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森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

近刊情報:脳を学ぶ(3)

2011年04月15日 16時25分23秒 | インフォメーション
森岡 周の「脳」レクチャー・シリーズ
脳を学ぶ(3)[音楽CD付]
アンサンブル・グループ「ブーケ・デ・トン」との対話



森岡 周,齊藤佐智江,猿渡紀子,飯島多恵 著

ISBN 978-4-7639-1063-9
A4変形判 144頁 2011年5月初旬刊行予定
予価 3,990円(税込)

日記:エンジン

2011年04月14日 23時44分55秒 | 日記
新年度がはじまり,ひとサイクルを終えました.
それまでは,なかなかブログを書くタイミングがなく,
結構な間を空けてしまいました.
世間はtwitterやface bookですが,
情報の循環としてはそれでいいんですが,
私は長いブログを短時間で書くという,
思考のトレーニングのためにブログを利用しているので,
それにはマッチングしないのです.
通常,原稿用紙5枚~8枚程度のブログを一気に書きあがることに
意味を見出しているという変わった人間なのです.

さて,前週よりM2の研究計画&予備実験結果の発表がはじまりました.
先週は,大住君より,痛みの脳機能イメージング研究が話題提供され,
EEG,時間分析,sLORETA解析の一部の結果が報告されました.
これに関してはpreを終えてきたので,
来るべき本実験に向けて準備を整えはじめます.

続いて,尾崎君よりawarenessとmotor learningに関する計画が発表されました.
これに関しては,手続き学習を選択するのか,環境適応学習を選択するのかで暗礁に乗りあげ,再度計画を見直すことになりました.
いろんなところに座礁をしつつ,最終的に帆はまっすぐ進むようになります.
それが研究というものです.

そのあと,千代原君より,運動学習におけるdefault mode networkの役割に関する研究計画が発表され,これに関しては倫理委員会に提出する書類作りを指示しました.
ブロック学習における課題前の脳波状態の安定化がいかに運動学習にかかわるか,
データがみものになれば,国際雑誌もいけるでしょう.

先週の木曜日にそのような研究発表を聴き,
エンジンをかけて,金曜日は岡山に向かいました.
今年度最初の授業が自分の大学でなく,
非常勤講師であるとは・・・なんかのご縁で.
ここでは前期は教育学,後期は人間発達学を担当.
初回は人間は学習していく生物であることを話し,
後天的な要因を教育学的視点から話しました.

土曜日に帰り,もはや11月までびっしりと入っている講演ですが,
4月は1本しかなく,週末が休めるということは何と幸せなことかと実感したことでした.
大学前の高塚地区講演は桜が八分咲き,
そして自宅の自分の部屋から眺めることができる山桜も,
この1週間で咲き誇り,そして散ったのでした.
桜の命は実にはかない.
日本人になぜ桜が愛されるか,その美学に触れたのでした.
欧米人にはわからない,この切なさの感覚は,
医学が欧米輸入では一枚岩にはいかないことを示してくれます.








私の専門のリハビリテーションは,
実に医学の範疇におさめることは難しい.
リハビリテーションとは治療学ではなく,
教育学であると思います.
患者が新しい自分を創っていくための援助という.
二人三脚で学習していくという教育であると本当に思えます.
だから,病院という枠組みではリハビリテーションの良さが出ないと思います.
医療の中にあるから,
薬のような視点が入ってきます.
だから,いっそのこと,医療の枠組みから出るように,
と思う次第です.
なんか,直観なのですが,病院でリハビリというのがすごく古臭い.
畿央大学では,新しいプロジェクトとして,
近々,みなさんにその箱を提供できればと思います.
脳は創造性の源.

火曜日より大学の講義がスタート.
今年度は看護医療学科の感情体験の脳科学からはじまりました.
一昨年は30名が選択,昨年は80名,そして,今年は20名足らず,
ジェットコースターのように動き回っています.
この理由は時間割にあり,
昨年は13時からで,午前と夕方の必修授業の間で,
その間を埋める目的でとってもらっていたが,
今年は16時20分から17時50分の時間帯だから,とる人がいっきに減りました.
それでも選択している学生は,案の定,きちんとした道徳をもっている学生たちでした.
患者ケアに必要な感情の読みとり,そして患者さんの感情の変化がなぜ起こるのか,などできるだけ,実のある講義にしたいと思っています.

