Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

POLDARK 06

2015-04-20 20:21:00 | POLDARK
夫の両親は今頃イタリア行きの機中の人となっておりますので、やっと通常運転のしましまです。



冒頭で何と言っても新鮮なのは、草刈りするフランシスと野菜摘みエリザベスです。食料自給自足のため?
何か手伝うことがあれば?というロスに「find a way to restore me my mines, my estate, my dignity./銅抗と財産と尊厳を取り戻す方法を教えろよ。」と相変わらず尊厳もへったくれもないフランシスである。その後、慣れない鎌を持って手にできたマメに大騒ぎする安定の小物っぷり。

ロスは町でオークションに出席します。前エピで秘密裏に結成した製錬会社The Cornmore Copper Companyが初入札しました。今まで独占入札していたジョージの銀行を後ろ盾に持つ会社はビックリ、どんどん競り勝つ新会社に激しく異議申し立てします。

その頃、ポルダーク家がジョージの舞踏会に招待されたとヴァリティがデメルザに知らせに来ました。デメルザには社交界デヴューになるのでヴァリティにダンスを教わるとわくわく。着々とレディの階段昇るデメルザの心が、物騒な世の中とジョージ親子の腹黒い企みと闘うロスの暗い世界と対照的。対照と言えば、「イギリスの田舎にもあったのねロココ調の華やかな社交界」と「坑夫達の厳しい世界」も天と地のように差があって、ロスとデメルザはオスカルとアンドレが果たせなかった身分違いの愛と、富める階級の搾取と闘っているのだなあと思ったり・・・

その舞踏会を開くWarleggans(ジョージ親子)はロスを警戒し始めました。
「You underestimated him.奴を見くびっていたな。」
「I did no such thing. You took him for one of those overbred idiots who trade on their name instead of their wits.とんでもない。父さんこそあいつを頭じゃなく家柄で商売してはびこった輩だって。」
「Like his cousin. 従兄弟があれだからな。」
「Ross is made of harder metal. ロスはもっと硬い金属のような奴ですよ。」
「Well, his company is a threat. But if we knew the names of its shareholders….うむ、奴の会社は脅威だ。だが、その株主が誰かわかればな・・・」

さて帆船好きカップルは再開後、ブレミーは舞踏会でふたりの交際を早く公にしたいのに比べ、ヴァリティはまだ兄フランシスに言い出せません。ブレミー、髪をきちっと結わないでナポレオンみたいな帽子からもそっとはみ出してる方がまだいい男に見えるような?

舞踏会が楽しみなデメルザを前に「まあ仕方ないか」的なロス。

「鉱山をなくし、領地は荒れ放題、リフォームしたドレスを着た妻を連れて出席か」と愚痴も絶好調フランシス。
「今どきドレスを新調できる人なんていないわ」とエリザベス。お?富裕層も全体に不景気ということかな。
E「Truly, you imagine Demelza won't be trotting out her one good dress and not care a feather what people say? まったく、デメルザは一張羅を見せびらかしたり、人の衣装を噂する人なんて気にしないでしょう?」
F「Well, she should, and if she does not, then she shows her ignorance. でも、すべきだね。しないというなら世間知らずってことだ。」
E「You like Demelza. デメルザが好きなのね。」
F「Mm.Mm. I do. Doesn't alter the fact that the connection does our family credit. I'm grateful it's the only unsuitable marriage we're forced to endure. うん、うん、そうとも。その縁が家柄に影響する事実が修正されるわけじゃないがな。苦痛を強いられる不適切な結婚がたったひとつで僕は幸せだよ。」
リビングから立ち去るヴァリティ・・・・いやあ!フランシスの嫌味もここまで行くと拍手もんです!

