森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

日記:思考の鍛練

2011年10月11日 08時45分15秒 | 日記
山梨での全国研修会では1000名以上のPTに講演を聴いていただき感謝です.
これも今回の企画局長である高村先生に感謝です.
彼は実直かつ片麻痺の治療に対して真摯な態度でのぞむセラピストで
とても尊敬しています.
人として,オーダーメイドの関わりを重要視しつつ,
科学的視野の取り込みを忘れないPTです.

私の講演の方はというと,
5月の宮崎学会と同様にオープニングを務めさせていただきましたが,
やはりオープニングの後には開会式があるため,
時間的配慮そして動員力の責任などから,
いつもの講演とは違いますので,
そのあたりで1.5時間と少ない時間ですが疲れました.

内容は脳の機能の教科書的な内容を中心に,
その+αを話すことに徹底し,
ニューロリハビリセミナーで言うと,
基礎編の内容を抜粋して話しました.
今回は「基礎系」のセミナーでもあり,
そのあたりを超えて,片麻痺の病態までは入りませんでした.
ただし,高次脳機能のテーマもいただいておりますので,
USN,apraxiaの一部の神経科学を話しました.

時間は宮崎学会のときのように,
ぴったしで終わりましたが,
数枚のスライドのシミュレーションができておらず,
多少ぶれる結果となりました.
異種感覚統合のところです.

またスカパーで放映されると思いますので,
ご覧になってください.

山梨の全国研修会を終え,
その足で,神戸のベーシックコースに参加・講演してきました.
ここでも基礎科学について話し,
片麻痺の病態と回復のメカニズムを中心に内容を構成しました.
ただし,やはりベースとなる基礎学力が違うために,
難しかったかもしれません.

シナプス抑制というところで,表情が悪くなったので,
いわゆる生理学の知識で,理解度が大いに異なるんだなとも思いました.
学校によっては運動生理学だけで,生理学を構成するようなところもあり,
まだまだ,その基礎知識をあげていかないと,
本当の意味での理解はされないだろうな,と思い,
だとすれば,どうすればよいのかとも思い,
また新たな「塾」的展開が必要であるかもしれないと思いつつ,
教材をUPdateすることもしないといけないなと展開を考えました.


質問されましたが,知識が断片的にしかなく,
つまり誰かの話を聞き,それを断片的にしか理解しておらず,
それと今話している内容がつながらない,
あるいは臨床と基礎がつながらない,という問題があるなと思いました.


「意味があるのですか?」との問いには,
ある意味,僕自身,そういう考え方を持って,答えを直接的に出す志向性は,
科学的でないと思い,やんわりとそれに対しては指摘しました.

仮説をたて,検証する作業を考えれば,
意味がない世界はないと思いますが,
コンプライアンスの問題もあり,
そこは臨床家としてどの道を歩むか,
自己意識に基づいて行動してもらいたいと思います.

私は学者なので,否定形では生きていませんし,
このコースでも否定形で説明している人達には閉口をする場合もあります.
人間を考えるトレーニング.
行為を考えるトレーニング.
病態を考えるトレーニング.
そして,常に自分自身に意思決定を課して臨床に臨む,
それにつきます.
グレーゾーンに対する多様的な意思決定を有している人ほど,
臨床が楽しいでしょう.
多様性なき意思決定は決め付けになります.
それでは臨床が懐疑的になります.

そこから上昇する.
それが臨床的思考の鍛練だと思うのです.