Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

「リニモ」初乗り。

2005-03-06 21:36:34 | 鉄道(都市部)
藤が丘と万博八草を結ぶ磁気浮上式リニアモーターカー「リニモ」が今日、開業した。
今月25日から始まる愛知万博の主要アクセスとして位置づけられているため、人も多く乗るだろう。
そう考えてみると、万博開催期間中はゆっくり乗車など楽しめる可能性は万に一つもない。
このため、開幕前、予定が空いている開業当日に行ってみることにした。
いくら何でも開業初日から「殺人的な混雑」に出くわすことはないだろう。
それともう一つ、万博会場の全景を一足早く見ておきたかったというのもある。

さて。
「リニモ」の始発駅である藤が丘には7時前に着いた。
万博開催期間中に予想される程の混雑ではないにせよ、開業初日ということもあって多くの人が乗ってくるだろう。少しでものんびりしたいと、朝早くの列車に乗ろうと思う。
階段を降り、窓口で開業記念のプリペイドカード(リニモカード)を買ってから7:02発の列車に乗る。購入した「リニモカード」を見る。このカード、「リニモ」区間でのみ使用でき、名鉄や名古屋市営地下鉄では使用できないという。最初から囲い込みに熱心である。
 今日は日曜日だが、平日ダイヤで運行されている。車内を見ると、3両編成の先頭車と最後尾は既に座席が埋まっていたので、中間車の座席に座る。座席は埋まりかけていたが、立ち客はいない。ホームにも人影は少ない。思ったよりも静かな初日である。

 乗車した列車は定刻通りに発車した。浮上して走るが、「浮かんだ」という感じは全くない。その意味では通常の鉄道車両や新交通システムと同じ感覚と言ってもいいが、いわゆる「走行音」は全くしない。ただVVVFインバータの音だけが聞こえてくる。実に静かである。
 藤が丘からの地下トンネルを抜けて最初の駅である、はなみずき駅に到着。よく見ていると停車時間が妙に長く感じられる。車両のドアが閉まってから駅のホームドアが連動して閉まるのだが、その連動間隔がこれまで経験した東京都交通局三田線等に比べると長い。やはり混雑を見越して乗降時間を長く設定しているのだろうか。

 はなみずき駅を出ると、高架を駆け上がって杁ヶ池公園駅に到着。一つ目のはなみずき駅がメインストリートから離れているので、地下鉄藤が丘駅から歩いていくとこの駅にたどり着くような気がする。現に試運転を見に行った時の自分がそうだった。
 ホームには鉄道ファンが数人いて写真を撮っている。ホームドアで列車とホームは完全に仕切られている。しかも完全空調で密閉されているため、写真は撮りにくい。
 
 長久手古戦場駅、芸大通駅とグリーンロードに沿って走る。アップダウンがあるため、なかなか楽しい。それにしても静かだ。おまけに速度が出ているにも関わらず揺れも全く感じない。
 
 公園西駅を出ると、いよいよ「愛・地球博」の長久手会場が見えてくる。会場は愛知青少年公園に手を加える形で造成されているので、何か既視感のようなものを感じる。
 会場を見ると、既にパビリオンも完成しており開幕を待つばかりとなっている。
 かつて青少年公園の入口だった場所に「万博会場駅」が設けられている。ここから車両基地の出入庫線が出ており、一番規模が大きい駅となっている。ここは他の駅とは違い、乗車ホームが密閉されていないため、写真が撮りやすそうだ。帰りにここで写真を撮ろうと思う。

 万博会場駅を出ると、また一段勾配を上る。急勾配に強いリニモの特徴を実感する。
 グリーンロードを見下ろす形で終着駅の万博八草に到着。17分の短い旅は終わった。17分の乗車時間で360円というのは高いかどうかは判断が分かれるところだが、たまに乗る分にはいいのではないだろうか。
 到着した列車はそのまま折り返すのではなく、一旦引き上げ線に移動してから藤が丘方面ホームに入線する。完全に乗降は分離されている。従って、折り返そうと思ったら一旦改札口を出て藤が丘方面ホームへ移動する必要がある。
 
 万博八草駅で愛知環状鉄道線と接続している。その愛知環状鉄道の電車を撮ってから、今度は万博会場駅まで歩いてみる。


高架を見上げると列車が音もなく移動してくる。微かに聞こえるインバータ音で列車がようやく接近していることを認識する。おまけに高加速だからシャッターチャンスをハズされることもしばしばあった。
 高架を見上げながら歩く。グリーンロードを車が飛ばしていくが、日曜日の早い時間帯ということもあって、台数は少ない。
 
 陶磁資料館南駅を右手に見つつ、藤が丘方向へ歩いていくと車両基地が見えてきた。フェンス越しにカメラのレンズを差し込んで全景を撮ってみる。外に留置されている編成は見あたらないので、全部出払っているようだ。


車両基地を見てからしばらく歩くと、今度はゴンドラの支柱が見えてくる。これが多分、瀬戸会場と長久手会場を結ぶゴンドラなのだろう。このあたりまで来ると、長久手会場が見える。ちよっと目を凝らすと、ゴンドラの発着所が見える。ゴンドラは整然と並んで出番を待っていた。



 更に歩いて、ようやく万博会場駅に着いた。ここまでの所要時間は、大体15分程度だろうか。
 駅を見上げると、多くの人が階段を下りてくる。様子を見ていると、大半の人が今日開催される研修会に参加する運営ボランティアのようだ。
帰りの切符を買って藤が丘方面のホームへ上がる。確かに密閉されていないので、撮影に支障はない。

リニモを手軽に撮ろうと思ったら、ここか杁ヶ池公園駅を出た所しかなさそうだ。
しかし、予想される混雑を考えると万博期間中の撮影は間違いなく無理だろう。


 万博八草へ向かう列車を撮影して、ふと下を見下ろすとIMTSの後ろ姿が見えた。今日の新聞で桃花台線への採用が検討されている旨が報道されている。行きがけの駄賃とばかりに撮影する。


ホームからパビリオンを一望するが、それにしても観覧車が多い。
一度は行こうと思ってチケットは一応買ってはあるが、どれだけのパビリオンを回ることができるだろうか。一抹の不安を覚える。

見る物は見たので、帰路につく。
万博八草からやってきた列車はほぼ満員だったが、ここで半分以上の乗客が下車していったため、先頭車両の進行方向に座ることができた。先頭部を見ると、運転要員が乗車していた。さすがに初日から無人運転をすることは考えていなかったらしい。

藤が丘に戻ったのは9:26。出発時に比べるとホームで列車を待つ人の数は増えている。
改札口を出ると、これからの混雑を見越して既に乗車と下車で動線が分離されていた。対応が早い。
地上に出ると、係員が「出口専用」の貼り紙をしていた。

開業後3週間足らずで愛知万博が開幕する。果たしてパンクすることなく運行できるかというと不安はある。それよりも万博終了後に地域の足として定着するかどうか注目したい。
そして、磁気浮上式リニアモーターカーが普及するかどうかも。

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