刑務所では疫病がいよいよ深刻(「they're dropping like flies」=「バタバタと大勢死ぬ」ことをハエに例えるんですね)という噂なのでドゥワイト・エニス医師とジムを救出する決意をしたロス。うまく入れてジムを見つけたのはいいが、すでに彼は虫の息。手がgangrene(壊疽)を起こしていて、手遅れだと判断するエニスに治療を頼むも助かりませんでした。

家でデメルザに「magistrat(判事)があそこにいたら・・・」と悔いと憤りを語るロス。
「Smug, self-satisfied upholders of the law. 気取った独り善がりの法の番人だ。
And so-called gentlemen! それで紳士だと!
Who prize game above honest working men.真面目な労働者よりもゲームを尊ぶ奴らが。」

そして自分を責めるロスに対し、デメルザの心配は「刑務所から無断で受刑者を逃したことでお咎めはないのか」ということ。そうだ、そうだよ、妻の立場だったら正義に燃える夫はいいが・・・しかし友人の死を見届けてしまったロスにしてみたら、彼を死に至らしめた人達と社交するために舞踏会に行く心境じゃないのも事実。そこへ理論的な発言をしてくれたのが訪ねて来たヴァリティで、「出席すればあなたが社交界の一員だと皆に確認させることで、刑務所脱走加担の罪に問われるのを防げるわ。」うん、こういう世渡りは社交界にいる人じゃないとわからないからデメルザにはできませんね。しぶしぶ妻子のために出席を覚悟したヒーローの葛藤は
「Justice is a fine thing, is it not? 正義とはご立派なものじゃないか?」

舞踏会のシーンはロスの心境を映すように、シャンデリアや玄関で迎える華やかな下僕と着飾ったお客から始まります。
「To acquaint myself with as much brandy as George can supply. ジョージが出せる限りのブランデーに詳しくなってやるぞ」
とグラスを手に最初から荒れ模様のロスに、来たことを後悔するデメルザ。そこに使用人がロスからの贈り物を持って来ました。箱を開けるとネックレス。ワイルドな軍人もそう言うところは押さえているな、さすがヒーロー。デメルザの新しいドレスも刑務所に行く前に注文しておいてくれたしね。その時にネックレスも取りはからっておいてくれたのかな。

「But how can I wear it? With Jim in the ground and Jinny all bereft. でもこんなのつけられないじゃない?ジムが土に埋まってジニーが全てを失ったというのに。(*bereft=bereave奪うの過去分詞)」と躊躇するデメルザごもっとも。ヴァリティの返事がまた的確なのだ。「You cannot help them, my dear. あなたがあの人達を助けてあげられるわけじゃないのよ。」やっぱり知的な女性です。「But you can try to keep a lid on that powerkeg below. でも下にいるあの火薬庫にふたをしておくのもいいかも。」ははは、powderkeg=火薬庫ってロスのことですか?!

結局デメルザはそのネックレスをつけたものの、ロスはフランシスと、ヴァリティはブレミーを見つけて(喜んだのじゃなくて緊急事態)消えてしまった。仕方なくダンスフロアへとひとりで降りて行くデメルザ。うふふ、浮浪児として登場した時から私が待っていた瞬間が来ました。美しい謎のレディ登場に社交界は「誰?あれは誰?」っていうシーンですよ。しかしドゥワイト医師といたおっさんに捕まってしまいます・・・・

一方、ロスはジョージに捕まりました。
「Ross, I've been singing your praises. ロス、君をずっと誉め讃えてた。(sing one's praises=誉め立てる)」
嫌味っぷりはフランシスとどっこいですね。そして紹介してきたのは先日フランシスがカードで銅鉱を賭けて負けた相手じゃないですか!しかも彼とロスのカードのテーブルに参加して来たのは、ジムを刑務所に送った判事。ロスは彼を非難し、判事は刑務所でのロスの行為を責めて対立。

ねちねちとポルダーク家の噂話を広めてる若い女、誰だろ~?と思ってたら、ロスが帰国後初めて社交界に顔を出した時のお屋敷の娘ですかね?!そう考えれば納得が行きます。そっか!そう?この舞踏会でも「フランシスは妻に新しいドレスも買えない」「ロスはあんな尻軽女と結婚して後悔してるわね・・・」とロスが消えておっさんに捕まってるデメルザを言いたい放題。デメルザ、せっかく野原でダンスの練習してきたのに、うまく踊れてもこれじゃ、ううう・・・!

