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Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団

2022-08-31 21:25:20 | その他の映画・ドラマ・舞台

エドガー・ライトの映画は、ほとんど見たと思ってたらこの「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」は知りませんでした。U-nextで配信中でしたので早速見てきました。

2010年の映画で「ホット・ファズ」と「ワールズ・エンド」の間になります。

知識なしで見たら、すごい変な映画でした!

調べたら、コチラはグラフィック・ノベル原作で、バンドマンの主人公がカワイイ彼女を獲得するために元カレ7人と対決しなくてはならない、という、しかも対決はいきなりゲームの世界になるという仕組み。

主人公はアメリカ版のび太君のような、バンドマンではあるけどこれと言って特徴もない弱そうなスコット・ピルグリム。22歳。カナダはトロント在住。

22歳でも「17歳の高校生と付き合ってる」と言ったら同年代の友達が「ヤバいぞ」って雰囲気になりデートはゲーセンで友達は「やったのか?!」って興味津々ではあるけどやっぱり未成年に手を出してはならない前提がある世界です。アメリカの方が日本よりこの点では健全だなあと思う瞬間。

その子がいるのに、めちゃ美人のNYCから来た女の子ラモーナに一目惚れし、ダラダラと二股に。そして付き合い出したら、元カレ(彼女もいる)たちが次々とバトルに現れ出すという謎のゲーム設定です。

キャストにはラモーナの元カレの1人にクリス・エヴァンズや、スコットの元カノにブリー・ラーソンも出てます。

全体がゲーム仕立てとコミック読んでゲームをするのが当たり前の世代がターゲットになっていて、私が好きだったのは、「超能力を持つビーガンの元カレが、豆乳ミルクではなく牛乳入りのコーヒーを飲んで超能力を失う」と言うところ。つまりビーガンを、まるでレベルアップして特殊能力を入手する人種のように描いているわけで、日本と違ってビーガン率の高い北米らしいポッシュな人種のおちょくり方です。

唯一気に入らなかったのは、スコットのトライアングルも最後には解決するのだけど、17歳高校生は中国系カナダ人で、ずっとパワーアップしてスコットを追いかけてきていたのに「I am too good for you.」と綺麗事を言って身をひいてしまうんです。純真だった高校生が恋に狂って大人の真似をして笑い者の役回りとなり、なんでそう都合よく最後に身を引くの???これは彼女が大人しいとされてるアジア系だからではないのか?

ゲームバトルを実写でかわいく作ったエドガー・ライトでも、そのステレオタイプからは脱せなかったのか、元カレに日系人の双子を持ってきたのはセンスよかったのに、惜しい!


海賊になった貴族

2022-08-09 10:22:13 | その他の映画・ドラマ・舞台

想定外に持って行かれたドラマでした。正直言うと、推しが1人も出ていないのにキュン。そんなのあり???

上の写真を見ていただいてもどこに萌え要素があるのか謎ですよね。1番可愛いのはカモメでしょ?って思うくらいなんですが・・・

タイカ・ワイティティ、ローリー・キニアは見たい俳優ですけど推しと言うわけではありません。さらに主人公(写真中央)のスティード役のリス・ダービーも揃って丸顔なんです。丸顔は好感は持っても推しにはならないのが私のシステムみたいでして、唯一長い顔で知ってた俳優は、「ベンジャミン」に出ていたジョエル・フライ。

タイカ・ワイティティはプロデューサーとエピ1の監督もしている、ここに仕掛けがあったようで、1エピ30~40分と疲れなのもいい、全10話の真ん中あたりからこの汚い粗野なメンズワールドに引き摺り込まれました!

と、それは見せかけで、汚い粗野なメンズワールドはある1面からは否定できないけど、もしかして子供番組じゃ?と思わせるくらいに理想の世界がパラレルに存在していたのでした。

今のところ、日本ではUネクストのみの配信です。アメリカでは今年の前半に配信され既にシリーズ2製作は決定しているのが朗報です。

しかし、主役のリス・ダービーってタイカと同じニュージーランド出身の俳優で「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」にも出ていたとのことなのに全く記憶にありません。マーティン・フリーマンの従兄弟みたいな容姿です。この主役を含めほぼ全員おじさんがメインのドラマをこんなに面白く見れるとは、私も許容範囲が広がったのか、いや、やっぱり作品の魅力は、人間の個性と同じだけ新境地のドラマが作れるものなのですね。


グリード ファストファッション帝国の真実

2022-08-05 05:43:17 | その他の映画・ドラマ・舞台

ひとつ前に書いた「ハウス・オブ・トゥモロー」に続いてずっと見たかったエイサ・バターフィールドが出ている「グリード ファストファッション帝国の真実」を見ました。

タイトルから何かファストファッション界の真実を知ることができるんだと期待したら、違いました。ファストファッション界が安価な製品で利益を上げるために途上国の労働力を買い叩いていることはもう20年前から問題になっていること、未解決ですが、この映画で知る新しい真実ではありません。

