3月25日の日曜日、浮世絵太田記念美術館に行って来ました。
目的は冒頭の葛飾北斎による“虎図”“龍図”双幅の掛け軸の絵を見ること。
この美術館では同日まで“特別展 初公開 ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展”なる催しがなされており、なんとか最終日、それも駆け込みで押しかけたわけであります。
(ギメ東洋美術館は、フランスにある美術館で浮世絵等も膨大に収蔵しているそうです。)
私は浮世絵に関しては門外漢ですが、さすがに葛飾北斎ぐらいは知っていましたね。
当ブログにお越しいただきコメントいただいたこともある“はくはつフクロウ様”のブログに紹介された図柄を見てビビッときて、これはホンモノを見に行くべしとずっと機会を伺っておりました。
太田記念美術館のHPの説明によるとこれらの作品は、
近年ギメ東洋美術館に寄贈された葛飾北斎の“龍図”が、太田記念美術館所蔵の“虎図”と対幅であることがわかり、美術史上でもまれに見る大発見!
北斎没年に制作されたこの双幅は、単に傑作というばかりでなく北斎の最終的な芸術境地を示す重要な作品と言える、とのこと・・・。
知られざる名品が、世界で初めて制作された本来の双幅の姿で展示されていると聞いて、居ても立ってもいられなかったのです。
着いたとき、私同様に北斎の龍虎との邂逅を果たそうとする長蛇の列!
浮世絵もすごく人気あるのね・・・。
待つこと約30分、いやがうえにも期待が高まったところでじっくりと拝見することが出来ました。
感想は“渋い”。
ポスターなどで見る写真は、光を後ろから当てて透かしたような感じじゃないでしょうか?
特に龍の青の色など華やかに見えるけど、現物はずっと落ち着いた色でした。
ホンモノって感じでしたよ。ホントに本物ですから当たり前かもしれませんが。
作品の存在感たるや、やはり他を圧するものがあったこの図版。いいものを見ることが出来ました。
“はくはつフクロウ様”、ありがとうございました!(^^)/
例によって「これは音楽ブログだ!」と意地クソになってネタ探しをした際に、ハタと気づいたどうでもいいことを書いておきますと、北斎没年の作であるというこの龍図・虎図。制作年は嘉永2年とありました。
もちろん西暦も併記してあって、嘉永2年とは1849年。
ショパンの没年だ!!
と思った次第です。何も感嘆符をふたつも付けるようなことではないですけど・・・。
1849年にはショパンは殆ど創作意欲も衰えていたと言われていますが、細かいことを抜きにすれば北斎のこれらの作品が“舟歌”やら“幻想ポロネーズ”とかとほぼ同時代の作品なんですね。
まさかそんなんだとは思いませんでしたねぇ~。
みなさんはどう思われますか?
私は北斎の作品の方がずっと古いと思えるのですが・・・。
モーツァルトより古いかもって。。。例えが変ですかねぇ?
どっちも江戸時代の作品ですけど・・・なんて言い出したらバッハも江戸時代だし。
美術館にはこの他にも、写楽、歌麿、広重、春信など私の知ってる(ほとんど美術の時間でなく歴史の時間で習ったような人だなぁ・・・)浮世絵師の作品がいっぱいありました。
もちろん知らない作家のものもありましたが、何故か知っている絵師による作品の方が遥かに引き立って見えたように思います。
私に見分ける目があるわけではないのですが、“おっ!”と思うとたいてい知っている人の作品なのです・・・。
見慣れてるせいかなぁ~。
ただ、ひとつ言えることは当時は“ベロ藍”といわれる人口顔料ができるまで青い絵の具がなかったらしく、やはり青をふんだんに使っている作品は映えるように思われました。
作者により方法はさまざまなようでしたが、大変に細かい筆づかいで繊細な色のグラデーションを実現して鮮烈な印象を与えてくれていた・・・。
そんな顔料を使えたのは、やはり大家だけだけだったのかな・・・なんて。
写楽や鈴木春信は、そんなの(青絵の具)なくても独特の雰囲気を持ってましたけどね。
ともあれ、結構でございました。
ほとんど持ち合わせがなかったのに記念の図版も買っちゃったし・・・。
冒頭の写真は北斎の“龍図・虎図”図版イメージを携帯で写して掲載したものです。
美術館前に掲示してあったポスターの写真を一旦は掲載したんですが、あまりにも見えづらかったので、この写真に差し替えさせていただきました。
“新発見、北斎の龍虎100年ぶりに出会う”なんていうコピーが深みのある黒字に品格ある色・筆致で書かれているかっこいいポスターですから、その写真を掲載したかったんですけどねぇ~、とっても残念です。
そういえば、こういう企画展で終了後使わなくなったポスターやらチラシってどうするんでしょうねぇ・・・。
この企画のポスターなど本当にカッコいいものなので、お金払ってでも欲しいんですけど。
ちゃんと市販するためのルートに乗せればいいのに。
多分ネット上で売りに出す人もいるんじゃないかな・・・なんて思ったりします。
それが望ましいことかどうかは、ちょっと“びみょ~”ですけど。
さてさて、実は私は北斎の作品を拝むまでに、まったく偶然にですがもう一対の龍虎の絵に出会っていました。
こんな感じ
これらは代々木公園の、代々木国立競技場に抜ける門(橋脚)に描かれているものです。
色づかいといい筆致といい北斎とはまったく違うし、大きさが桁違いにでかいのですが、これはこれでステキなアートだと思いましたねぇ。
右の蒼い虎の絵の中にはゲルニカを髣髴させる人の顔も見えますが・・・。
“北斎の龍虎”も“橋脚の龍虎”も目線がビシッと合って、相応しい緊張感を漂わせているところはまったく共通していると思うのですが、いかがでしょうか?(^^)v