美しく踊っている女性がデメルザだと知ったエリザベスの母が「scullery maid」と言いました。調べたら意味は「台所の下働きの女中」だそうで、ダウントン・アビーのデイジーよりももっと階級が下の洗い場のお手伝いさんってことでした。自分が下の身分の者を賞賛してしまった腹いせに侮辱的な言葉を選ぶお母さん、娘が夫に相手にされずダンスをしないと噂されるのを心配していたら、そこへ誘いに来たのがジョージです!エリザベスと踊り、美を誉めたたえるジョージ・・・

ヴァリティの心配に耳を貸さずふたりの仲を認めさせたいブレミーも舞踏会に乗り込んで来ました。ふたりの姿を見つけたフランシス、2度と会ってはならん!!とまたまたおかんむり。ヴァリティの方は「兄に話してなかった私を彼は軽蔑しているわ。振り向きもせずに行ってしまった。」と落ち込んでいます。

エリザベスがカードの部屋でポルダーク従兄弟を見つけたおかげで、やっとロスがデメルザを迎えに来ました。しかしまだ酔って着飾った人達を非難し、デメルザと喧嘩に。
D「And you're not righting any wrongs by blaming just these folk for Jim dying.そしてこの人達にジムを死なせた責任があるのにあなたはなんの罪も正していない。」
R「Of course they're to blame! For their ignorance, their selfishness, their arrogance…もちろん彼らの責任だ!無視と、自己主義と、その傲慢さで・・・」
D「And you'll not right any wrongs by drunken and gaming and leaving me to fend for myself at my very first ball!!それでもあなたはなんの罪も正さないのよ。酔って賭けをして、私を放っておいて、初めての舞踏会なのに!!」
R「If you behave like this, you'll not come to another.そんな態度でいるともう連れてこないぞ。」
D「If you behave like this, I'll not want to.そんな態度されたら来たくなんかないわよ。」
(ふふふ、デメルザ、いいとこついてます。使用人だったころから成長しましたね^^)

カードに戻ったロスは負けが込み、隣に座っていたデメルザに贈ったネックレスまでとられた挙げ句についに銅鉱を賭けてしまいます。(*take the bookという台詞が出て来るのですが、カード(ブリッジ)用語でした。あと1枚で勝負の札が揃う意味。)皆の見守る緊張の中、ロスは相手がカードを取ろうと伸ばした手をつかみ、その手を表に返すとそこには既にカードが1枚。不正を暴いたのでした。あわやフランシスと同じことに・・・?!と皆に思わせて、ああ、心臓に悪かった。・・・しかしその不正男はジョージの親戚で、どうやらジョージとの対立が深刻化しそうな雲行きです。

このジョージ・・・フランシスと同じくらいナヨっとしたところもあるのですが、実は私けっこう好きです。悪巧みするのに優雅に語るポーカーフェイスのずる賢さは、男らしい正義の味方ロス・ポルダークに対して、アニメの美形悪役っぽい華がある感じ。この先の対決が楽しみになってきました!!!










New Zealandの鳥

2015-04-14 20:57:00 | 国際結婚・家族のこと


この鳥のぬいぐるみ達、ホビットランドことニュージーランド特有の鳥なんだそうです。
ニュージーランドとイタリア間を渡り鳥のように移動する義理の両親が運んで来ました。
キウイバードはすでに以前飛んで来ました(笑)。
でも義父によると、この中にはオーストラリアにいる鳥もいるそうです。

彼らは昨日から1週間ほど滞在しています。
4ヶ月前のクリスマスには休みをとった彼らの長男や冬休みだった彼らの孫娘も、
仕事や学校で忙しいので、彼らは全員出払った空っぽの私の家でお留守番をして
義母は夕飯を作ってくれました。

カツレツを揚げた後に「余分な油を吸い取らせる」と言いながら、なぜかクッキングシートを使おうとするので私がキッチンペーパーを出しても「ニュージーランドではこの紙でやる」と言ってクッキングシートを使った、ということ以外はスムーズにお料理してくれて良かった・・・・

