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于建:社会安定のベースラインを守るために(6)

2010-04-12 14:36:44 | 中国異論派選訳
 私は以上の集団示威事件の分類分析結果に基づき、次のような結論を導きました。現在中国社会は全体としては安定しています。それは中国の統治が統一しており、まだ中央政府に反対する行動が発生していないことに示されています。私たち政治学研究者はまず中央政府の地方に対する統制能力に注目します。中国の現在の中央政府は非常に弱く、中国はもう大変なことになっていると言っている人もいますが、別の分析方法によれば、今現在のところ中央に反対することを主張する地方リーダーは誰一人いません。中国の全ての地方リーダーが、中央で会議が開かれれば、たとえ不満があったとしても中央の決定を断固支持し、断固として誰彼の周りに団結すると態度表明します。支持しないとはいえず、もし言ったとすれば失脚します。これは我が国の政治共同体の要求であり、今は誰も公然と中央が間違っていると言えません。そして、社会に対する統制も機能しています。多くの問題が発生してはいますが、共産党は今でも社会統制能力を失ってはいません。例えばサーズ、豚インフルエンザ、六十周年国慶節。北京に住んでいればよくわかります。共産党はあらゆる力を投入して秩序を維持します。命令一下で、〔社区=居民委員会の〕お婆さんたちが腕章をつけて路地の入口に立って「あんたは何者だ?」と誰何し始めます。庶民が従わないって? 本当にその時になったら、共産党は従わせる能力があります。国慶節期間中、誰かが路地に踏み込もうとしたらお爺さん、お婆さんにすぐにつまみだされていました。共産党はまだ人民戦争を戦うことができます。そこで、私が得た結論は、現在の中国社会はまだ安定しているということです。

 しかし、私の第二の結論はその安定が硬直的なものだということです。硬直的な安定という言葉は私が今年になって発明したもので、自然科学の建築学の用語からの借用です。それには三つの特徴があります。

 第一、本当の社会の安定とは社会の持続的安定であり、国法の持続的な安定ですが、中国は違います。中国の全ての安定は一つの目標のためです。それは政治権力の独占、つまり共産党の権力独占、いわゆる党の指導の堅持が重点中の重点です。「四つの堅持」の他の3つは無くても、共産党の指導は絶対欠けてはならないとされます。他はすべて変えることができても、これだけは変えられません。なぜでしょう? 権力の独占は中国の今の政権の最も重要な特徴です。共産党が権力を独占し囲い込んでいます。他人の進入を許さず、政府権力独占に対する一切の挑戦を許さないことが、共産党のベースラインです。このベースラインが中国の安定と西側社会の安定が別物であることを示しています。西側社会の安定は憲法の持続的安定性、法律の持続的安定性を維持することです。政府は取り換え可能であり、だれが大統領になるかは無関係ですが、国の基本的な立憲政治制度は変えることはできません。中国は基本制度はどうでもよくて、ただ共産党の権力が変わらなければいいのです。いわゆる硬直的安定の第一の特徴は権力の独占です。

 第二点は、本来正常な社会的行為がすべて不安定要因とみなされうることです。例えばデモ行進やストライキという行為が安定撹乱とみなされ、今では陳情までが不安定要因とみなされるようになりました。地方政府の多くの通達が、今の不安定要因は主に陳情であるとし、陳情者を安定撹乱者、陳情を安定撹乱行為とみなしています。陳情は共産党の憲法に定められた権利であり、共産党の陳情条例に定められた権利なのに、なぜ安定撹乱になってしまうのでしょう? それは彼らが中央権力に対する衝撃だけでなく、地方権力に対する衝撃までも一種の安定撹乱とみなし、全ての権力に対する衝撃をみな安定撹乱とみなすようになったからです。これは非常に重要な問題です。

 第三に、硬直的安定による社会統制が主に依拠するのは司法ではなく、国家の暴力、イデオロギー、社会組織に対する統制であるということです。ですから、その安定は硬直的です。もし社会安定を指数で評価するとすれば、中国の社会安定指数は西側の社会安定度よりはるかに高いでしょう。なぜなら、中国は非常に硬直的な安定だからです。ですが、硬直的安定には非常に大きなリスクがあります。いま安定維持のために国家はすでに非常に大きなコストを払い、大きな負担になっています。いわゆる安定のために、北京に陳情に来た人を拘束するために、地方の役人が北京で事務所を構えています。このような安定は国全体を乱しています。ですから、いま社会安定問題は我々にとって非常に厄介な問題になっています。地方政府が安定に関わる問題だと言えば、人々は何もできなくなります。社会の安定が国家政治の最高目標になり、全ての改革、その他一切が安定によって制約されています。ですから、我々が「嫌な思い」をしたくなければ、改革を犠牲にし、法律が国民に与えた権利を犠牲にしなければなりません。なぜならそれらはいわゆる安定に抵触するからです。この安定の唯一の目標は何でしょう? それは御来場の各位がご存じであるだけでなく、実際は多くの人が知っています。今なぜこのような悲観的感情が蔓延しているのでしょう? 皆さんこのような安定がいつまでも続くと思いますか? そんなことはあり得ません。このような安定は必ずや社会に非常に大きな災いをもたらすでしょう。

 ではどうすればいいのでしょう? 胡錦涛総書記は共産党17回大会の時、いろいろな方法を考えました。司法部・公安部・武装警察総本部・裁判所、陳情局もいろいろな方法を考えました。それらの方法の中心思想は社会のいわゆる政権に対する挑戦行為を全て抑え込むことです。その方法はうまくいくでしょうか? 私は無理だと思います。ではどうするか? 一体どうしたら安定を保てるのでしょう?

出典:http://www.chinaelections.org/newsinfo.asp?newsid=169507

(転載自由、要出典明記)

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社会安定のベースラインを守るために(1)
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