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何清漣:中共の権力独占欲と中国NGOの災難

2009-08-07 15:16:33 | 中国異論派選訳

何清漣:中共の権力独占欲と中国NGOの災難

最近、中国の学術サイト「天益」が閉鎖された、また、これまでずっと政治を避け、公益だけに関わってきたNGOの「公盟」も当局にありもしない「脱税」の罪を着せられ、それに加えて家主の「自発的な」事務室賃貸契約の打ち切りに遭って、閉鎖を迫られている。政治的迫害を「脱税」の問題によって行うとは、「政治問題の非政治化」手法(表面的な非政治的口実による政治的弾圧の意)を最高レベルに発揮させたと言えるだろう。

だが、中国政府のNGOに対する政策からすると、公盟は刈り取ろうとするニラの中の一番伸びた株に過ぎない。必ずや公盟の後にもNGOの犠牲は続くであろう。

●中国政府のNGOに対する警戒心

ここ十数年来、中国の政府機関、大学、研究機関は外国から各種の資金援助を少なからず受け取ってきた。その時は政府に政治的な自信があり、また中国側協力機関はいずれも政府が掌握しているので、それら協力プロジェクトは「国家安全」に影響するとはみなされなかった。外国のドナーからすれば、中国に入るにはそれ以外のルートはなかった。中国当局に言わせれば「外国人の金を使って自分たちの事業をやる」のであり、しかも管理権はわが方にあるのだから、こんなうまい話に乗らない手はなかろう。

だが、2006年から、中国はNGOに対して警戒し始めた。原因は二つある。一つは中国国内の集団抗議事件が数万件を超えたこと、もう一つは独立国家共同体諸国に相次いで「カラー革命」が起こったことだ。中国政府は内外結びついて、政権交代を招くことを警戒し、「カラー革命」防止が主要課題となった。もともと中国は小心翼々と環境保護やエイズなどの分野で慈善活動を行うNGO(外国と中国本土の民間組織を含む)だけを認めてきたが、その活動空間は一層狭苦しくなった。

まず、中国共産党中央党学校の『学習時報』に2006年8月に発表された論文で、当局側の外国NGOを異質とみなす観点が表明された。国営中国新聞社はこの文章に「一部の外国非政府組織は政治的安定を破壊している」という表題を付けて広く配信した。この論文には、当時すでに1000団体前後の外国非政府組織が中国に安定した活動の基礎を築いており、中国に及ぼす影響はすでに無視できないと述べられている。この論文は外国在中NGOの影響を4つにまとめている。一つ目は、国家の安全に対する危険、二つ目は、中国の政治的安定の破壊、三つ目は、腐敗の助長、四つ目は中国で外来モデルを推進する、である。

●NGOの中国における災難

この文章は自国の草の根民間組織には言及していないが、それは作者がそれらを見落としたからではない。単に外国NGOは外交に関わり、外交は大事だからだ。自国の民間組織の生殺与奪はもともと政府が握っているから、わざわざ弾圧前にキャンペーンを張る必要はない。

2007年7月6日、雑誌『民間』が広州市新聞出版局によって「違法出版物」として強制的に廃刊させられた(聞くところでは、摘発の本当の理由はこの雑誌が国内のNGOに情報交流の場を提供していたからだった)。ほとんど同時に、北京を本拠とするある外国NGOが刊行していた中国語雑誌の『中国発展簡報』も廃刊させられた。このニュースレターは中国ですでに11年も続いており、発行者のニック・ヤングは一貫して「中国政府の友人」を自認し、その生き残りテクニックは多くの在中NGOに手本と仰がれていた。だから、この雑誌の廃刊は国際社会、とりわけNGOの間で強い反発を引き起こし、『民間』のほとんど無言の死亡と非常に対照的だった。

●中共はNGOを米国が「カラー革命」を進めるための道具とみなしている

その後の二三年間に、一体どれだけのNGOが死亡したことだろう? 外部からはうかがい知ることができない。だが当局がNGOに公益事業を許さないことは日増しに明らかになっている。2008年の四川大地震発生後、国内の100団体以上の民間組織が四川省に赴いて災害救助に当たった。効率を上げるために「NGO四川地区災害救助共同事務室」を設立したが、たびたび警察の尋問を受け、設立10日後(5月26日)には災害救助活動を停止すると発表するよう追い込まれた。それに続いて、もう一つの国内NGOと国際NGOが共同で設立した「四川5.12民間救助サービスセンター」も5月31日には共同救助行動を中止するという声明を出した。

今も中国のNGOの災難はまだまだ終わっていない。中国政府にとってNGOがどんな存在であるかを見ればその理由が明らかになる。

江沢民がかつて「改革開放を堅持し、対外経済交流を強化すると同時に、敵対勢力の浸透と政府転覆活動を防ぐことに十分注意し警戒しなければならない」と述べたことを模範とし、およそ公益活動を通じて人権理念を実践しようとするNGOはすべて、一律に中国当局によって米国の「カラー革命」策動の重要な道具とみなされている。一部の御用評論はこれについて露骨に述べている。それらの評論は米国のNGOの一部の国での「カラー革命」策動には三つの面があると言う。一つ目は、各国内部の非政府組織に資金援助し、反政府活動を行わせる。二つ目は、マスメディアと社会科学研究機関に浸透し、政権トップの決定に影響を与える。三つ目は様々な人を外国訪問に招き、親西側のエリートを養成する。――ほとんどすべての民間文化交流がこの三つに含まれてしまう。

中国政府がNGOを好まない本当の原因はその権力独占欲にある。かつて中国共産党の権力奪取への決め手の一つは、国民党統治の隙間をすべて利用して発展拡大を図ったことだった。自らの歴史的経験に基づき、中共当局は民間勢力の拡大防止については豊富な経験があり、しかもコストを惜しまず莫大な人力物力を投入し、当局を不安にさせるいかなる要素も萌芽状態のうちに摘み取っている。

権力の独占性の面では、共産党政権は他のすべての全体主義体制を凌駕している。かつてナチスドイツは全ての権力を支配したが、少なくとも宗教は完全に支配することはできなかった。共産党だけが政治・経済・文化・軍事権力を完全にコントロールしているだけでなく、世俗権力によって「神の世界」を一手に取り仕切っている。それゆえ宗教界の人もみな係、課、局などの行政ランクを踏襲して使っている。――共産党の政治文化は他のいかなる社会集団による権力の分担も容認しないと言えるだろう。

かつて、外国NGOが中国に進出できたのは、中国政府に「経済の奇跡」に裏付けられた政治的自信があったからだ。いま、経済の奇跡はすでに過ぎ去り、失業者は増え続け、社会的抵抗はますます激しくなり、チベットと新疆では立て続けに騒乱が起き、政府財政収入の財布は薄くなっている。この情勢に直面して、中国政府はますます政治的自信を失い、それに伴ってNGO活動に対する許容度もますます低くなっている。

原文:http://news.bbc.co.uk/chinese/simp/hi/
newsid_8180000/newsid_8181200/8181211.stm

関連記事:「艾未未リレー対談」
http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/
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(転載自由、出典明示)


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