日本のパン粉は、欧米の粒が揃ってて小さいのに比べて「very special」だそうで、友人から聞いて「パン粉」という日本語も覚えて来ました。粒が大きくて不揃いの方がカリカリで美味しいみたい。

デザートも、卵からカスタードも作ってくれて、リンゴの煮たのと一緒においしかったです。

今日の東京は1日中雨でしたが、義母はそんな中なぜか分厚いニットカーディガンを手洗いして、「よ~くしぼってタオルで水分もとったのに、部屋に干したら水が垂れた」と、今私が座っている椅子の下のカーペット直径50cmを濡らしました。

1週間後にもウチが何事もありませんように。




「パレードへようこそ」感想

2015-04-10 17:56:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


「パレードへようこそ」。原題は「PRIDE」がなぜ?と思った方、私もです。

調べてみたら、PRIDEとはゲイ・パレードのことで、意味はマイノリティの自己やコミュニティの肯定です。日本語にもなっているのですが、おそらく知らない人も多いであろうとこの邦題になったのではないでしょうか。原題も取り込み、しかも「ようこそ」をつけて誰でもウェルカムな空気を出しいい邦題ですね。私は好きです。

そのパレードで始まり1年後の同じパレードで終わるこの映画は、「フル・モンティ」「リトル・ダンサー」「ブラス!」と同じ『80年代サッチャーと炭坑ストの闘い』+ゲイ&レズビアンの市民権運動のお話です。実話に基づいています。

80年代ロンドンの町が出て来ると知った時から「見る!」と心に決めて、ついに見て、期待どおりに好きでした!いや、郷愁や萌えだけでなく、現在進行形のメッセージも受け取れたので期待以上でした


<萌え①80年代ロンドンカルチャー>

LGSM(レズビアン&ゲイ・サポーティング・マイナーズ)のメンバーはロンドンの若者達。昔から「ゲイはファッショナブル」と言いますが、映画に出て来るゲイ・クラブのボンデージ・ファッションのような極端なものから、リーダーのマークみたいなマッチョだけどパーティーの時には揺れる大きなイヤリングもする独特のゲイ・ファッションもあり、ボーイ・ジョージみたいな仮装もあり、それはオシャレと言うより独自の世界。

しかし普通の誰が見てもおしゃれなのはカップルでLGSMに参加していた刈り上げのこざっぱりした2人とか、ヒューマン・リーグみたいな前髪の、女子にモテモテのフレディー・フォックス(パレーズ・エンドのヴァレンタインの弟)演じるジェフですね。80年代前半、レコードジャケットや音楽雑誌の写真を見て、こういう男子がいるであろうロンドンは夢の国かと思ったけれど、それはイギリスの田舎の女子も同じであった!

そうそう、ドラマ「THE HOUR」でヘクターを演じてたドミニク・ウエストが演じるジョナサンのキャラがいい意味で派手なゲイの鏡でした。ドミニク好きじゃなかったんですが見直した!売れない俳優でルックスは???なのだけど、70年代ディスコダンスが上手くて、ウェールズの田舎の女性達も単純に楽しい彼とのダンスにはじけてしまいます。それを見てゲイに最大の警戒心を持っていた男達も、モテたい一心でゲイに心を開きダンスを教わる。

ねー!やはり女子とゲイは単純に楽しいことや奇麗な物が好きだという点が共通しているのです。

それは、ウィールズのおばちゃん達が、ロンドンのジョナサンとアンドリュー・スコット演じるゲシンのフラットに来た時にも、「壁紙はローラ・アシュレーよ?!」と盛り上がることにも表れてました。炭坑夫達にはデザイナーの壁紙なんて異次元の話題でしょうから、あの時、村のおばちゃんはゲイの若者に親近感を持ったでありましょう。