実はエイサくん以外に私がこの(不愉快そうな)映画を見たかった理由は、モデルとなった企業アルカディア・グループの主力ブランドのひとつだった「トップショップ」が大好きだったからです。

トップショップは初めて私がイギリスに行った1980年代に、オシャレでかわいいのに手が届く値段で売っていた日本にはなかったチェーン店でした。その頃からH&Mはありましたが、同列には脳内に入ってこないほど(オックスフォード・ストリートではど真ん中でその2店が向き合っていました)トップショップはオシャレでした。ZARAはまだありませんでした。

ザラが進出して来ても、所詮、H&Mはスウェーデン、ザラはスペインですから、生粋のイギリスブランドであるトップショップが1番可愛いことには変わりはありません。スィンギング・ロンドン、カーナビーストリートとマリークワント、BIBAなどロックなストリートファッションのセンスを受け継いでました。

しかしそういう良さは2の次な、脅しまがいの商談で仕入れを値切り金の動かし方には熟知したワンマン経営者が、クリエイティブ面にまで口を出し、一介のハイストリート・ショップのやり方でより量産体制とマスのトレンドに絞ったファスト・ファッションの巨大企業に勝とうとしたのが間違いだったのだな、とこの映画を見て思いました。それぞれの個性には適正サイズというものがあるはず。トップショップはエッジーなセンスはあるけどZARAより品質はイマイチで値段が高い。それじゃマスでは勝てないでしょう。

さて映画の話も。

エイサくんはその経営者の息子役で、逆らえないそのワンマンぶりにウンザリし、実の親だから結構辛辣なことも言えるマトモな子に見えました。。しかしラストシーンでは次世代も父親譲りのノウハウでぶっちぎるワンマンぶりを本人が見せ、2010年代以降のトップショップがASOSに身売りしてその黄金期が終わることを匂わせていました。

私が最後にイギリスに行ったのは2020年の2~3月で、まだ寒くてオックスフォード・サーカスのお店でコートを買ったんです。今思うとあの時が見納めだったのに、昔のように店内全部を見ないで店を出ちゃった。。。住んでた時はお金はなくても時間はあったからお店の隅々までついでに隣のミス・セルフリッジも見て何か手頃なものを買ってました。今回これを書くにあたってグーグルヴューをみたら、まだ写真はトップショップでしたが、地図からは名前が消えていました。1980年代から2020年代までオックスフォード・サーカスのランドマークでした。

トップショップはロンドン・ファッションウィークのスポンサーもしていたほどロンドン・ファッションの顔だったのに、ここまで勢力図が塗り替えられるとは2000年代には誰にも想像ができなかったことです。

富裕層でなくてもデザイン性の高いファッション衣料が買えるようにしたファスト・ファッションですが、その恩恵はもっと貧しい暮らしをしてる層の犠牲に成り立っている図はまだ塗り替えられていません。この先、誰も犠牲にならず幸せになる方法が生まれるのはいつになるんでしょう。


ハウス・オブ・トゥモロー

2022-08-03 17:52:44 | その他の映画・ドラマ・舞台

エイサくんの2017年の出演作、日本公開ないなー、英語DVD買おうかな~と思っていた「HOUSE OF TOMORROW」がUネクストで見れるようになっていました。それどころか、カタカナで検索したらその年の東京国際映画祭(これもTIFFというのです)で公開され監督が来日してQ&Aまで開催されてました。行きたかった・・・!

気を取り直してUネクストでレンタルして見ました。

ストーリー:セバスチャン(エイサ・バターフィールド)は両親亡き後、祖母に引き取られホーム・スクールで育つ。祖母は未来派の思想家/建築家/発明家に傾倒し、実際にその作品であるドーム型の住居に住み家を一般見学に開放し布教しつつ収入も得ていた。セバスチャンはそのイベントを手伝い、オーガニックフードを料理して生活に貢献していた。ある日見学に来た同年代のジャレッド(アレックス・ウルフ)と知り合い、パンクロックとドーム外の世界を知る。ジャレッドは心臓病だが父親に腫物に触るような扱いをされるフラストレーションと死への恐怖をパンクへとぶつけている。祖母に内緒でジャレッドにベースの弾き方を教わりライブを目指して自分の解放に目覚めたセバスチャンは、ジャレッドの家で食べた普通のチーズサンドイッチやコーラを祖母との食卓に乗せて祖母から拒絶される。健康上の理由でライブを父から禁止されたジャレッドと祖母の世界を抜け出したセバスチャンは大人に内緒でとある計画をたてる・・・

物語のとおり、高校生の大人への王道青春反抗ストーリーでした。少年ふたりどちらの保護者も子供に良かれと思って行動してますが、若者たちは自分で道を選びたいのですよね。