火曜日の19時40分からは大学院修士課程の第1回目の神経リハビリテーション学特論,今回はオリエンテーションで,これからも道のりを話し,
そのあと,プレゼンの順番を決めました.
今年度は8名のM1,2名のD2をむかえました.
近々ホームページを更新しないといけません.

水曜日はこれまた教育学部の初回授業.
発達脳科学も5年目になります.
今年は51名の受講者がいて,
昨年は20名足らずだったので,これも大幅に変化.
選択科目は準備がくるうときがあるけど,
逆にそれはそれで面白い.その場で変えないといけないという問題解決能力が問われる.
後半の脳実験では大変になるかも.
教育の学生もせっかく,畿央大学には多チャンネルNIRSが2台,
そして,128chのEEGがあったりするので,体験してもらいたいと思うのです.
そうすれば脳科学を身近に感じることができます.最近,脳科学本に対する批判本がいくつも出てきましたが,お互い様です.
所詮人間は自分中心な動物であると,
そういう本を見るたびに思うのです.
新書が蔓延してきて,昔のよき新書でなく,
どうでもよい新書が増えてきました.

そして,本日,理学療法学科の授業に入りました.
2年生の発達系理学療法学と3年生の神経系理学療法学.
2年生では胎児期の発達を話し,
実際に受精から生まれるまでの写真を見ながら,
胎児期に何が機能発達するのか,そしてどのような機能を持ち得るのか,
そしてマクリーンの脳の3層からどのように神経系が発達するのか,
そのような話をして,来週の反射に向かいます.
神経系理学療法学では高次脳機能障害の概説を話し,
大まかに脳の4つの葉,そして劣位と優位,
そのような視点から様々な高次脳機能障害の症状を話し,
特に次週から詳しく述べる失認と失行の大まかな病態を解説しました.
私の専門を話すには15回では少なすぎる.
時間がないので,ゼミの紹介はさらっと流しました.
まあ,力をいれてもしかたない.
来るべき人間が研究室に配属される.

そのあと,18時より大学院の必修科目
美しく生きるための健康科学総合特論の授業に向かいました.
今年度から看護学分野が入り,
教室には看護師の方々が見え,
いつもとは違った空気感で1時間半気持ちよくしゃべりました.

オリエンテーションをかねてですが,
どのように研究していくのか,どのように情報収集していくのか,
そして大学院生活をどのように構成していくのか,
と話,最後には建学の精神の意味を語りました.

人間にしか,創造性をもった美意識は持ち得ないのです.
文化の形成の意味は科学にも大いに通じるのです.

そのあと19時40分より院生の発表を聴きました.
今日は植田君の歩行時の脳活動に関する研究,そして山田さんによる姿勢バランス時の軸足の膝運動のなめらかさに関する研究が取り上げられました.
植田君は予備実験から,
トレッドミル歩行でなく平地歩行での脳活動において,
歩行の準備期,1~3歩行周期,そして,5歩行周期と
脳活動が変化することがわかりました.
私たちはある方法でNIRSを移動させ,そして平地歩行中の脳活動の記録が実現可能になりました.
一方,山田さんの研究は第1実験をおえ,いよいよ正念場の第2実験.
膝の加速度を時系列に分析することで,ある傾向が見いだせればよいと思っています.
久しぶりにバイオメカニクス研究にふれています.
20代半ばのころはいろんな計算式から姿勢制御や筋活動を分析していました.
そのころの自分が懐かしく思えます.

21時過ぎに終え,みんなの財務管理をして,
本日4コマのハードな日が終えました.

明日は岡山で講義です.


