Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

旧名鉄3路線のレール撤去・続報。

2006-08-02 06:41:53 | 鉄道(岐阜の路面電車と周辺情報)
昨年三月に廃止され、今もレールが残る岐阜市内線、揖斐線、美濃町線。
先月29日にレール撤去が決まったことをお伝えしたが、後追い記事が新聞各紙に掲載されていた。

「旧名鉄3線レール今月下旬から撤去 市中心部の7キロ」(中日新聞、8/1)
「岐阜の路面電車廃線:名鉄の3路線、下旬にレール撤去 /岐阜」(毎日新聞、8/1)
「廃線の路面電車名鉄3線 道路などのレール撤去へ 岐阜、関」(読売新聞、8/1)

これらの記事を見て気づいた所を整理しておく。
○先月31日に岐阜県は名鉄と岐阜市中心部、関市の道路・鉄橋に敷設された線路の撤去で合意したと発表した。「レールの放置はスリップ事故を引き起こす」という県警の指摘を受けての措置。
○撤去で合意した区間は次のとおり。
・JR岐阜駅前から早田大通まで
 正確には既に撤去済区間の終端である吉野町4から始まり、忠節駅手前まで続いている旧岐阜市内線の軌道が撤去区間となる。
これで名鉄岐阜駅前の軌道敷も見納め、ということになる。
・徹明町交差点から長森本町まで
 美濃町線の起点から併用区間の終点となる旧北一色・野一色の間に位置する併用軌道が撤去区間となる。
先の旧岐阜市内線の撤去と合わせて美濃町線の岐阜市内の区間が撤去されることになるため、岐阜市中心部から路面電車の痕跡が姿を消す。
また、新聞各紙では関市内の撤去区間についても触れているが、具体的な場所は記事中から読みとれない。
ただ、推測するに国道156号と併走する旧新田・小屋名のあたりだろう。
○撤去時期は岐阜市内が8月下旬から工事着手、20093月までに撤去完了、交差点部分については12月中旬までに撤去を完了する。関市内の区間は2007年度以降に撤去する。
○工事の費用負担については名鉄がレール・枕木を撤去した後、岐阜県が路面舗装などを行う。県負担となる道路舗装工事費は8億円。

意外に思ったのは軌道撤去・原状復旧に関する費用を名鉄が全額負担しないこと。
原因者である名鉄が全額負担するものと思っていたので、岐阜県の持ち出しが意外と多いことに少し驚く。
道路管理者として費用を負担すべき道路整備が必要になるということだろうか。

今回の撤去合意で既に岐阜市と名鉄との間で撤去に合意している旧田神線と合わせて岐阜市内のレールは段階的に姿を消す。
これに伴って「岐阜地区新鉄道設立準備室」の描く計画は完全に前提を失うことになるが、今回の撤去合意に当然批判し、少なくとも対外的に計画を諦めてはいないコメントを出している。
「名鉄からの資産譲渡ありき」で構想を描いていただけに、これから代替案を考えるのだろうか。
そうなるとゼロから構想はやり直し、現在中部運輸局に出している申請は取り下げか却下、ということになる。
「ゼロからやり直し」ということは自分たちで路線計画の構築から考えなければならないが、構想を練ることはできても費用の手当をどうするのだろうか。
反面で名鉄の路面電車の痕跡に縛られない路線計画を構築できるメリットはあるが、それ以上に莫大な費用が壁となって立ちはだかる。

しかも、岐阜地区新鉄道設立準備室の計画自体、「行政が赤字を負担する」という枠組みで動いている。
欧米では一般的な考え方だが、公共交通に独立採算性を求めることが多い今の日本では一般化するにはまだ時間がかかるし、税負担の前提となる地域の人々の合意が得られている、言い換えれば路面電車に対する運動が盛り上がっているとは言い難い。
そう考えると、「路面電車の再生」ではなく「新生」はもっと現実味が薄い。

岐阜地区新鉄道設立準備室は今後岐阜県に協議を申し入れ、自治体にも協力を求めていくとしているが、前提条件が崩壊した今、方針転換が必要な時期に来ているように思う。
「あきらめるつもりはない」というのであれば、どんな策を持っているのだろうか。
その点が大変気になるところだ。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
訪問 (後藤定明)
2006-08-02 22:12:08
先日、市ノ坪あたりの撮影を、してきました。

日曜日は、駐車場で”すいか割り”するそうですが、久々に”晴れ間の弁慶”も、ありそうで楽しみです。
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