富山きのこクラブ

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クロフチシカタケ

2008年05月24日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様へ
5月18日、氷見市柳田にある氷見海岸のチップの道で採集した写真のきのこを紹介します。(きのこは乾燥していた)
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1、傘の色は焦げ茶を帯びた濃いグレーで表皮は分厚く、条線はなく、粘性もない。
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2、柄の内部は中実で白い絹のような艶を持ち、根元は膨らんでいる。
3、ひだは、ごくごく薄い焦げ茶にピンクを帯びた白で、黒っぽい縁取りが見られる。
4、特徴のある辛い不快臭を持っている。

 このきのこは倒木(腐植)から生えており、ひだがややピンクを帯びているのでウラベニガサ科が考えられる。また柄の下部は膨らんでいるが、つぼが見られないことからウラベニガサ科でも、フクロタケ属ではなく、ウラベニガサ属のきのこであることがわかる。
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且つ、顕微鏡観察で、ひだに厚膜で頭がカギ型をした側シスチジアが見られることからウラベニガサ節に所属していると思われる(側シスチジアが薄膜でカギ状突起がない場合はウラベニガサ属ベニヒダタケ節)
さらに、縁シスチジアが有色のカラシ色であるため、ひだには焦げ茶っぽい縁取りがみられることからウラベニガサ(別名:シカタケ)(Pluteus atricapillus(Batsch)Fayod)ではない。 080520_004 
そして、傘表皮の菌糸にクランプが見られることからクロフチシカタケ (Pluteus tricuspidatus (Konrad) Kuhner) である事がわかった。

 このきのこは「北陸のきのこ図鑑」にも載っておらず、北陸地域で最初の記録である可能性がある。 その後山渓カラー名鑑日本のきのこ 179ページの中に、よい状態で育ったクロフチシカタケの写真を見つけた。
一部抜粋
<夏から秋、針葉樹の倒木、おがくずなどに発生。可食。北半球温帯以北に分布するがあまり普通ではない。>

_/_/_/_/_/ きのこ部会  黒川 悦子_/_/_/_/_/


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