「ソー ラブ&サンダー」がよかったので、途中までしか見てなかった同じワイティティ監督作「ジョジョ・ラビット」(2019年)を見ました。
「ソー」シリーズや「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」に比べて現実的だからか、あのフワフワ感が今一つ・・・と思って入って行けなかったのですが、先日ユダヤ一家の逃避行を扱ったジュディス・カーの自伝映画「ヒトラーに盗られたうさぎ」を見たので今度は世界観に入って行きやすかったです。映画を見るにも映画体験は役に立つ。
迫害されたユダヤ民族の視点ではなく、反対に第二次世界大戦中のドイツの価値観で育った少年の視点というのは新鮮です。欧米ではタブーでもあったのでしょうけど、ヒットラー役も演じたタイカ・ワイティティ監督にはユダヤ人の血や欧米人ではない血も混じっているということも、彼の知性やセンスに加えて映画の成功に味方したかも知れません。
ところで、ジョジョの家の壁の中にいたユダヤ人の少女を演じたトーマシン・マッケンジーは、エドガー・ライトの「ラストナイト・イン・ソーホー」のヒロインの俳優さんでした!美少女なのにどこか垢抜けなく見えるところが両作品ともナイスキャスティング。きれいだったりそうでもなかったりと不安定なのでずっと見ていたくなります。
あとナチス少年隊のキャプテンのキャラが良かったです!片眼が義眼でちょっと怪人なんですけどね。
そしてまあ、最近何かと気になるドイツなんですが、この映画のエンディングがボウイのヒット曲「ヒーローズ」でこのシーンが最高にキュンなんですが、何だか歌がちっとも聞き取れない・・・と思ったらドイツ語バージョンがあったんですね!セリフは英語でしたけど、ここで気を使いました。動画見てね。
ボウイはベルリン時代というのがあって「ヒーローズ」はベルリン三部作の中の同名のアルバムでもあります。
ベルリンの壁が壊された1989年の秋、私はロンドンに住んでいてそのニュースをテレビで見てました。若者グループが壁を壊したくらいじゃ東西冷戦が終わるわけないと思いながら。ところが終わったんです。
上に貼った動画の最後にリルケの詩が出てきて、「美しいことも、恐ろしいことも/体験せよ/生き続けよ(略)」という意味のことが、ワイティティ監督のメッセージとして心に残ります。
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