<辛かった時代>

アラン・チューリングの時代には同性愛そのものが犯罪でしたが、イングランドとウェールズは1967年に同性間の性交渉は合法化されました。しかし80年代にはエイズが現れ、当初「ゲイがかかる」「性交渉で移る伝染病」「死に至る恐ろしい病気」と一般に思われていて、実際に先進国ではゲイの著名人が何人も亡くなりゲイ・コミュニティを恐怖に落とし入れました。同時にエイズが原因のゲイへの差別もありました。映画でも後半に描かれています。現在はHIV感染しても発病しない治療法が開発されていますが、当時はまだ新しい病気だったので今なら死なずにすんだ人も亡くなったのです。

<メッセージ>

ゲイがエイズの恐怖と闘っていた時代だからこそ、親が厳しくてカムアウトできず、嘘をついてLGSM活動するジョーへのマークのメッセージが心に響きました。
「家を出ろよ。人生は短いんだ。」


<萌え②ロンドンロケ地>

まったく個人的なことですが、この映画に出て来る2つの場所が、2000年代に私が住んでいた家の近くでした!

Gay's the Word(66 Marchmont Street)というゲシンの本屋は、LGSMの本拠地で、その上がゲシンとジョナサンのフラットにもなっています。そこは地下鉄ラッセル・スクエア駅からも近く、静かで同時に明るい活気のある通りです。日本にも輸入されているAlaraというオーガニック食品ブランドのショップ&カフェも並びにあります。そこでは玄米おにぎりも売っていました(笑)。すぐ近くにスーパーも入った小さなショッピングセンターがあるので毎日のように行っていたエリアなのです。



もうひとつはRegency Cafe(17-19 Regency Street)です。ええ?!また?!と腰を抜かしそうになりました。このカフェはヴィクトリア駅のあるエリアで住所のRegency Streetともう1本の道Page Streetの角にあり、私が住んでいたのがPageStreetでした。既に、ダニエル・クレイグとベン・ウィショーの映画「レイヤーケーキ」に出ていて大興奮したのですが、これから放送予定のBBCドラマ「London Spy」の撮影中ショットにも出て来て2度びっくりしてたのに。そこのフラットは、家主が売ると言うのでやむなく引っ越ししたのですが、あの時に無理にでも買っておけばよかった~~!!!あのカフェは別にどうってことのない、賑わってるわけでもなく地元の人しか行かないカフェだったんですけど、その人気(ひとけ)のなさがロケに良いのかも知れませんね。今や映画ファンの名所となっているようです。




<Bread and Roses>

村の人が映画中で歌うストの歌のタイトルです。(ケン・ローチの映画のタイトルでもある)
英語のツイートで読んだことがあって、その時に意味がよくわからなかったので覚えていました。意味はBread=正当な賃金、Roses=尊厳と尊敬。サッチャーが炭坑労働者を国の利益の犠牲にしよおうとしたので、このふたつをスローガンにかかげ労働者は闘ったのですね。






「ディオールと私」感想

2015-04-09 17:03:00 | その他の映画・ドラマ・舞台

RAF SIMONS/THE INDEPENDENT

イギリスのことばかり書いている私ですが、婦人服に関してはフランスのデザイナーが好きです。サンローランやジバンシーなど華奢でコケティッシュでフェミニンな60年代の女優のイメージが。でもディオールに関しては、あまりにも完成されたクチュールのシルエットに親近感が持てませんでした。デザイナー自身もスキャンダラスな人生を送って本人がスターだったイヴやシャネルに比べて、ムッシュウ・ディオールってヒッチコックみたいなおじさんルックスで・・・

そんな私がなぜ「ディオールと私」という映画にときめいたか。

それはオートクチュール新任デザイナーのラフ・シモンズが好きだったからです。

彼はミニマリストなどと呼ばれたりしますが、クラシックなスクールユニフォームの要素や、パンクっぽい派手さ、ベルギー出身のファッションデザイナーらしいアヴァンギャルドなアート性も絶妙にブレンドされたモダンなメンズ服を作るのです。(ああ・・・こんな文章を書いているとアパレル宣伝課の仕事してるような気がしてきた・・・)

しかし、誰もが驚いたように、ディオール、しかもオートクチュールを彼ができるとは想像もしませんでした。
いったいどんな高級注文服を創るのか?!

