提出して、廃止の手続に入った。
 今後の手続は、存続の場合については受け皿会社を設立し、名鉄との資産譲渡価格の交渉や事業譲渡の契約などの手続が必要となる。また、廃止の場合には、廃止代替交通の検討が必要となってくる。このような状況の中で廃止予定日を来年3月末日と仮定すると、本年6月ごろまでには存続か廃止かの判断をしていくことが必要ではないかと考えている。
 沿線市町対策協議会としては、市民、利用者が路面電車の今後のあり方を判断していく上で必要なことは、現実的な収支試算や利用者推移などの状況のみにとらわれることなく、路面電車が本来持っているさまざまな機能やまちづくりとの関係など、あるいは路面電車の将来の可能性について十分知ってもらうことが必要ではないかと考えている。対策協議会では作成した検討資料についてインターネットや沿線市町の広報紙に公表し、今後、広く市民の意見を把握したいと思っている。
 沿線市町対策協議会での検討はほぼ終結をしていると思っているので、今後は関係の首長間でその方向性が判断されると考えている。

<質問4>
 市長は存廃のタイムリミットは6月と期限を切られた。考えるに、6月という期限は議会の関係があると思う。
 本来この問題は、何度も言うが、もっと早い時期に岐阜市が真剣に取り組んで、いろいろな協議を詰めてれば、もう少し違った展開になっていたかもわからない。平成9年に実はそういう話をしている。 その後、平成12年に市長が自ら名鉄の関係者と会っているという。出向いたのは1回だと思ってるが、その後色々な問題が出てきて、会社のトップとこちらで会っている。平成15年5月15日に岐阜市長は相手方から訪問を受けている。それを受けて、7月29日に会社へ出かけて向こうの社長と面談をされ、その後2月3日に廃止だということで、今年の2月3日に(名鉄が)市長室を訪れた。市長が名鉄と会ったのは3回しかない。
 その意味では熱心に名鉄に存続しようという話をしてきたというには、その取り組み方が非常に一般的すぎないか。もっと言うと、平成13年3月に岐阜市に対して名鉄サイドから検討委員会の設置についてお願いしたい旨の文書が出ている。この取り扱いをどうされたのか。
 名鉄の応援でもないので間違いないように言っておくが、こういう事実経過がある。ですから、これまでの質問の中で、名鉄が一方的に切ったという話であると言うは、それはとんでもない話じゃないかと思う。
 政治決断の時は6月だとタイムリミットを言ったが、もっと早い時期に決断をして、議会にかける成案も含めて議決しなければならないと思うが、その時期はいつなのかを答えて頂きたい。
 先ほどからずっと言っているのは、いわゆる初期投資額が、今、簿価で82億円ということだが、それが問題だと聞こえる。それが軽くなれば(存続の)可能性としてはあるのかどうか。
 それに、その交渉については、これから積極的に市長自らが率先して相手サイドに行かれるのか。そして、沿線市町の自治体首長との関係も先ほど助役は沿線市町の関係の助役会議ってのは一定限度、もう尽くす手は尽くしたと言っている。あとはやっぱり首長の判断だということだが、政治決断をされる時期ではないかに思う。首長との詰めもどうするのか、これら二点を尋ねておきたい。

<市長答弁4>
 名鉄の路面電車の存続に向けての動きだが、直接、幹部とも私自身も何度か会った。また、私のみならず助役以下、沿線市町の助役も何度も名鉄の幹部と会い、市民の思い、あるいは我々の思いを十分に伝えるように最大の努力をしたということを申し上げておきたい。
 政治的決断の時期は、来年の3月末の撤退ということを睨むと、時系列的に言えば6月末までには方向性を出さなければいけない、と考えている。
 引き継ぐ資産の価値、交渉、もし引き継ぐ場合、当然最大限の交渉をして極力安くということになろうかと思うが、その資産を引き継ぐかどうかについてはまだ結論が出ていない。
 現時点でどのような資産を幾らにする交渉をするかどうか、あるいは、その資産の各沿線市町間の割合等についての議論はまだ行っていない。

<質問5>
 市長がこの間取り組んだ社会実験をいかに受けとめておられるのか、率直なところを伺いたい。社会実験の結果は決して歓迎するような喜ばしいものではなかった。しかし、その中から何を学ぶのかといえば、あの社会実験は結局のところ車を排除するだけの社会実験であって、利用者をふやそう、乗ってもらおうというサービスの、利用者サービスについての手だてが全くなかったことが欠陥だと思っている。その意味では、市長自身の本気があの社会実験でも問われたのではないかと思う。
 長良線の廃止の折にも「チンチン電車を残す会」と一緒に存続を求めた運動を展開してきた。都市計画は住民が移動する手段がどうあるべきかについて軸に考えていくべきだと思っている。1日に1万人が利用する施設がほかにあるだろうか。動く公共施設という観点が必要だと思う。環境博をうたい文句の万博の年に路面電車を廃止してよいのか、問われるところだと思う。
 先ほど実質的な沿線の自治体の事務レベルでの協議はほぼ終わっている。もうあとは首長の協議にかかっていると言っていた。今の段階ではもう市長の決断如何だが、6月という期日の問題、もうこの間昨日や今日の話ではない。市長自身がどう考えるのかを明らかにして、これから6月に向けて市民の意向をはっきりと把握する。6月までに市長が何も語らずに市民の皆さんの意見を聞くという程度では少し無責任ではないかと思う。市長自身がいち早く明確な態度表明を行って、住民の意向を確認していただきたい。そして、住民の意向を確認する際に、広報ぎふでも述べているが、具体的には市民の意向をどう確認するのか、明らかにしていただきたい。

