【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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またまた価値観のお話

2012年04月27日 | 徒然
香山リカさんの「ほどほど論のススメ」愛読してます。

「現代は、かつてのような「体制vs反体制」「保守vs革新」という単純な図式は成り立ちません」

ま、「保守 vs 革新」とか「右翼 vs 左翼」のわかりやすい対立構造なんて破綻してますよ、なんて私、20年以上前から言ってきたことなんですけど、昨年からの原発論議を見聞するかぎり、いまだに健在なんですね。。。

で、ここが大切です。

「橋下さんがベーシックインカムに言及したとき、支持者のなかに「すべての人を救おうとしているのか! アイツは共産主義か!」という批判が起こりました。手のひらを返したように、橋下さんを偽者呼ばわりする人も出てきました」

「橋下さんの打ち出す数多くの考えや政策に、支持者といえども1から10まで素晴らしいと思えるとは限りません。あらゆる点で納得させてほしいという姿勢が強すぎると、少しでも同意できないことが出てきたときに、一瞬にして憎しみや敵意に変わってしまうのが人間というものです


「内ゲバ」の論理はいまだに健在なわけです。
政治や経済の特殊と思われる事例でも、私たち一人一人の生活と無縁どころか同じこと。
なぜなら、個人も会社も学校も国家も、構成しているのは「人間」だからなのです。
私も長い間、悩んできたことです。何度も何度も失敗し、自分にあきれながら。。。

「以前から、日本人はカリスマ的な人が出現すると、考え方だけでなく生活スタイルまですべての情報を求める傾向があり、それを真似して安心する。これは芸能人に対するファン心理と重なる部分があります。
もちろん、趣味の範囲にとどめるならまったく問題はありません。
しかし、社会問題に対してまでそうした姿勢でいるのはいかがなものでしょうか。テーマごとに深く考え、自分の納得できるものを取捨選択し続けるのは大変ですが、それが自分の考えを形作ることになるのでしょう」

はっきり言いましょう。
会社でも学校でも社会のあらゆるシーンで、“カリスマ”は必要ないどころか、害悪でしかなくなりつつあるのです。

では、何が必要か?
それは価値観の多様性を認め合うこと。
そのためにはバランスのとれた人との距離感が大切で、そういう環境を創り出すこと。
それが無理ならば、思い切って自分の置かれる環境を変えることなのです。

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価値観の衝突と、自分の立ち位置

2012年04月27日 | 徒然
先週末4月21日のさいたまダービーの一件から考えたことを整理してみます。
ミシャ新監督のもと補強も奏功、前節まで2位の浦和レッズに対し、大宮アルディージャは絶望的な戦前予想を覆し2-0で勝利したのでした。

曇天で寒い午後でしたが、開場からキックオフまでの間、私はこんなものを食べてボーっとしてたのでした。

鶏塩ラーメン 600円


ミートカレー 550円

フットボールに関心のない方も、ニュースとかで試合開始前に大きな旗が客席の上でユラユラしてるのを観たことがあると思います。
その旗の中からの光景がこれです。


■4月21日の経緯

18:30キックオフの1時間15分前。乃木坂46様ご登場。
「スカパー!Jリーグ2012」のオフィシャルサポーターとのことでした。
会場では、写真撮影禁止のアナウンス。。。
(これだがら日本のゲーノー界って嫌いなんだよね。ま、遠目にしか映ってないんで大目に見てくれや・・・。それに写真を撮ろうなんて人、私の周りでは皆無でした・・・。私もファンでも何でもありません。ただネタのためにだけ撮りました)
試合中は満員だったのにホーム側はまだ空席が目立ちます。
去年のなでしこジャパン、佐々木監督(初代大宮監督)のときもそうでしたね。
 

で、浦和サポのゴール裏前でブーイング。拡声器で「売春婦!芝踏むな帰れ!」


試合結果はいうまでもありません。
折角、好調の浦和ですが、「ダービーで負けた」という結果にこんな反応(↓)。
私は気分良く帰ったので、色々あったこと、翌日に知りました。

