先日の新聞の夕刊に 「一首の歌に人生が見える」という題で 歌人・京都産業大学教授 永田和宏氏が
書いておられた記事から・・・(一部抜粋)
” 最近『人生の節目で読んでほしい短歌』という本を出版した。多くの歌を読み解きながら、誰もが同じような
人生時間を歩みつつ、しかし、個々の節目への対処の仕方には、圧倒的な多様性と個別性が出るものだと
改めて思った。
窪田空穂(うつぼ)は近代短歌の巨匠だが、幼い娘を亡くした痛恨の一連がある。
笑ふより外(ほか)はえ知らぬをさな子のあな笑ふぞよ死なんとしつつ 『鳥声集』
大正5年、空穂は 次女なつを突然失う。発病して二日、親としてこれほどの残酷はなかろう。
その子は、死の直前に一瞬笑って事切れたのだという。まだ話すこともできない幼子。笑うことだけが唯一の
感情表現だったのだろう。苦しいとも悲しいとも言えずに、笑って逝ってしまったわが子に、親の悲嘆は想像するも
痛ましい。・・・・・空穂のなかに、何があっても生きていなければならぬという、生きることへの慎ましさを
見たような思いがしている。一首の歌に出会うことは、自分には体験できない別の人生に触れることでもある。
それが人生の豊かさでなくて何であろうか。 ”
今日聴いたジャズ・・・
MASSIMO FARAO・・・「薔薇は美しく散る」
本作は、イタリアの人気ピアニスト、マッシモ・ファラオのリーダー作。
アルド・ズニーロ(b)、アルコ・トロッティ(ds)を起用したピアノ・トリオ編成。
アルバム内容は、アニメに登場するヒロインの哀愁のテーマ・メロディを奏でる全10曲。
アニメに関心のない人でも(私自身、ほんとんど知らないものばかり)愉しめる作品に仕上がっている。
それぞれに、味わいがあり、マッシモ・ファラオを中心に、ベース・ドラムもよく歌っている。
個人的白眉は 「クレオパトラの涙」。。。
マッシモ・ファラオのピアノは、どちらかといえば しっとり聴かせるというより、弾んで、しっかりしたタッチで
聴かせるタイプの人のように感じる。本盤も一部そう思えるけれど、それでも哀愁のメロディは全曲で十分に聴ける。
” アニメに登場するヒロインの哀愁のテーマ・メロディ ”をピアノ・トリオで聴かせる作品は珍しいと思う。
1・薔薇は美しく散る(ベルサイユのばら)・・・2・タナトス・イフ・キャント・ビー・ユアーズ(新世紀エヴァンゲリオン)
3・クレオパトラの涙(クレオパトラ)・・・4・ムーンライト伝説(美少女戦士セーラームーン)
5・ふしぎなメルモ(ふしぎなメルモ)・・・6・花のささやき(小公女セーラ)・・・7・魂のルフラン(新世紀エヴァン
ゲリオン)・・・8・ラブ・スコール(峰不二子のテーマ、ルパン三世)・・・9・ルパン三世愛のテーマ(ルパン三世)
10・残酷な天使のテーゼ(新世紀エヴァンゲリオン)・・・
MASSIMO FARAO(p)
ALDO ZUNINO(b)
MARCO TOLOTTI(ds)
2014年 11月9日、10日 イタリアにて録音・・・