休業中。
山の中は静か過ぎる、時折カラスの鳴き声がこだましています、
ほとんど車も通らない、日曜日で回数も少ない乗り合いバスの音が響くと、
文明の音なんだと安堵感を感じる、ここは平和です。
静かに刻々と迫る夕暮れ。
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休業が長引くと素敵な出会いも無いね。
まだ開店して間もない頃の事を思い出していた。
五十歳くらいの男女の、あまりにも楽しそうな会話が耳に入った、
夫婦じゃないのかなこんなに幸せそうな表情は、なんて思いつつ、
楽しそうですねと話しかけた。
結婚以来夫婦で初めて食事に出掛けてきました、お蕎麦が美味しいです、
子育てや家の事に仕事と毎日必死で、やっと子供が全て教育を終えました、
今日は最高に幸せです、
そんな時の場所に選んでいただいてありがとうございますと伝えた。
男の子を三人も都会の大学に行かせるのもな並大抵ではなかったでしょう、
全て自分たちの事は後回し・・・
ご夫婦が醸し出す解放感の雰囲気がたまらなかった。
お礼にと頂いた手作りのハーブオイル、手荒れに良く効ききますよと、
差し出された手はかなり荒れていらした。
教えられた事は幸せになる料理作りに励まなければと思い、
家で食べられない、そして楽しくなるお店にしなければと感じた事です、
江戸にいる頃は利益の追求ばかりしていた、
ここは山の中、私の好き勝手な人生のお返しをしなければと教えられました。
ごもっともな事を言っている私ですが、ご夫婦の顔を覚えていない・・・、
その後来店してくださっていても、いつもの挨拶しかしていないのでしょう、
なんてこったい❢❢❢。
いつになったらこのはやり病は落ち着くのかね、
また形を変えた悪魔がやってくるのでしょうか。
早くお仕事がしたい、みんなに会いたいです。