日記:心意気

2011年04月08日 10時52分15秒 | 日記
卒業式後,いくつか出張や講演があったけど,
比較的,ゆっくり過ごすことができました.
その間,仕事はほどほどに,というか書きものはせず,
少し校正程度の文章書きをして,
Pain Rehabilitation(松原貴子,沖田実,森岡周;三輪書店,5月出版)の担当章を仕上げました.
このメンツとは15年の付き合いになるが,松原氏の序章では,当時を振り返り,つまり20代半ばを振り返り,そのときのエピソードがかかれてある.

「強すぎるほどの個性をもち合わせた3人」とは,まったくもって共感し,
毒をはく3人,そしてどこにも属さない?3人が今は中堅としてある程度適応しているのを観察すると,年をそれなりに重ねてきたものだと思う次第です.
「この業界に爆弾を!」と毒をはいていたM氏が今はガイドラインを策定するという仕事をしていると時代は変わってきたのだと,ある意味,尊重できます.
一方で,臨床の現場との解離は否めません.
それを払しょくするように講習会が多く開催されていますが,
逆に不安感を露呈しているようにも思えます.

臨床力とは自分自身の精神に宿る.
講習会よりも目の前の患者さんの現象が学ぶ材料であることを忘れてもらいたくはない.
ある意味,切迫感を持ち,ある意味,楽観をもつ.
そのせめぎ合いで臨床をしていくしかない.

さて,大学の授業はまだですが,
本日より,岡山での講義がスタートです.
右も左もわからない,1年生の最初の講義はいつまでたっても,
いやなものです.
教員も17年になりますがその気持ちは今なお続きます.

成長しているようで,成長していない.
だからこそ,「生きる」意味があるのではないかと,思う次第です.

脳を学ぶ(4)も始動していかねばなりませんし,
私自身が待望の「リハビリテーションのための~」シリーズも準備しないといけません.
その前に,大学の授業です・・・
看護医療学科の講義も3年目,教育学部の講義も5年目,今だに他学部の授業はこれまたつかれる・・・
と,教員の4月病にかかりつつ,プロ精神のもと,やりながら調整し,今年ならではの手ごたえを感じるよう,進んでいきたいと思っています.

ここでも,自分自身に対して,

「嬉しいことは手ごたえ」「悲しいことは口ごたえ」を心におきながら.

4月から8月上旬までの講演・発表スケジュール

2011年04月07日 13時46分26秒 | インフォメーション
2011年度 コスモリハビリテーションサービス講習会 講演
日 時:平成23年4月24日(日) 9:30~15:30
会 場:野田病院 リハビリテーションセンター(2階)
千葉県野田市中里1554-1 リハビリ直通TEL・FAX:04-7129-8155
講 師:畿央大学健康科学部教授 森岡 周先生
内 容:「脳神経生理学:ニューロリハビリテーション(応用編)」


石川県理学療法士会 学術研修会 講演
日時:平成23年5月15日(日) 14:00~15:30
場所:ホテル金沢
主題:神経機能回復と運動学習
講師:森岡 周(畿央大学)
対象:理学療法士,他


合同会社geneセミナー講演 
テーマ:リハビリテーションのための脳・神経科学入門
講師:森岡 周 先生(畿央大学 健康科学部 理学療法学科・教授)
日時:平成23年5月22日(日) 10:30~16:30(受付10:00~)
場所:科学技術館 地下2階 サイエンスホール  
東京都千代田区北の丸公園2-1


第46回日本理学療法学術大会オープニングセミナー講演
日時:5月27日(金) 9:00~10:20
会場:シーガイアコンベンションセンター第1会場(天瑞)
テーマ:脳科学からみた運動学習
講 師: 森岡 周(畿央大学 健康科学部)


senstyle 学術研修会 in 福岡 講演
日時:5月29日(日)13:30~16:00
テーマ:神経科学を用いた脳血管障害に対するクリニカルリーズニング
講師:森岡 周(畿央大学)
会場:福岡市立少年科学文化会館
福岡県福岡市中央区舞鶴2丁目5−27


