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森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

日記:仕事は生涯の遊び!

2011年04月29日 08時07分18秒 | 日記
もう金曜日ですが,時間差で月曜日からの出来事を書くということは,
なんか不整合な感じが脳内でします.
それ以降様々な経験があるので,
自分が更新しているにも関わらず,
月曜日に戻るからです.

なんか論文の修正をしているときの気持ちに近く,
例えば,査読に時間がかかり,数ヵ月後に修正がきて,
その修正をして提出し,また修正がきて,それが何回か繰り返されると,
もう1年以上前に書いたものを修正するという心です.
特に日本語の論文はその繰り返しが長く,
もう新しい実験が始まっているのに古いものと対峙しないといけない,
つまり自分がそれを乗り越え新しい仮説を生み出し,
その証明作業に入っているが,昔の更新していないものをまだ操作している感じです.
それに対して,英文誌は極めてはやい.
実にスマート,シンプルです.
Review がかたよってないのがわかります.

さて,月曜日は,福岡の実習地にいって,
学生を励まし,指導者に問題点を聴き,
それが解決すべき問題なのか,
そのまま経験をつませるのでよいのか,
と話し,特に問題がなく,スムーズにいっているようなので,
学生をほめ,そして夜の街に消えました.

学生も入り,安藤先生,小鶴先生と,
上肢と下肢の神経機構の違い,
どのように運動が表象されているかを話して,
身体近位部は意識の下で制御されていると話して,
特に頸部,体幹は正常発達において,
胎内で完成されており,これは環境に依存せず,
意識の下での制御であり,どのようなエクササイズであるべきかを議論しました.
また,上肢の到達運動と歩行の周期運動は脳内システムが異なり,
これもどうすべきかを議論し,
この両者において,脊髄固有路,視蓋脊髄路や網様体脊髄路などを考慮したエクササイズ,そして,皮質背傷路とそれらがどのような関係をもつことによって,
機能し始めるかを考察しなければなりません.
体性感覚野や頭頂葉から脊髄に向けて,遠心路が出ていることが発見された現在,
いろんなことを考えないといけないのです.

一方,ブロードマンエリア4a,4pの機能的差異に基づく臨床,
特に,4aは他動運動→固有感覚,4pは運動イメージ・運動観察・能動的接触,
そして,4aは近位部の身体表象,4pは手指特に母指の身体表象の違いに基づく
臨床介入をレビューし,考案し,その理論的根拠を明確化したのち,
臨床介入を行い,その効果を年内に検証しなければなりません.

本年度は科研費の結果が基盤C,若手Bがまだ出ておらず,
研究計画をたてられないのが現状ですが,
可及的すみやかに仮説検証に入らなければなりません.
震災後,さまざまなシステムが機能しておりません.
まさにdiaschisisです.

学生は我々の意味不明な議論によくたえてくれました.
安藤先生は50歳を超えられていますが,
いまだにいろんなことを発見することを楽しんでいます.
論文をよむことが報酬になっているのです.
仕事は労働でなく,
知的好奇心をわかせる「遊び」でもあるのです.
「遊び」感覚が失われると,それは苦しか人間に与えません.
よく遊んで,よく学べというのは,
その遊び感覚のなかから学べというものであり,
遊びと,学び,遊びと仕事を解離させているのではないのです.
脳は一つなんだから,そのような器用に分配することはできません.
仕事は究極に自分自身の遊びなのです.
だから,苦痛とは思わないのです.
仕事がいやだというのは,まさに絶望であり,
人間はそれに対してたくましく生きるために,大脳辺縁系と大脳皮質でコラボレーションし,問題解決しようとするのです.
しかし,それが負の方が繰り返されると負のスパイラルにおちいってしまい,
負が強化され,絶望感で脳内が支配され,その矛盾,
すなわち,自分はこのように考えているのに,
どうして職場はそうは考えてくれないのだろうというものが何回も生まれると,
報酬が負になり,負が強化され,
その矛盾を解決するために,言っても無駄だ感を脳のなかにつくるのです.
自己を防衛するための脳の機能です.

さて,火曜日に福岡をたち,
そのまま大学に.
ここでは健康科学研究所をどのように機能させるかを議論し,
サバティカル制度の考案など,建設的な意見が交換されました.
研究にある期間専念させるために,
普段の業務を外れる,そういう機能をもたらすことで,
大学全体の活性化につなげるというものです.
また,客員研究員などの構想,そして,予算をどのようにしていくのか,
そのための事業拡大を考え,
自己の利益でなく,組織の利益をどのように考えていくか,
役職の面々が知恵を出し合い,検討するというのが理想的な職場です.

そのあと,看護医療学科の授業をし,
情動と扁桃体,海馬,視床下部,脳内ホルモン,
男女の違い,などを話しました.
受精のビデオがみたいニーズにこたえて次回はそれを見てもらおうと思います.
授業後,イギリスや北欧の看護・医療システムがどのようになっているか興味があると,
1名の学生がよってきて,
また授業のなかで,イギリスのNHSのことなどを話そうと思います.
2か月ほど,イギリスのBath royal united hospital,1か月ほどスウェーデンのKarolinska University Hospitalで研修していましたが,
現在の医療システムがどのようになっているかは不明で,
少し調べてみようと思います.

その後19時30分より21時まで大学院の授業をして,
22時頃,ふらふらになりながら帰ったのを記憶しています.

金曜日から火曜日までの,岡山~千葉~福岡のロードは終わったのでした.