<市長答弁5>
 社会実験から何を学んだのかという質問かと思う。社会実験の際様々なことを行った。この交通実験の中で5,000世帯の市民アンケートも行った。
 また、さまざまな調査も行ったものであります。名古屋鉄道、この路面電車を引き継ぐかどうかについて、私どもとしては、長年、名鉄が公共交通を岐阜市で担い、また、平成15年度の中間決算、9月中間決算では名鉄の鉄軌道全体で約70億円の営業利益を出している状況の中で、さらなる経営努力による存続を強く要望してきた。
 さらに、沿線市町の住民の方々から出された約14万人の存続署名を重く受けとめていただき、撤退の再考も求めてきたが、3月1日、国土交通省に対して廃止の手続を始めたことについては、まことに残念である。
 「乗って残そう運動」、あるいは総合型交通社会実験等で、名鉄が路面電車の経営撤退の理由の1つとして挙げていた、軌道敷内通行不可あるいは電停の安全島設置の交通社会実験なども行った。その中で軌道敷内通行不可実験では定時性の向上が見られ、電停の安全島設置実験についても利用者の安全性向上が確保されたとの結果を得ている。
 この交通社会実験では、路面電車利用者アンケート、自動車利用者アンケート、沿道商店街アンケートを加え、先ほど申し上げたように無作為抽出による5,000世帯の市民アンケートも行った。路面電車は高齢社会の進展がさらに加速し、大気汚染の問題、環境問題、あるいはまちの活性化の問題など、社会状況の変化に対応するために車社会の見直しを求められており、国内では路面電車の見直しや復活の動きがあり、ヨーロッパの都市でも路面電車の活用によってまちが再生した事例も伝えられている。この背景として路面電車は身近な交通手段として、路面から直接乗りおりができる視認性がすぐれた、自動車やバスに比べて二酸化炭素の排出の少ない、まちづくりの面でも大きな効果を発揮する交通手段であると考えている。
 路面電車の存続に当たっての費用負担、上下分離の場合、第三セクターの場合等については、さきの質問に答えているので、割愛をさせていただく。
 いずれにしても、路面電車を存続していくという場合は、市民の税負担の問題、あるいは自分たちの日常生活の中での公共交通の位置づけの問題など、解決すべき問題があり、現状のままでこの路面電車を残すことは大変厳しい状況にあるかと思っている。
 名鉄の沿線市町との協議に当たって、市民の意向調査、意向確認をすべきではないかとの話であったが、先ほど申し上げた交通総合社会実験においも、路面電車に関するアンケート調査も行っている。また、現在インターネット等を通じて様々な意見も寄せられている。今後とも意向については極力吸収できるようにいろいろな手だてをつくっていきたいと思っている。
 また、広報ぎふにおいても対策協議会の検討資料を公表することにしており、それに対する意見等もお待ちしている。
 沿線市町の首長との協議に臨む際は、当然岐阜市としてのしっかりした考えを確定して臨む予定である。
 いずれにしても、6月末までには結論を出したいと考えている。

<中間のまとめ>
 名鉄の正式な廃止手続開始を受けて、凄まじいまでの質問が出されている。ここまでで1日分の分量である。
 それにしても、総合型交通実験の意義や路面電車の利点を強調している割には「存続」を明言せず、その反面で「現状での存続は厳しい」と言ってみたりと、ここに来ても存廃の態度を明らかにせず、この期に及んで「市民の意見を聞く必要がある」という優柔不断な岐阜市の姿勢には甚だ疑問を抱かざるを得ない。
 ただ、答弁を見ると「名鉄の引き続いての経営が第一希望、それが叶わなければ廃止もやむなし」という岐阜市の本音は透けて見えるような気がする。
 推測が事実だとすれば、前者による存続は無理なのはこの時点で明白。ならば速やかに廃止に同意し、代替交通機関の検討に移行すべきだが、それもせず徒に判断時期を引き延ばしているようにしか見えない。

 善意に解釈すれば、上下分離方式ないしは第三セクターといった受け皿会社による経営継承を検討する時間稼ぎと取れなくもないが、その進捗も芳しくないことが見える。それは受け皿会社を設立する際の資産譲渡や自治体間での費用負担に関する議論が進んでいないことからも推測できる。
 注目すべきは、市長の「存続について名鉄に熱心に話してきた」という主張に対して、公的に名鉄と会ったのは僅か三回、取り組みについての努力が言葉とは裏腹なレベルであった点、名鉄から平成13年3月に岐阜市に対して検討委員会の設置に関する文書が出ているが、それを岐阜市が黙殺に近い扱いをした事実があったという点ではないかと思う。
 名鉄が路面電車の経営に意欲を僅かでも残していた時期、もっと早期に岐阜市が動いていればここまで慌ただしい展開を見せることはなかったのではないだろうか。
 
 次回に続く。

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