森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

学長交代にあたって

2016年04月03日 22時15分23秒 | 脳講座
別れの季節ですね。自宅前の桜も膨らみ始めました。昨日の教授会にて、冬木智子 学長が退任・勇退されました。御年94歳です。「健康でいられるということが幸せである」という、昨日の言葉は、その人生の遍歴から、相当に重く真摯に受け止めることができました。

http://www.kio.ac.jp/fuyuki/kokoro/index.html

畿央大学に着任してから、たかが12年ですが、着任前の桜井女子短期大学での面接でのインパクトは、今なお心の中に残っています。
「ある着任予定の方が県外から通われる(それ以外は臨床)ということで、2~3日間ほどしか大学にいないと言われ、断りました。それでは教育はできません。」

この言葉は非常にシンプルですが、(学生に寄り添い同じ目線で見ようとする)教育は臨床の片手間にはできない(その逆もしかり)ことをほのめかしています。いかにも怪しそうな大学立ち上げの人しかみていなかった私は、その心に打たれ、縁もゆかりもない奈良にうつろうと決心したわけです。この心が伝搬し、手前味噌ですが、畿央大学の今の教育にいかされ、国家試験の合格率をはじめ、いろんなところに影響しているのではないかと思っています。

その後、縁あって、大学広報誌のカトレア通信で、冬木学園60周年記念対談を行わせていただきましたが、後の雑談で、私のFD評価(学生からの授業評価)に触れられ、「あなたのこの得点は愛嬌があるからですよ。」と、私にとっては変化球的な考察に驚いたことを覚えています。その後、人が人を嫌悪に思わず、好きで入られるのは、かっこよさでもない、きれいさでもない、まさに愛嬌(赤ちゃんをみればわかります)なんだと腑に落ち、これは今の私の教育方法や生き方に大いに活かされています。

米寿を超えられ、私の研究室が3階にあるときは、何度か突然に研究室に立ち寄られ、「記憶力が最近落ちてきたんですが、脳からみてどうすればいいですか?」→「そういうメタ認知ができていて十分です。卒業式でもまだ原稿なしでスピーチできるので大丈夫です」、「腰を痛めたのですが、整形外科の医師はヒールは駄目といわれたが、どうもヒールじゃないとしっくりこない(重心が安定しない)」→「脳のなかにはボディイメージがあって、長年履いてこられたものに意識は定着しています」などと、このやりとりを今思うに、フラットな精神をもたれている方だと改めて思うわけです。

そして、もう6年も前になりますが、国際ソロプチミスト連盟での、私よりも年配の女性の方々に対する講演など、いろんな経験をさせてもらいました。それは女性の会なのですが、学長自身は女性だの男性だの境界線を引かないニュートラルな意識をもって教育に携わっている(いた)と記憶しています。人間は知らず知らずにして、国境と同じように、性別(ママとかパパも含めて)や「~~~家(者)」と、線を引きたがりますが、境界は自分を慰めるのには便利ですが、その境界によって、発展を阻害する対立や、ひいては区別(差別)される人ができてしまうことを忘れてはいけないですよね。

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