と、世界のプレスや顧客も、そしてもしかして経営者さえも思って、発表されるコレクションに注目するというプレッシャーをかかえたラフが、キャリアの長いディオールのアトリエスタッフに迎えられながら造り上げた過程と結果の映画なのです。

特にこの映画でおもしろいのは「舞台裏」がよく見られる点です。一緒に見に行った友人もパタンナーをしているのでこれまでのファッション映画よりも服をつくる過程が楽しめたそうです。

服だけでなく、私がアパレルメーカーの宣伝担当としてした仕事、「ショーの演出」の決定と製作過程にも興奮しました。ショー会場の様子は、大きいスクリーンをなんと最前列で見たので臨場感たっぷり。PCでコレクション映像は誰でも見られますけど、あんなライブ感は絶対に味わえません。

服も会場も、当日のその時間まで、デザイナーの「もっとよくしたい」という意欲により変更指示が出されるのは、ラフも私が以前働いていたデザイナーも同じでした。最後の瞬間までスタッフは突然の指示に答えなくてはなりません。

ラフは穏やかな人柄で、とてもシャイです。しかもディオールのアトリエは歴史があるので、この道何10年というおばさん達も沢山働いていて、「切って貼ったら終わるプレタでしかキャリアがない」とラフのことを言ってたりするところに単身乗り込んで彼らを動かさなくてはならないのです。

しかしラフの言葉の選び方は穏やかなのですが、アイディアは断固としています。その意思が、通常納品のスケジュールを動かして限られた時間で「今までにはなかったもの」を形にして行くのを見ると「これができる人こそがクリエイターなのだ」と思うのです。

彼の初オートクチュールコレクションに、アメリカン・ヴォーグのアナ・ウィンターを初めとするプレスや女優などセレブとともに、最前列に他のデザイナー達が座っているのを見て驚きました。デザイナーが他のデザイナーのショーを見るって私知らなかったです!ヴェルサーチェのドナテラのサイボーグ感はすごかった。

東京ではBUNKAMURAル・シネマで3/14から上映していて、これから全国に上映館が拡大するので他の都市に住む方はこれからですよ~。しかしなんでこんなに人口の多い東京に1館しかないのでしょう?






POLDARK 05

2015-04-08 23:25:00 | POLDARK
POLDARKは全8エピソードなので、後半に突入しました。エピ3の時に、急展開するロスとデメルザの会話にドキドキして、そのまんま書き出して和訳をつけたのですが、記事が長くなるなあ~と思ってエピ4では英語はほとんど省いてしまいました。そしたら私のマヌケな和訳台詞だけでオリジナルがわからなくてつまらない!と思い直しました。ということで、今回から英語の台詞の書き出しをまた入れて行きます。


ロスの友人Dr Dwight Enys(ドゥワイト・エニス)がロンドンから鉱山の病を研究しにやって来ました。デメルザのお腹はすでにパンパン、左手の薬指のリングをカメラが写しています。夫婦の安定した関係を象徴しているかのよう。

村の原っぱには芝居の一座が来ていて人々が集まりロスとフランシスが話しています。
銅山のようすを聞かれたフランシスは相変わらずキングオブネガティブ。
「Mortgaged to the hilt, running out of ore, ….どっぷりと借金の抵当に入って、鉱石も出ない、…」と。
*このhiltは刀剣の柄という意味で「刀剣の柄まで=ずぶりと/徹底的に」の意なのが面白い

観劇中に陣痛の始まったデメルザはヴァリティと家に戻ります。しかしロスは劇を見続け、
「Should we expect an announcement soon?もうすぐ(劇団の)挨拶かな」と呑気な様子、
医者の友達に
「You may soon find you've an announcement of your own.君自身にもうすぐ発表することができるかも」と言われて血相変えて家に帰ります!
*announcementの意味をすり替えた会話

ロスが家に着いてすぐに産声が!デメルザ、初産なのに何て早業・・・?!
通常12時間はかかるものじゃ?さすが野生児。いえ、そういう問題ではありませんが。
産まれた女の子はJulia Grace と名付けられます。
洗礼式のkeepsake(思い出の品)にと、デメルザがJuliaと刺繍をした金色のリボンが愛らしい。



