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Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

セックス・ピストルズ

2022-07-20 16:48:34 | その他の映画・ドラマ・舞台

そもそもセックス・ピストルズは好きというわけではなかった。他のニューウェイヴのミュージシャンに比べて汚過ぎた。のちに安全ピンや穴あきT、拘束服みたいなズボンがチープなコピーファッションとして大流行したのもイメージ良くなかった。

とは言え革新的だったのは確かで、のちにフロントマン=ジョン・ライドンが結成したP.I.Lはジョニー見たさにライブに行ったこともあります。つまり無視できない存在、カリスマだったわけです。

それでディズニー+で「セックス・ピストルズ」というタイトルのドラマを見つけた時、そんなに嬉しいというわけでもなかったけど、1970年代のロンドンの音楽シーンが出てくるかなとチラ見し始めました。

いきなりエリザベス女王の戴冠25周年シルバージュビリーが出てきて、続けて英国の支配階級と労働者階級の姿が交互に映し出され、格差社会という、今、まさに地球規模の問題をタイムワープして見せられたのでした!このドラマ只者じゃない!と思ってググったらダニー・ボイル監督だったのです。

正直、イギリスで労働者階級がノー・フューチャーで、って知識はあっても、昔は日本がまだバブっていたのでパンクの精神が理解できてませんでした。しかし今や50年前のイギリスの労働者階級の若者に共感できる。真面目に働いても貧乏とは。しかも50年前のイギリスは労働党の福祉政策でボロっちい見かけの公営住宅と言っても中に入ると日本のマンションなんかよりよっぽど広くて使い勝手も良い住宅もあったけどそれさえも21世紀の日本にはないんですよ・・・

はい、ボイルと言えば「トレインスポッティング」、世界一汚いトイレをワクワクするものとして見せてしまった監督ですので、ジョニー・ロットンもシド・ヴィシャスも本物より本物らしく仕立ててまして、ドラマ中でもペテン師ぽく描かれてますがあまりいいイメージなかったマネージャー=マルコム・マクラーレンもトーマス・ブロディ-サングスターが演じたおかげで冷酷で軽率なのに憎めない人物になっていました。

そもそもセックス・ピストルズが4人だというのもこのドラマではっきりと知ったくらい、ジョニーとシドしか知りませんでしたが、ギタリストのスティーヴ目線というのはその2人を公平に描くためか?と思ったら、ドラマの原作がスティーブの回顧録だったからでした。

しかしスティーブよりも、どうしても視線が行ってしまうのはジョニーで、俳優はアンソン・ブーン。「1917」に出ていたとのことですが、まったく記憶にない・・・が、本物以上に狂気の目をしたジョニーはとても印象的でカリスマオーラが出てました。役作りについて、姿勢やその細さを形にするのに苦労したそうですが、立ち姿がドラマ中とインタビューでは別人です。ドラマ中でのモヘアニットやスーツの着こなしもとてもカワイイです!

ドラマで知って意外だったのは、伝説のシドの恋人ナンシー、そしていい感じでずっと出てくるクリッシー・ハインドが2人ともアメリカ人だったこと。自国ではみ出し者だった若者が一旗あげようとロンドンに来ていたのはスパークスだけではなかったんだな。アメリカではNYですでにニュー・ヨーク・ドールズなどがパンクムーブメントを起こしていたけど、ロンドンにはディヴィッド・ボウイとかマイノリティのスターが早くから出ていたからでしょうか。

それから衣装担当のヴィヴィアン・ウエストウッドのこともチビチビとちゃんと描いていたのも良かった。のちに息子もデザイナーになったんですが、子供のうちからアートな環境でクリエイティヴィティを発揮してた様子もあったし。

こんなドラマまで見られるなんてディズニーの名前からは想像もできなかった拾い物でした。


オールド

2022-07-17 09:46:14 | その他の映画・ドラマ・舞台

「ジョジョ・ラビット」「ラストナイト・イン・ソーホー」でかわいかったトーマシン・マッケンジーが見たいと思って覗いてみた「オールド」。絶賛待機中の映画「Corsage」のシシィ役、ヴィッキー・クリープスが主演のひとりでびっくり!

「オールド」は予告編を劇場で見て、〜なぜか24時間で一生を終えるほどに時間が早く過ぎてしまうビーチ〜という気持ち悪い設定が印象的でしたが、その時は俳優で知ってる人誰もいない・・・とスルーしてました。

蓋を開けてみたら、ヴィッキーとトーマシンの他にも英国映画やドラマでお馴染みルーファス・シーウェルも出てました。

ヴィッキーはこの役だけ見たらとてもオーストリア皇后とは想像もつかないです。ほんわか和み系でありながら知的で芯の強い女性を演じてますが、普通のおばさんにも見えちゃう・・・多分、私がいつも好んでみる映画には、キャラの濃いキャラクターが多くて、それが私の標準になっているので「オールド」では登場人物たちがみんなソフトフォーカスになって見えるのです。

監督は「シックス・センス」のMナイト・シャラマンなので、本作もラストの種明かしはまあまあギョッとはさせられるのですが、このストーリーでは謎のビーチで時間が異常に早く進む・・・と分かった時点で種明かしを待つ体制に入ってしまうので、ラストのどんでん返しとまでは行かないのがちと残念。

グラフィックノベルズが原作とのことで、セリフに無駄がなく構成は全体に良かったですが、密室で追い詰められ神経がおかしくなり人が1人、また1人と死んでいく・・・というとクリスティの「そして誰もいなくなった」を思い出しますが、クリスティはキャラクターをしっかり描くけどあっさり死んで見つかるのに対し、「オールド」では死に様でキャラを描くようなところもあり、違うものを見て改めて英国ミステリーには死体がゴロゴロしてもなぜかあまり気持ち悪くないのはそういう違いのせいかな、と思いました。

