幼き日
田んぼでカエルやイナゴを捕まえることに夢中になった末に腹が減り
家に帰る道すがら、レンゲの美しさに足を止めて落とした、魔法のかかった短い影
大人に近づこうとして背を伸ばしていた頃
まっすぐな少女の眼に耐えられず、落とした視線
18の真冬
酸素の味が変わるほど、取り返しのつかないものを落としてしまった
その後といえば、建前や上辺の演技を繰り返すだけ
そして体から、心から溢れた苦しみや悲しみを落としていくだけの日々
本当は、できることなら、自らの中から溢れ落ちた幸福を、他の人に振り撒くようなことをしてみたかった