下の方に3/16付追記しました。そこはネタばれありです。新作映画じゃないからネタばれなしにと努力してもあまり意味ないかと思い直したのと、実はそこがおもしろかったので・・・・
なぜか突然2004年の映画「華麗なる恋の舞台で(原題Being Julia)」を見ました。10年前のショーン・エヴァンズが出ていると耳にしまして、ジェレミー・アイアンズも出ている、美術監督が「ハワーズ・エンド」と「日の名残り」と同じ人、ということで興味を持ちました。
主演ジュリアを演じたアネット・ベニングはこれで主演女優賞を受賞したりノミネートされた、原作は有名なサマセット・モーム。
売れっ子舞台女優が中年の危機にさしかかった時に若い恋人と出会って・・・という話は、どこかで聞いたようなお話だけれど、後半の展開が楽しめました。
しかしね、もう若くないと自覚した女性が自分にまだ魅力があるかと悩むってのは、なんか現実味がありすぎて私には正直言って辛かったですよ!そしてなぜかアネット・ベニングには感情移入できなくて。彼女はエマ・トンプソンみたいに知的な役なら素敵だろうけど、こういう感情に溺れるタイプに見えないんだもの。。。最初はミランダ・リチャードソン(パレーズ・エンドのヴァレンタインちゃんのママ)にこの主役の話はあったとDVD特典映像で見つけた時に、彼女だったらよかったのに!と思いました。
しかしですね、この映画のすごいところは、彼女を取り巻く男達なのです!
まず、夫マイケルがジェレミー・アイアンズ!!
彼は元俳優で今は劇場経営にビジネスセンスを発揮して、妻で大儲けしているやり手イケメンです。妻がワガママ言っても、それを甘く丸め込んでしまう器です。
そして「ファンで~す」と現れて、積極的に口説いてきた恋人トムがショーン・エヴァンズ!なぜかアメリカ人!イギリス男にはないロマンチックでセクシーな若者という設定なのかしら?それにしては、お茶を入れる仕草が板についていたわ。
長年の友人チャールズ卿がブルース・グリーンウッド(スタトレ/パイク艦長)!!女優である主人公ジュリアが唯一本心を話せる友人。ダンディーとはかくあるべきという、ジェレミーとは違う大人の魅力を発揮してます。彼は後半の要のひとつ!
息子ロジャーも美少年~美声年、トム・スターリッジという俳優さんでこの役にぴったりでした。パブリック・スクールを卒業して進路を考え中。彼もね、ママの坊やだと思っていたら作中だんだんいい感じになっていくのですよ・・・
演技の恩師ジミー・ラングトンはマイケル・ガンボン!!ホグワーツの校長先生に教わったら何も恐くない・・・というのは冗談ですけれども、この先生はジュリアの守護霊のように、行動の指針。
ああ・・・なんて羨ましい環境だろうか。これだけの役者が揃っていれば、どんなストーリー展開になってもどう転んでもいい人生を過ごせると思います。しかし、主人公の大女優だけでなく、若い女優も出て来るのだけどそっちもピンと来ないのですよ。この豪華な男性群に比べてなぜ女優達には華がないんだろう??もしや、スタッフ、特典映像で見たら監督もプロデューサーも男性だったけど、男性が恋愛対象か?とまで思って調べたけれどふたりとも女性のパートナーがいました・・・・ただ、映画キャスティングには関係ない、原作者のサマセット・モームが同性愛者でした。むむむ、ジュリアの演劇の恩師のように、モームは映画製作の背後霊守護霊となって美男を配したのだろうか。だったら女優の方も手を抜かないで欲しかったです。
*ご注意 ここからネタばれありの追記;
ジュリアの心のオアシス、チャールズ卿は貴族のイケメンで、恋人が若い女優に走った時も、傷心のジュリアに寄り添ってくれるのですが、身も心もすがりたくなったジュリアのキスに、「女性を恋愛対象としていない」と告白するのです。ああ、昔から、気の強い恋多き女の理解者はゲイの男だったのですね。で、ラストはジュリアが若い男女におみごと復讐する大円団がこの映画のクライマックスなんですけれど、そのパーティーに彼は若い愛人と思える男性と出席するんです。そこをジュリアの息子が通りかかる時に、そのゲイカップルに視線を一瞬投げるのです。その少し前に、息子はママとの会話で、「僕も自分の道を行こうと決心した」と語ってるんだけど、その僕の道とは視線の先のことだったのかなあ、と私にだけかもしれないけどもうひとつのクライマックスが隠されてたように思うんですよ。原作は1937年に書かれていて、ゲイは有罪だったはずなのでおそらくこの脚色は後に同性愛だとわかった原作者モームへの、製作者のリスペクトかと思ったんですが、はて原作を読んでいないし、息子の視線の意味については公式サイトにも載ってないしで、証拠はないのですけどね。