最後の一葉。
蕎麦屋の敷地も秋たけなわ、黄色や赤に色づいた葉が風に吹かれてひらひらと舞う、
小鳥たちが厳しい冬の前に、秋を惜しむように枯れ葉といっしょに飛びまわる。
そして私は落ち続ける葉が少し気になる。
最後の一葉。
生きる望みを失った男が最後に葉が落ちたら死ぬのだろうと思っていた、
それを聞いた飲んだくれの絵描きが壁に蔦の葉を描いた物語、
雨風にさらされても落ちない葉を見て生きる望みを抱き元気になった男と、
描いた男は一晩中冷たい風雨に吹きつけられて病気になって死んでしまうのです。
小学校の教科書で教えられ、幾度もこの物語に出会う、
その度に在りようが変わっていく、今日もネットでかいつまんで読む。
高望みを求め続けた老芸術家が今に見てろ傑作を描くと飲んだくれる日々、
生き様を壁を這う老いた蔦に重ね合わせて書いた作品が最後の傑作だったのでしょう、
そう解釈される場合もあると書いてあった、秋の夜長に寂しい物語でしたね。
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満月の白夜。
昨夜は満月、雲の切れ間に真ん丸月、曇りで見えないと思っていた。
真夜中の白く照らされた世界を見ましたか?。
真夜中に大きな物音がして目が覚める、また音が聞こえてくる、
恐る恐る隙間から外を覗いてみた、いつもの見慣れた庭が別世界になっていた、
ここはどこなのと思わせる白い真夜中だった、
黒い小さなものが動いている、百鬼夜行の満月。
またすぐ眠りにつきましたけど。