森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

人は人に生かされる生物である

2009年07月09日 10時58分55秒 | 過去ログ
昨日の看護医療学科の科目である「感情体験の脳科学」では
患者から語られる感情(内)のことば(外)について脳の視点から解説した。
この際、脳科学のみならず心理学的視点も含み、
カウンセリングや物語医療のみでは何が足りないのかについて解説した。

難しい視点であるが、おおむね良好な表情であった。
選択科目で、朝一番の科目ということから、
12名しか受講していないのが残念だが、
逆にそれぐらい少ないのが良い。
学生の表情が1名1名瞬時にわかる。
そして、心の状態を推測することができる。
対話している。

11時7分の近鉄にのり、
もうこの2週間何度もこのパターンで伊丹空港まで。
意識なく、飛行機に乗り、意識なく福岡空港についた。

地下鉄、JR、甘木鉄道に乗り換え、
朝倉健生病院へ。
新病院が完成しており、リハビリテーション室も明るくなった。
照度は人間の心にも作用する。
いろんな環境が媒介となり、心をつくる。

実習生も固いが、うまくいっているようだ。
「できない」ばかりで気持ちが焦っているようだが、
今からすべてができていたら、人生なんて面白くない。
「できない」ことを感じ、差異を感じ、
「わかる」を経由して「できる」へ。
そして、最終的には、
身体が自然に動くという環境-脳-身体の関係作りをしていかなければならない。

ただ、「できない」ことばかり意識してしまうとフリーズしてしまう。
「出力しろ(しなければならない)」と思うと、フリーズするようにできている。
脳には余裕が必要だ。

自己評価が低い学生が多いが、
それは実はパラドックスに「私を見てほしい」という潜在的な裏返しなのかもしれない。

過信はいらないが、自信はいる。
その自信は数値に裏付けられた他人のデータからでなく、
自らの心とからだに宿る。

多少、横柄さも必要だ、生きていくためには。


自己責任が大きく揺らいでいる。
臨床だけでなく、知らず知らずに教育の現場にもそれが巻き起こっているようだ。



夜は実習生と指導者たちと博多で懇親を行う。
普天王がひらく、ちゃんこ屋で一杯やった。
実習受け入れ継続(3年)の意思を指導者から確認した。
感謝したい。

今日は朝から今までカフェで今日のスライドを作った(ほんま自転車操業である)。
今から佐賀の武雄温泉まで向かい、
実習訪問+臨床実習教育に関する講義を行う。

テーマは「臨床実習指導方法~意欲・学習・人間関係形成~」
この仕事を始めて18年、臨床実習教育、学内教育で延べ送り出したPTは750名あまり。
自分の意識とは、違うほうにはずれて、すばらしい人間になっているものも多い。
教育とは自分本位になってはいけないと、
彼ら、彼女らが教えてくれる。
自分でなく、他の誰かが、彼ら彼女らに大きな、衝撃的な影響を与える場合がある。
750名のうち、私が影響したのはおそらくそのうちの10分の1程度である。

人間は「人に生かされる生物」である。

久しぶりに特急みどりに乗って向かいます。