Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

寝台特急「出雲」、廃止検討へ。

2005-12-01 22:59:19 | 鉄道(JR)
すっかり影が薄くなってしまった東京発のブルートレイン。
3月ダイヤ改正での「さくら」と「あさかぜ」廃止は記憶に新しい。
この二本に続き、今度は東京・出雲市間を結ぶ「出雲」が廃止検討の俎上に上がった事が報道されていた。

「特急「出雲」廃止を検討 JR、年内にも結論」(日本海新聞、11/30)

記事の要旨をまとめると次のようになる。
○28日の鳥取県議会議会企画土木常任委員会でJRが「出雲」の廃止を含めた運行見直しを検討している事が明らかにされた。JRは12月中に運行を打ち切るかどうか結論を出す見込み。
○鳥取県は観光面への影響などを懸念し、お隣の島根県と連携して存続を訴えていく構えを見せている。
○JRによる「出雲」の運行見直しの主な理由は次のとおり。
・非常に悪い採算性
・車両の老朽化
・ライフスタイルの変化によるレジャー型利用へのシフト
○JR側の動きに対して鳥取・島根の両県はJR東日本・東海・西日本の三社を訪れて「出雲」の永続的な運行を求める要望書を提出した。その中で餘部鉄橋の架け替えや山陰本線の高速化で多大な地元負担を行っている事を強調している。

「出雲」廃止の噂は結構前から出ていた。
JRになる前に食堂車がリニューアルされた程度で、国鉄時代の姿を色濃く止める編成。相対的に陳腐化する車両。
営業面で積極的なテコ入れがなされていない事は傍目にも明らかだった。

見直しの理由として挙げられている「採算性の悪さ」がその一因だろうが、「一夜の代価」としての寝台設備が現在のニーズに合わなくなっている事も大きいだろう。
「卵が先か、ニワトリが先か」の議論ではないが、夜行列車の廃止や運行見直しの報に接すると、他のJRとの調整が面倒といった事情により陳腐化するに任せ、乗客の夜行高速バスをはじめとする他の長距離交通機関への移転を招き、ただでさえ採算性が悪い列車の採算をより悪化させたJR側の方に問題はなかったかという印象を強く持つ。

そして、「出雲」が走る但馬地方からは東京へ直通する高速バスや飛行機の便はない。東京と但馬地方を直結する夜行列車が消えると、地域振興の面から見て大きなマイナスになる事を鳥取県は挙げている。

また、もう一つ興味を惹く点として、JR西日本の高速化事業や餘部橋梁の架け替えに多大な地元負担を強いられる「代価」として「出雲」の運行存続を求めている事がある。
これを地元の「強欲」と見るか、「当然の権利」と見るかは人それぞれだが、個人的には理解できる所もある。

しかし、今の「出雲」はJR東日本の車両で運転されており、鳥取県や島根県を走るJR西日本の車両ではない。
JR東日本としては旨味が少ない列車だから、漫然と走らせている印象がどうしても拭えない。
仮に存続の願いが通じるのであれば、JR西日本が主導権を取って営業できるようにする施策(車両の持ち替え等)が必要なのかもしれない。
記事を読んで、そんな事を漠然と思った。



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1 コメント

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Unknown (あんぱん)
2005-12-05 16:50:00
はじめまして。



 出雲号に関しては若干の誤解があると思います。

 出雲はかつて2往復でした。JR西日本持ちの2・3号については、個室寝台の改造や3段寝台限定の高速バスより安い格安切符の投入を行ってきました。その結果、夜行としては比較的高い利用率を維持し、究極的な改善策としてのサンライズEXPの投入が行われました。これに伴い客車列車で残った出雲1・4号については、2・3号のスジへの載せ替えが行われました。

 山陰側からの東京往復割引切符については昼行と同時に出雲号の利用も追加料金無しで可能としており、智頭急行開業直後には智頭急行の運賃・料金は別途必要でしたが、この点の改善も行われています。

 出雲号についてはJR側の改善策以外に地元自治体の出張利用を呼びかけたり、長年出来る限りの改善が行われてきましたが、JR東日本が東海道~東北線の直通化に伴い、品川車両基地の廃止・再開発を中期経営計画で打ち出している点です。品川車両基地の機能を尾久へ統合させてしまうつもりでしょう。

 東海道・東北線は神田付近の二層高架の影響で急勾配になる見込みで、客車列車の設定が極端に困難となり、東海道線を使う客車夜行列車の息の根を完全に止めてしまう可能性が高いのです。



 現実問題としては、但馬地方~首都圏に直通交通機関が出雲号以外に無いことです。早期廃止を迫るJR東日本やJR東海に対して、JR西日本は早めのリークを行い地元自治体の反対を打ち出すことで餘部鉄橋の架け替えまでの現行体系の維持を迫っていると考えられます。



 サンライズ出雲については、伯備線経由にこだわる必要性は低いと考えられます。定時性の維持と電車であること、要員面が原因だと思いますが、車両基地を旧出雲電車区としたことが伯備線回りを強いているだけです。

 サンライズ出雲を山陰線回りへ変更することで需要と供給のアンバランスを解決出来ると考えられます。サンライズEXPは車両落成時にEF65PF牽引によるカニ24からの給電試験を大阪→岡山間で行われています。車両限界の制限がなければ、米子~城崎温泉(豊岡)間でDD51+カニ24により牽引することで、非電化区間での走行はできると考えられます。

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