その式の後のパーティーにて、大勢のお客にまたまたナーバスになるデメルザ。
「My stays are so tight they'll burst?コルセットがすごいきつくて、弾けるかも」
*stayとは支えという意味で、転じて帆船のロープや服のコルセットのことをも言います

この時エリザベスとデメルザが並んでいる様子を語るロスとヴァリティの会話が興味深い。
V「The curse of the Poldarks. Once given, our hearts are not easily withdrawn. They are very different.
ポルダーク家の呪いね。得た物は、簡単に手放せるような心じゃない。あのふたりは全然違うわね。
R「Yes. Yet each has something the other lacks.うむ。しかし互いに相手に欠けたものを持っているな。」
V「Perhaps you'd like them both(?)あなたどっちも欲しいんじゃない(?)」
R「Perhaps I would!たぶんな!」
あきれたヴァリティは席を離れ自分の冗談に「そうかな?」って顔をするロスよ・・・おいおい。

ジョージがロスの山の株を買っていたことが発覚。この男が出て来ると不吉なんですよね。
他にも株を売りたがっている出資者がいて、銅が出ても事業の行く先は未だ簡単ではないようです。
そしてロスの招待で再婚相手の女とやって来たデメルザの父は、家を「place of filth and abomination 不浄と忌まわしい行為の地」呼ばわりし、クリスマスにデメルザを見物しに来た意地悪夫婦と口論に。やれやれ。。。

ロスは、自分の出資者が鉱山に不安を抱きジョージに株を売らないよう銀行に相談に出かけます。途中、すれ違った困窮した人達に小銭を施すロス。町のパブでもドゥワイトがローンセストンで暴動があったと。貧富の差問題は、アメリカ独立戦争後、フランス革命前ですから深刻だった時代です。銅の値も下がり鉱業の衰退をロスも語りますが、銅を製錬し製品化までを手がけることで利益を産めるというアイディアも。この段階ではまだ実行に移すことは考えてないようですが。

ロスの留守中、デメルザが出かけた先は、ヴァリティの恋人キャプテンBlamey(ブレミー)の家。しかし彼は彼女とのことは終わったと険しい態度・・・・でも「married to my ship, my occupation. 船と、仕事と結婚している」って・・・つまり彼女以外に女性は考えられないということですね。

ロスの従業員マークは旅の一座の女優に一目惚れして、家を用意するという条件で結婚します。しかしこの女優、結婚祝いの宴の席でドゥワイトに気のある素振り・・・あ~前途多難の結婚よ。

町では銅のオークションが開催されます。ここで掘り出された鉱石が製錬業者に買われるので、銅山オーナーにとっては収入が決まる正念場です。ロスもフランシスも家族と緊張の前夜を過ごして臨みます。
*ちょっと鉱業用語
smelting 鉱石を溶解して金属を取り出す過程
ore 製錬前の鉱石
オークションの会場がRed Lionつまりパブだということに興味を引かれました。以前株主会を開いたのもそうでした。パブとはpublic houseの短縮形。イギリスのパブが社交場ということは辞書にも出ていますが、スヌーカーやダーツなどのゲームや酒場としてだけでなく、ホテルのようにビジネス用途にも使われるんですね。パブの日本式に言うと2階部分(イギリス式だと1st floor)は、伝統的な装飾で個人宅の応接間のような雰囲気のラウンジなのには、そういった意味があったのか、と思った次第。

つけられた値は価値の半額という結果にがっくりと肩を落とすロスとフランシス。ここでの会話がちょっと可笑しい。
R「We'll be paying them to take it off us next. 次はこっちが奴らに払ってあれを取り返すか」
F「You realize you've been uncommonly dull since you became a father? おまえ気づいてる?親父になってからというもの珍しく冴えてないぞ」ここでフランシスのバカは何か良からぬ気晴らしにロスを引き込もうとするんですが、その時に割って入って密談に誘いに来たのは先日ロスの話を聞いて「天才だ!」と感動していた男。

