中学の詰襟の学生服から、高校の制服はブレザーに変わった。
最初はそれが新鮮で嬉しかった
しかし、時が経つにつれて
革靴は足が痛くなり
ネクタイには首に違和感が募った
高校は中学よりも自由だと思っていた
しかし、さして変わりはなく、延々と管理教育は続いた。
cmで格好いい白人がスマートにタバコを吸っていた。
だから僕もそれを真似た。
煙に巻かれながら
「俺はサラリーマンには向いてない」と思ったりした。
教室でいつものようにネクタイを緩めていると、一人の女子学生が近づいてきて
「また、だらしない」などと言いながら、緩めたネクタイを締め直す。
「うるせえ女だなあ」と思いながらも、僕はしばらく首の違和感を我慢した。
その女子生徒はバレンタインデーに誰にでもチョコレートを配るような娘だった。
ある放課後、女子生徒が泣いていた。
僕は後ろ姿で彼女だと分かった。
泣き声も漏れていた。
僕はその背中に声を掛けられなかった。
しばらく様子を伺い、立ち去った。
僕は人を一面的に見ていた。
若かった、というより幼かった。