Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

シングルマン

2011-06-25 19:51:00 | その他の映画・ドラマ・舞台
ああ・・・今さらですけど、
・・・良さがわかっちゃった・・・「シングルマン

2009年の作品で、一世を風靡したデザイナー/トム・フォードの
映画監督デビュー作にして傑作ととても話題になりました。

今まで多くの方が客観的な紹介や褒め言葉を語ったでしょうから、
ここはもう、私見としてつぶやかせていただくことにします。

まず、コリン・ファース。



彼は私にとって「アナザーカントリー」のルパート・エヴェレットが好きだった人。
その時は、濃いルパートにばかり目が行ってこの人は「いい男」としては
認識せずに終わってしまいましたが、
最近、「英国王のスピーチ」でもいい仕事してました。
年とともに旨味が増す、ヴィンテージ・ワインのような人だったんだ。
最近流行ってる黒ブチ眼鏡はここから??
いや、永遠のアイテムなのかも。私も25年くらい愛用(とさりげに自慢)。

冒頭、恋人の事故シーン。



そっと歩み寄って雪の上に自分も横たわる、幻覚か夢の世界。
主人公は恋人のいとこの電話によって彼の死を知らされただけだから。
16年の関係もゲイが今よりもっと受け入れられていない1962年。

恋人との思い出のフラッシュバックと、現実の世界での出会い。
通り過ぎるようにわずかの時間を共にする男達も心にしみる。

そのひとりカルロス。



かっこいい!ラテンの危ない男の匂いがするけど、そこもいいし、実は素朴なんです。
もう1枚!



カルロスのおかげでセピア調の男の世界に鮮やかな色が。

時計。


cameraコラージュは「scoptophilia」さんというサイトからお借りしました

主人公が住む家はモダンなデザイナー・ハウスだし、
職場の大学にはヌーベル・バーグフランス映画に出てきそうな女性ばっかり
と、おしゃれな見どころは全編にあふれるのですが、その中でも
目をひくのが時計でした。
1日を描くストーリーなので過ぎてゆく時間を表しているんだけれど
60'sの時計がやたらとカッコいいんです。

死ぬ準備。



ああ~~この図もすごいツボだ!
遺書や保険証書などに並べて、右端にコーディネイトした一式!!
スーツにシャツに靴にネクタイetc.、
これ自分が死んだ後用の、最後のスタイリング。
「ウィンザー・ノットで」とネクタイの結び方の指示のメモも添えて。

と、「ココが良かった」を挙げだすと終わらない。

このような舞台で、感情を出さない大学教授の、
感情を感じるお話です。

ラストはね、いわゆるハッピーエンドではないんだけれど、
私の感情は救われました。そこがまた良かった。

で、2行目に「わかっちゃった」と残念そうに書いたのはですね、
ゲイの愛と同時に「ミッドエイジ・クライシス」も描かれている、と
何かに書いてあったんです・・・・


追記(6/26)

ミドルエイジ・クライシスって、あんまり向き合いたくないテーマもある映画に
なんで抵抗なく入っていけるんだろう・・・とぼんやり考えていたら、ふと浮かびました。
主人公は「おしゃれで容姿もよく英文学の大学教授という知的な存在、
美しい家に住む心優しいアングロ・サクソンの男性である」私だってなってみたいぞ。
トム・フォードさんの出所は知らないのですけど、映画デビュー作の主人公には
彼自身の理想像を据えてもおかしくないでしょう。
そして、異論はあるでしょうけど、
ヴィスコンティの「ベニスに死す」に対する私の世代の回答かなあ・・・と。
次作が楽しみです。


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2 コメント

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美しすぎる映画でしたよね。無駄なシーンがイチミリもなく、完璧トム・フォードの美意識が貫かれ。 (yk)
2011-06-27 11:16:38
コリン・ファース、私も盲点でした!
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Unknown (sofiaandfreya)
2011-06-27 15:00:27
ykさん、この完璧な美意識は、美しいけど、男のものだなと思ってダンナを誘って見たのに、彼は途中で席を立ってしまいました?!ミドルエイジ・クライシスの部分がまだわからないのか?!と思ってみたりしました。
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