興味深かったのは、セバスチャン祖母の信条は自然の理にかなった効率的な建築物に住み環境と体にいい食を選ぶという、今ならこれクールな生き方じゃん?と思う環境なのだけど、やはり与えられたライフスタイルは1度否定して人間は正常に成長するのだなあと思ったことです。大人とは自分で判断するものですからね。私だったら「おばあちゃん、カッコイイ!」って思いますけど、自分の保護者だったら別ですね。

殻を破るのに出会ったツールがパンクだったというのも、つい最近ドラマ「セックス・ピストルズ」で確認したパンクとは権力への反抗、という意味に合ってはいました。フム、別に70年代ロンドンじゃなくてもパンクにはなれるんですね。最初は「今さら反抗の手段がパンク?」と思ったんですけど。

このころのエイサくんはまだ縦に長~いヒョロヒョロ体形でとてもかわいかったです。実際にミュージシャンでもあるアレックス・ウルフに本当にベースを教わったそうで、そのリアルシーンが映画に使われているそうです。ピュアな少年が別世界の何かを教わるという役柄にピッタリなエイサくんです。

 

 


世界で一番美しい少年 感想

2022-07-27 00:00:00 | その他の映画・ドラマ・舞台

映画館で観たかったけど叶わなかった「ベニスに死す」のタジオ、ビョルン・アンドレセンのドキュメンタリー映画が密林プライムでレンタル/販売されています。

1番の感想は、少年少女が大人の性的欲望のターゲットにされる事がなぜ犯罪か、こういうことだ、です。未成年は自分の行動の決定権を大人に握られ、嫌でも発言の仕方もわからなく、そもそも何が起こっているのかもわからないまま性欲物欲に搾取されてしまうことがよくわかります。

ビョルンが祖母の強い勧めでヴィスコンティ作品のオーディションを受けたのは15歳。1971年の映画ですので50年前で情報も今のようにはなかった時代の15歳は子供だし、彼には守ってくれる大人がいなかったことがこのドキュメンタリーで明かされました。

お母さんはマルチタレントを持つアーティスト兼キャリアウーマンで、父親の違う子供を2人、同じ年の1月と12月に出産していました。なんつータフなお母さん!と思ったらライフスタイルと同じで人生観も人並み外れ、「死ぬのではなく消える」と書き残して2人の子供を残して失踪、遺体で発見されました。

ビョルンの父は母が秘密にしていたので現在でも不明らしく、つまりもとからシングルマザー家庭で年子の妹と母に残され、祖母の家で育っているので、お婆さんの「ビョルンを有名にして金儲けしたい」野望に逆らえなかったのでした。

50年後の今でもよく口から出てくる「オーケー」という言葉。物心ついた時には諦めが身についていて、いちいち感情的にもならない。生い立ちを知ると、自分の親たちに何が起きて自分になぜ両親がいないのかわからないままわがままを言う大人不在で育ったのだと思えます。

この環境では自己肯定感の育ちようもなく、さらにヴィスコンティとの出会いでマスコットのように大人に連れ回され、訳わからない遠い国日本にまで仕事に来させられて日本語の歌を歌ってアイドル活動・・・

この日本パートは映像が残っているためかなり活用されていて、当時の関係者も健在なので詳しく知ることができます。オスカルのモデルがビョルンだったという漫画家も池田理代子さんの「この世にこんな美しい人がいるんだと思った」という無邪気な笑顔が、感情入らない登場人物たちの中で大変印象的で、芸術に昇華したという意味ではヴィスコンティと同じだけど、そして他でもない私も「ベニスに死す」も「ベルサイユのばら」も好きだけれど、当の本人がやりたくやったわけではなかったことで精神的に深い傷となったと知った日にはなんだか犯罪に加担してしまったような後味の悪さです。

50年前ということでまだ弱者の人権保護意識もなかったのでしょう、「ベニス」の記者会見では「もう16歳だから歳を取りすぎて美しくない」なんて公の場で言ったヴィスコンティ、ブッブ〜〜〜ッ!

しかし日本では現在でさえも、当時ビョルンマネージャーをしたらしいセキさん、英語も話すのに、彼が「ベニス」のスターとして来日した時の熱狂を「白人だからねえ」と属性を理由に一言、ブッブ〜〜〜!!チョコレートのCMに出したりレコーディングと、薬まで飲ませてジャニーズやK-POP並みのスケジュールで使い倒したとは。その話を聞いて「子供の虐待」と泣いた女性に大いに同意。

もしビョルンが芸能人になりたい野心の少年だったら・・・きっとあの冷めた諦めの表情はなく同じ素材でも別の顔になっていてキャスティングはなかったのではないか。運悪く若い時に利用されても現在だったら・・・男性の#MeToo告発者もいる。いろいろなビョルンの他のバースでの人生の可能性が頭に浮かんだが、「世界一美しい少年」として世界中の人を幸せにして本人も幸せになるという道はなかったのだろうか。

50年経ってもビョルンは細身の少年体型で顔も四肢も長いままで優雅だが、あの超長髪と髭の伸ばしっぱなしは大人にならないことで母親に抗議をしているように思えてしまった。