しかし謎のビーチにほぼ1日いて6歳の子供が50代のおじさんになるって非現実的すぎる話なんだから、もっとキャラクターをマンガっぽくした方が逆にリアルに見えないかなあと思ったりも。


ジョジョ ラビット

2022-07-12 20:28:16 | その他の映画・ドラマ・舞台

「ソー ラブ&サンダー」がよかったので、途中までしか見てなかった同じワイティティ監督作「ジョジョ・ラビット」(2019年)を見ました。

「ソー」シリーズや「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」に比べて現実的だからか、あのフワフワ感が今一つ・・・と思って入って行けなかったのですが、先日ユダヤ一家の逃避行を扱ったジュディス・カーの自伝映画「ヒトラーに盗られたうさぎ」を見たので今度は世界観に入って行きやすかったです。映画を見るにも映画体験は役に立つ。

迫害されたユダヤ民族の視点ではなく、反対に第二次世界大戦中のドイツの価値観で育った少年の視点というのは新鮮です。欧米ではタブーでもあったのでしょうけど、ヒットラー役も演じたタイカ・ワイティティ監督にはユダヤ人の血や欧米人ではない血も混じっているということも、彼の知性やセンスに加えて映画の成功に味方したかも知れません。

ところで、ジョジョの家の壁の中にいたユダヤ人の少女を演じたトーマシン・マッケンジーは、エドガー・ライトの「ラストナイト・イン・ソーホー」のヒロインの俳優さんでした!美少女なのにどこか垢抜けなく見えるところが両作品ともナイスキャスティング。きれいだったりそうでもなかったりと不安定なのでずっと見ていたくなります。

あとナチス少年隊のキャプテンのキャラが良かったです!片眼が義眼でちょっと怪人なんですけどね。

そしてまあ、最近何かと気になるドイツなんですが、この映画のエンディングがボウイのヒット曲「ヒーローズ」でこのシーンが最高にキュンなんですが、何だか歌がちっとも聞き取れない・・・と思ったらドイツ語バージョンがあったんですね!セリフは英語でしたけど、ここで気を使いました。動画見てね。

ボウイはベルリン時代というのがあって「ヒーローズ」はベルリン三部作の中の同名のアルバムでもあります。

ベルリンの壁が壊された1989年の秋、私はロンドンに住んでいてそのニュースをテレビで見てました。若者グループが壁を壊したくらいじゃ東西冷戦が終わるわけないと思いながら。ところが終わったんです。

上に貼った動画の最後にリルケの詩が出てきて、「美しいことも、恐ろしいことも/体験せよ/生き続けよ(略)」という意味のことが、ワイティティ監督のメッセージとして心に残ります。

 

 

 


ドラマ版DiscWorld

2022-07-10 10:27:49 | その他の映画・ドラマ・舞台

7日にオーディブルで発売された「Discworld The Colour of Magic」の2008年版テレビ用映画の動画です。

音声のみで聞くときにヴィジュアルが想像できるし、会話のみの聞き取りになるから追いつきやすい。少し前に動画がないか調べた時には最初(パート1)からあってその時5分ほど見ました。

それが今は4パートあるうちの2しかなく、オーディブル発売にあたり削除されてしまったんでしょうかね。なぜあった時に見ておかなかったのか悔やまれます。

ティム・カーリー(ロッキー・ホラー・ショーの人)とクリストファー・リー(声のみ)出演してます。リンスウィンド役はディヴィッド・ジェイソンというおじさん・・・

ご参考までの動画でした。

7/13追記

コメントにてgrandmaさんから教えていただきました。主役の1人ツーフラワー役のショーン・アスティンは「ロード・オブ・ザ・リング」のサム(フロドの親友)でした!視聴意欲倍増情報ありがとうございます。それと、「アメイジング・ワールド」という邦題で円盤が日本で発売されていました。出演者にジェレミー・アイアンズも含まれています。


ソー ラブ&サンダー

2022-07-08 21:52:22 | その他の映画・ドラマ・舞台

職場にコロナ陽性者が出て10日間出勤停止になったため、パンパンで働いています。労働時間はほとんど変わらないのですが1日3人体制のところ2人しかいなくて、朝6:00~6:30に4人のチェックアウト、11:00にチェックインが2人予定されていたのでその準備〜13:20まで来ず、宅配便集荷手配にクリーニングのお客さんと業者受け渡し、問合せメール返事の英訳2通、その他諸々事務処理・・・その合間に90分おきの共有部の消毒・・・

スカッとする映画でも見ないと人生が仕事に忙殺された感に支配される〜!でしょ?

そんな目的にピッタリの「ソー ラブ&サンダー」が本日公開! スカッとしました!

マーベル映画でもいつも苦手なアクション&バトルシーンでさえも、タイカ・ワイティティにかかると違うんですよ。ソー1と2でのジェーンの存在はあまりピンと来なかったので、3でタイカ監督になったらまるでジェーンの存在が無視されて内心ホッとしてたのに復活と聞いて、さあどう出るかという期待も違わずうまく1と2を収拾していました。

大体がヒーローものって大真面目に重くリアルにやろうとすればするほど無理に感じてしまうので、この謎のスピード感と当然の世界観で持って行かれるくらいがコミック原作としてはピッタリだし文句のつけようがありません。

ガーディアンズも出てくるし、グルートは背が伸びたティーンになってるし、山羊も出るし、劇中劇の役者も健在だし、こういうのはプレミアムシートで贅沢に味わってもいいなと初めて思いました。