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ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

ティーン

2022-06-02 11:02:47 | 

中学の詰襟の学生服から、高校の制服はブレザーに変わった。

最初はそれが新鮮で嬉しかった

しかし、時が経つにつれて

革靴は足が痛くなり

ネクタイには首に違和感が募った

 

高校は中学よりも自由だと思っていた

しかし、さして変わりはなく、延々と管理教育は続いた。

cmで格好いい白人がスマートにタバコを吸っていた。

だから僕もそれを真似た。

煙に巻かれながら

「俺はサラリーマンには向いてない」と思ったりした。

 

教室でいつものようにネクタイを緩めていると、一人の女子学生が近づいてきて

「また、だらしない」などと言いながら、緩めたネクタイを締め直す。

「うるせえ女だなあ」と思いながらも、僕はしばらく首の違和感を我慢した。

その女子生徒はバレンタインデーに誰にでもチョコレートを配るような娘だった。

 

ある放課後、女子生徒が泣いていた。

僕は後ろ姿で彼女だと分かった。

泣き声も漏れていた。

僕はその背中に声を掛けられなかった。

しばらく様子を伺い、立ち去った。

僕は人を一面的に見ていた。

若かった、というより幼かった。