2人を含む6人くらいの男が「銅抗が経営する製錬所」について話している。ここでもフランシスは
「but you'd be biting off no end of trouble. しかし大変な苦労を背負い込むことになる」
と期待を裏切らない及び腰。しかも製錬所のバックにはジョージの銀行がついているらしい。
しかし集まった男達は団結すれば「some of us can lay our hands on a measure of cash.我々のうち誰かは金を手にすることができる」しかし秘密裏に進めなくては、と参加者を募る。ロスはもちろん現状のまま負けるよりも闘うと表明するが、フランシスは財務上の理由で参加できないと告げる。この計画のリーダーはその場の全員一致でロスに。・・・・参加しないフランシスがこの秘密を知ったことに一抹の不安が過ります。

一方、ロスを迎えに歩いていたデメルザに話しかけて来たのはブレミー。「やはり彼女が忘れられないから、会えないか。」と「いつ?どこで?」と畳み掛ける彼に困るデメルザ。この前彼に会いに行ったのはロスには秘密なのでこの場を見られたくないしね。ブレミー、実直でいい人だけど一方的で直情型。本人も知ってるけどね。

パーティーの招待状が届いて、デメルザはおしゃれしてレディらしくできると喜ぶも、それはジョージからだった。ゲーム(たぶん賭け事)したり一晩中ビジネスの話をするのだという。
R「If only to please Francis and throw George off the scent of my latest ventures, フランシスを喜ばせてジョージに俺の新しい事業を嗅ぎ付けさせないためにも」
デメルザがっかり。

彼女はロスがパーティーに出かける日に一緒に町へ行きます。新しいコートをヴァリティに選ぶのを手伝ってもらうと言って、夫婦でヴァリティを迎えに行った時、ロスに一緒に行かないのかと聞かれたエリザベスは「夫の仕事が心配な時にリボンを買う気にはなれない。夫は自分だけ楽しんで妻や従業員には何もしないけど。」と不幸な女発言でロスの同情と愛情を惹こうとしてる計算高い感じが何ともなあ。



ヴェルサイユ宮殿のように豪華なジョージの家のロココ調家具を見渡しながらドゥワイトが話すところによれば「ジョージの祖父は’blacksmith 鍛冶屋’だったのに、2代でこの富を築き、ポルダーク家のような名家が困窮している中、その富を維持するとはなぜ可能か?」いい質問ですね!それは勿論、阿漕な商売してるからでしょうが、紳士であるロスは「different ways of doing bussiness」と言う表現を使っています。その品性を見習いたい。

パーティーのテーブルでは阿漕な商売の餌食異なるビジネスの顧客のフランシスがカードを手に深刻な表情、相手は悪名高い商人、もちろんジョージの手がかかっています。この情報を与えたのは例の娼婦で、ロスは彼女がフランシスの愛人だと知ります。娼婦に「あなたのような能力がなくて可哀想な人。」と言われるフランシス。「カードも・・・あっちの方も。」本当に可哀想になってきたフランシス・・・;;)

その頃ドレスメイカーにはデメルザの画策でキャプテン・ブレミーが偶然を装って現れ、2人をお茶に誘うが、うろたえたヴァリティは断ってお店を出てしまう。似た者同士ですな、ヴァリティとブレミー。デメルザとブレミーも外に出ると、飢えた銅抗夫達の暴動に巻き込まれてしまいます。でもどさくさにまぎれてやっとブレミーがまた一緒になりたいと彼女に伝えることができました。

しかし、ブレミーとの再会に高揚したヴァリティとそれを喜ぶデメルザがその夜知ったのは、フランシスが賭けに負け銅山を失い破産したということでした。

従業員に銅抗で最後の挨拶をしたフランシスは12時の鐘をいつものように鳴らしながら、
鐘の支柱に「Resurgam」と書き付けて去ります。ラテン語で「I shall rise again」。
フランシスの没落は他人事ではないロスとデメルザ。
D「Shall we?」
R「I hope so.」