身体運動学セミナーⅢ 講演
日時:平成23年6月5日(日)13:30~15:00 講演Ⅲ 
テーマ「脳卒中後の上肢機能障害に対するニューロリハビリテーション」
講師:森岡 周 先生(畿央大学理学療法学科・教授)
場所:埼玉教育会館(〒330-0063 さいたま市浦和区高砂3-12-24)201+202号室


peach workshop 講演
日時:6月11日(土)18:00~21:00  12日(日)10:00~15:00
テーマ:ニューロリハビリテーションのための神経科学の基礎
講師:森岡 周(畿央大学)
場所:未定(福岡県)


14th European Congress on Clinical Neurophysiology 演題発表
Names and Title: Morioka S, Yoshikawa N and Matsuo A: The Effect of Transcranial Direct Current-Stimulated Motor Imagery on the Excitability of the Anterior Horn Cell of Spinal Cord
Date: 21-25 June 2011
Location: Centro Congressi Europa, Università Cattolica del Sacro Cuore, Largo Francesco Vito, 1, 00100 Rome, Italy


畿央大学ニューロリハビリテーションセミナー(基礎編) 講演
日時:平成23年7月2日(土),3日(日)
講師:森岡 周(畿央大学),他
テーマ:脳の発生と構造,他
場所:畿央大学KB04教室


Active Step特別研修会 講演
日時:平成23年7月9日(土),10日(日)
テーマ:未定
講師:森岡 周(畿央大学)
会場:未定


NDK横浜研修会 講演
日時:平成23年7月17日(日) 10:00~16:30
会場:横浜市スポーツ医科学センター
テーマ:神経科学から考えるリハビリテーション
講師:森岡 周(畿央大学)

 
日本理学療法士協会理学療法士講習会 講演(徳島県理学療法士会担当)
平成23年7月24日(日)9:00~12:00
場所:徳島文理大学アカンサスホール
テーマ「身体知覚と運動学習」
講師:森岡 周(畿央大学)


高次脳機能障害支援普及事業 北陸ブロック連絡協議会 講演
日時:平成23年7月30日(土曜日)13:30~15:30
テーマ:未定
講師:森岡 周
対象:当事者・ご家族、高次脳機能障害に携わる関係者,一般の方


第16回痛みを基礎から臨床まで考える会 学術集会
場所:2011年8月6日(土)・7日(日)
会場:名古屋国際会議場 会議室234 (名古屋市熱田区熱田西町1番1号)
シンポジウム:ペインリハビリテーション
司会 長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科      沖田 実
日本福祉大学 健康科学部       松原貴子
「 痛みの解剖生理学 」  名古屋学院大学 リハビリテーション学部    肥田朋子
「痛みの末梢機構」    長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科     中野治郎
「痛みの中枢機構(認知面)」畿央大学大学院 健康科学研究科     森岡 周
「痛みの中枢機構(情動面)」甲南女子大学 看護リハビリテーション学部 西上智彦

ニューロリハビリテーションセミナーに関して(3)

2011年04月06日 11時21分25秒 | インフォメーション
昨日10時より募集を開始しました本年度のニューロリハビリテーションセミナーですが,2時間ほどですべての講座が定員をオーバーしました.現在,応募開始から1日経過しましたが,のべ800名ほどの申し込みをいただいております.よって応募を締め切る決断をしました.どうかご了承ください.なお,これから後に各雑誌に「お知らせ」として掲載されると思いますが,それに関しても併せてご了解いただければと存じます.
多数の申込ありがとうございました.

ニューロリハビリテーションセミナーに関して(1)

2011年04月06日 11時11分33秒 | インフォメーション
昨日10時からニューロリハビリテーションセミナーの受付を開始しましたが,
11時20分ごろまでに送信された申し込み確認のメール内で,
応用編,臨床編の開催日が間違って昨年度のままになっていたようです.

(訂正して現在は正しい開催日で作動しているようです.)

後日改めて申込みいただいた方全員に受講の可否に関してメールで知らせるようです.

正しくは下記(ホームページ通り)です.

基礎編 平成23年7月2日(土)・3日(日)
応用編 平成23年9月10日(土)・11日(日)
臨床編 平成23年12月3日(土)・4日(日)
実践編 平成24年2月25日(土)・26日(日)

ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません.

