無事にニューロリハセミナーを終えることができました.
2日目ホールのプロジェクタ破損というトラブルにも恵まれ??
我々の問題解決能力が問われました.
まさかの事態に,情動反応が起こりそうですが,
社会的認知を活かして,なんとかこの状況での最善の方法を考える.
ワーキングメモリとソマティックマーカーを使い,
前頭前野が,この状況で最もよかろうという手続きをたて,
運動関連領域が運動行動をプログラムする.
それには情報処理システムが作動しておくことが必要です.
現状の感覚情報を処理,特に,空間,時間に関して処理し,
顔,表情知覚を優先しながら,そして,何よりも内的な過去の経験を使い,
現状の知覚と記憶を照らしわせて,手段を導き出す,
まさに,不測の事態の発生に対して行為を導き出す,
つまりactするということは,人を人たらしめる所以であるのです.
不測の事態が起こり,それに基づき,成長するということは
人にとって最も大切なことではないでしょうか.
最近,外的な環境が豊かになり,
不測の事態の発生がきわめて少なくなりました.
コンピュータでナビゲートされる世の中,
また,社会に危険が発生することから,
親に常にナビゲートされるこどもたち,
不測の事態の発生が,他の人,物に未然に防がれ続けると,
脳の発達・成長が起こりません.
障害者のバリヤフリー一点張りもその一つです.
必ずしも,人間のQOLは,外の環境の整備により,
見かけの住み心地を与えることではないのです,
自分でクリアできるからこそ,報酬が生まれ,
そして,意欲が生まれ,挑戦ということを連れてくるのです.
自己報酬系が作動することで,
内なる行動プログラムが生まれ,外の世界と相互作用していくのです.
人間の行動プログラムは外的な世界と身体が相互作用するだけでなく,
自己の内部から湧き上がる報酬系が作動することで,
前頭前野はその2つの情報を統合し,一番最適な方法を導き出し,
適応的学習を生み出していきます.
見かけの幸せに惑わされるべからず.
セミナーの方は,基礎編では教室,応用編ではホールと,部屋が変わり,
ホールが座りやすいのは間違いないのですが,
教室のような講師との一体感が生まれず,
つまり,空間の拡大は,自己の身体の延長では,処理できず,
相手から生まれる表情,行動が直接的に認知することができず,
例えば,空間が広いことから,相手の表情の細かさを感じることができず,
また,冗談を言って,笑による聴覚フィードバックを自分の身体で感じ取ることができず,
リアルタイムな自己フィードバックが作動せず,
映画上映のように,一方向的に情報を渡してしまい,
ライブのような感覚にはならなかったという問題点があります.
もちろん,これは役不足であり,それでも楽しませるというのがプロなのでしょう.
人生すべて勉強です.
ただ,1日目に比べ,時がそれをつないでくれるため,2日目はある程度修正が可能になり,
初日に比較すると一体感はありました.
何回も繰り返すと,その言葉が出ただけで,笑をつくるとことができる.
それが鉄則です.
しかし,私たちはお笑い芸人ではないため,
そちらの意識よりは,難解な神経科学を平易に解説するという,
そこが揺らいでしまえば,もともこもありません.
それに関しては一長一短あり,情報が過多になってしまった問題が発生し,
次年度は修正していきたいと思います.
また,注意の脳内機構に関して,どこのパートも説明できていない,
応用編に関しては,このパートを次年度は含めないといけないと感じました.
さらに,新しい情報が断片的に伝えられ,
次年度の各パートの後半は,2009年以降の論文を中心に,
現状の科学を伝えることが大学研究者としての責任であると感じました.
次年度は,情報を操作していきたいと思います.
これは基礎編にも共通です.
そんな反省はありつつも,まずまずであったとも思っています.
根拠のない自信なのですが,それを持ち続けるということも
前向きモデルを作動させるために大切です.
反省ばかりしていたら,脳は後ろ向きになり,
新しい挑戦に対して邪魔します.
脳は前向きであるからこそ,行動が前向きになっていくのです.
全国各地から多くの方に来ていただき,
本当に感謝するとともに,臨床編ではもっとよいセミナー,
そして懇親会にしようと思いました.
懇親会の参加がドタキャンが増え,
その分,大じゃんけん大会などをして,
著書を8冊ほどプレゼントしました.
「脳科学と理学療法」が1冊しかなく,それもプレゼントしました.
せっかく,それに関わった著者が講師としていますので,
全員にサインをもらえば,将来価値があがるかもしれません.
誰かがなくなったときに・・・笑.
いずれにしても無事終了でき安堵な感じです.
他で呼ばれる講演よりも,やはりホスト,ホームは意気込みが違うので,
しゃべる内容も新しい情報を活かしてしゃべろうという意識が生まれます.
是非とも,参加できなかった人は次年度参加してください.
近々,次年度の内容,スケジュールを検討します.
また,12月の臨床編のキャンセルが少し出てきましたので,
追加募集するかもしれません.
それに関しては,10月以降に,大学のホームページに告知するかもしれません.
もちろん,このブログでも紹介します.
4月に締め切ったため,365日体制が増え,
そして,12月は様々なイベントが入り,とキャンセルの可能性があります.
なかには365日体制から2日間は無理ですとの意見をもらいますが,
そのような意見に対してはあえて無視します.
ルールが設けられることで秩序を生み出します.
そのルールは誰かが設けるしかないのです.
そのルールにしたがって,最善の方法を導き出す,
それが前頭葉機能です.
わがままな脳,賢い脳,その両者をもちえているのが私たちの脳なのです.