ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

華奢な背中

2017-07-04 07:24:14 | Weblog
秋の深まった午後の公園
木枯らしは愛しい人の髪を揺らしていた

別れる覚悟は決めていた
病気のことを包み隠さず話そう
病名すら分からないけれど

実際には僕は彼女に「体調が悪い」と繰り返すだけで詳しくは話さず
それどころか、さほど苦しくはないという雰囲気さえ漂わせようとした
ただし、「別れよう」とだけはきっぱり言ってしまう
ありのままに話す勇気などなかった
そして彼女を傷つけることを選んだ

彼女の華奢な背中を呆然と見送り
僕はしばらくその場に立ち尽くしていた

少しして、街を彷徨い始めた
当てもなく歩いていると街は暗く沈んだ
またひとつ、僕は終わった
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