アンサンブルとしての日本

2011年04月01日 08時08分55秒 | 脳講座
年度が始まり,すがすがしい季節になりました.3月,4月は日本人にとって特別な季節のような気がします.欧米では学校は9月始まりのところが多く,彼ら彼女らと私たち日本人の持つこの3月,4月はおそらく違った一人称の感覚を持っているでしょう.いや,それは一人称ではなく,日本人固有のこの季節感覚だと思います.「春」という言葉に心晴れやかに,そして心すがすがしく,そして心飛び跳ねるような,と比喩表現がいくつも浮かんできます.それだけ,日本人にとって「春」は特別なものです.私は教職についていることから,この春はまた特別な存在です.先日,ある中学校の卒業式を見て,教師という仕事は実によい仕事だと思った次第です.別れがあり出会いがある,それが3月と4月に確実に.そして,教え育むという行為は,物理的・物質的関係でなく,人との関係でしかうまれないし,意図的な行為を介してでしか表現できないものです.我々の身体は物質でしかないのですが,身体と脳が関係しあうことで,物質を超えた生命になるのだと思います.それに息吹を送り込むのが,意図的な関係なのでしょう.この意図的な関係は,一方向の刺激システムでは生まれません.互いに求めあい協調し合い,そして,協調し合うことでエマージェンス現象が起こり,新しい関係性に導かれる,そんな連関性です.だからこそ,教師-学生・生徒の関係は特別なものなのかもしれません.恩師のことばが心に響くということは刺激でなく,自らがそれを求めていたから,そう感じるのです.

さて,私も3月31日で社会に出て20年が経過し,21年目に突入しました.親元を離れて20年が過ぎたといってもよいでしょう.一人立ちしているかはいささか疑問で,周囲に支えられて生きてきましたが,ここ最近,支えられるというよりは支える方が多くなり,自分の役割の変化を感じつつ,これからは,自分のために生きる,あるいは周囲だけのために生きるのではなく,社会に貢献していくべき年なのだと実感している次第です.反面,自分自身をさらなるステージに上げたいという欲求もまだ持っています.それは「地位」「名誉」ではなく,知的好奇心であり,ある程度「脳」について理解をしてきましたので,「もう少し」で光が見えそうなのです.何が見えるかはわかりませんが,なんかそうなのです.私にしかわかりえないこの感覚です.だからこそ,そのなにかをわかるために,一度,リセットし,旅に出てみたい気持ちにもなります.肉体的,精神的には45歳までかなと思いつつ,マズローの第6欲求の社会コミュニティ発展の欲求と自己実現の欲求が私の脳内で往来しているのです.

一方,書きたい脳と書けない脳もいつも往来しています.本年度5月には「脳を学ぶ(3)-音楽家との対談(協同医書出版社)」が出版されます.人の社会にとって,音楽は欠かせない道具です.音楽がなくても生物学的なヒトは生きていくことができますが,果たして,社会学的な人は存在しているでしょうか.そのようなことを考える本になっています.音楽家が音楽家として存在するという意味,そして,人にとってリズムを生み出すとは?そのようなことを考え,音楽(道具)と脳を関係を紐解きながら,人の生活を豊かにするためにはを考えるきっかけになる本になればと思います.毎回,このシリーズは文章だけでなく,他の媒体を通じて学ぶ手続きを施しています.1作目はクラフト工作,2作目は写真家による写真,そして本作は音楽家によるCDです.アンサンブルとは「~一緒に」「揃い,全体という意味です.この時世だからこそ,「~一緒に」という言葉がとても重要な意味を持つのかもしれません.日本国民が一緒になり,そしてアンサンブルし,この戦争以来の危機と表現される時世を前向きに歩んでいかなければならないのかもしれません.若い力には,そのエネルギーとなってもらいたいと思います.被災地に「音楽」が届き,鳴り響くようになるには,もうしばらくかかるかもしれませんが,その時には,心跳ねるような脳の来歴の変化が生まれるのかもしれません.