ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

藤井聡太vs山崎隆之

2018-09-15 20:18:34 | Weblog
昨日、王位戦予選で山崎隆之八段対藤井聡太七段の対局が行われ、山崎八段が138手で藤井七段を破りました。藤井七段の連敗は2度目のようです。100局以上戦って、連敗を2度しかしていない事のほうが驚きですが。

僕は山崎八段も好きな棋士なので、正直、勝ち負けはどちらでもよかったです。ただ、先手は藤井君になればいいとは思っていました。ここのところ藤井君は後手続きで、久しぶりに藤井君が先手となりました。ということは振り駒でと金が三枚以上出たということですね。女流の里見さんの時は、里見さんに先手を取らしてあげたいと思いましたが、山崎さんはトップ棋士ですし、20年ほどプロの飯を食っているわけですから、後手番を持ったところで崩れることはないとみていました。

序盤中盤はほぼ互角の展開、しかし少しずつ山崎さんペースとなり、最後は必死に食らいつく藤井君の攻撃を正確に受け、山崎さんの見事な勝利でした。藤井君も対局前から、難しい将棋になることは予想していたと思います。初対局とはいえ、山崎さんの強さはある程度想定していたでしょう。強い相手には何度負けてもぶつかっていけばいい。彼はまだそういう年齢です。

「矢内さんの事はあきらめます」。これはユーチューブに何年も前から挙がっていた山崎八段の迷言(笑)です。矢内さんというのは女流の矢内理絵子女流五段の事ですね。彼女は当時、美人で実力もありました。山崎さんは、色白、眼鏡、スマートな風貌から「西の王子」と言われていたのですが、反面サービス精神が旺盛でユーモアもあり、自虐的な話で笑わすことも多いですね。

将棋は「平成の坂田三吉」。このキャッチフレーズは、いま自分が思いついたものですが、それくらい独創的で見ていて面白いです。アマチュアには参考にならないというか、プロでも彼の真似はできないでしょう。だから藤井聡太とは違った意味での天才なんですね。
こないだの棋聖戦で羽生棋聖に挑戦した豊島将之八段が初タイトルを獲得しました。何局目かは忘れましたが、豊島さんが、詰みを逃した場面がありました。それまで中立を装っていた山崎さんが、「ああ」という声を発し、頭を抱えました。解説者としては褒められたものではないかもしれませんが、彼の人柄がよく出ていたと思います。実は山崎さんもタイトルを取っていないんですが、同じ関西所属、自分より後輩のタイトル獲得を願うことは誰にでもできることではありません。勝負師としては少し性格がよすぎるのかな。しかし昨日は16歳の少年に対し、「鬼の山崎」として勝負の厳しさを教えました。

敗れた藤井聡太少年。感想戦の後、新幹線で帰ったのだろうか。そして、もしかしたら車内で涙を流していたかもしれない。女優の菅野美穂が高校3年で「走らんか」に出演していた時、新幹線で東京から大阪へ移動中、セリフを覚えながら、泣いていたと聞きました。菅野さんは進学校でほとんどの生徒が大学進学のため受験勉強する中、今日明日のためにセリフを覚える作業をしている自分に不安を持ったのかもしれません。そうした多感な年ごろの心の揺れや、無数の人々の笑顔や涙も新幹線は運ぶんですね。

昔、JR東海のコマーシャルで山下達郎の曲が流れ、牧瀬里穂が恋人に会うために駅のホームへ駆け込むような場面がありました。僕はパニック障害ともわからない正体不明の病気になり、かなり嫉妬していたのではないかと思います。でも今は少し、病気は治ることはなくても、そこに様々なドラマがあったことを想像できる。年を取りましたね。
コメント
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