帰宅後、情報収集したのですが、試合開始前からこんな事実があったようです。

▼大宮のDF下平選手によると、大宮の選手が乗ったバスがスタジアムする際、浦和サポからバスに唾が吐かれた

▼それを見た大宮の選手たちは「あれでみんなカチンと来て、『絶対に勝とう!』っていう雰囲気に」とモチベーションアップ。

▼敗戦後、ゴール裏に挨拶にきた浦和の選手たちに、水がまかれた(こちらは自分は確認してませんでした)。
<大宮・浦和>水をまく怒りの浦和サポーター

▼浦和の選手のバスがスタジアムを出るとき、一部の浦和サポがバスを囲んだ。
 監督と阿部選手が出てきて、浦和サポに事情を説明・説得した。
<大宮・浦和>浦和サポーターが横断幕でバスの出庫を阻止(Photo By スポニチ)

▼さらに、Twitterで浦和サポと思われる人物が、下平選手(ガンバ大阪から移籍)に「殺すぞ!」と書きこみ。
▼先取点を決めたチョ・ヨンチョル選手には差別発言の書き込み。

▼その書き込みに対し、下平選手がTwitterでひとこと「殺すぞはやめとき」
 さらに、ガンと闘っている塚本アンバサダーも怒りのコメント。
大宮のプレーヤーが浦和サポにTwitterで注意

<昨日行われた大宮と浦和の「さいたまダービー」は、チョ・ヨンチョルとラファエルがゴールを上げた大宮が、クラブ史上初となるホームゲームでのダービー勝利を達成したが、その熱さは試合後も止まらず、Twitterでは浦和レッズサポーターと思われる人物と大宮アルディージャの選手間でこのようなやり取りがあった>

<Twitterを用いた交流が早くから普及している海外では、選手とサポーターの間で行われるやり取りは日常茶飯事で、いわゆる舌戦的なものや、ファンの行き過ぎた発言を咎めるようなことも多々あるが、今回のようなことは日本では珍しいケース>


個人の心情としては、「下平君! よく言ってくれた」です。

■海外の価値観を全て持ち込めばいいのか?

「フットボールのピッチは闘いの場であり、神聖な芝にチャラチャラした人達が足を踏み入れるべきではない」

私も昔は浦和サポだったので、この価値観を当たり前と思っていたこともありました。
実際、浦和のホームでは、イメージキャラクターが試合前・後もピッチでアピールすることはありません。
大宮はじめほとんどの日本のクラブは、そうではありません。
むしろ、キャラクターによるファンサービスは普通です。


 
こいつ、何年か前、ラーメンを食べてた私のところにつかつかと近寄ってきて、(俺にも食わせろ)とアピールしてきました(笑)。
このアルディ君、先日もセレッソ大阪サポの皆さんに大好評でした。
にしても尻尾でけぇな・・・。

「フットボールの精神」も理解できないわけじゃないですが、“キャラクター王国”でもある日本なんですし、日本流でエンタティンメント化されたフットボールの楽しみ方、っていうのがあってもいいんじゃないか? というのが私の考えです。
まだ生で見たことのないJ2愛媛「一平君」のファンですし。

で、乃木坂46ですが。
個人的にはスカパー、嫌いです。
というかスカパーと大宮アルディージャの蜜月関係=有料契約者の顧客を囲い込もうという「マーケティング」には怒りさえ感じています。
おかげで、テレ玉(テレビ埼玉)の中継が激減しました。
「さいたまダービー」というキラーコンテンツのテレ玉中継がなく、「試合を観たいのならスタジアムに来るか、スカパーと契約せよ」という目的がミエミエの「囲い込みマーケティング」にはうんざりしてます(しかも、、、ナクスタの収容人員は2万人に満たず、ダービーのチケットの入手は大変・・・)。
大宮の集客を目的としたマーケティング課題は、まだまだエントリー層の拡大です。
君たちのマーケティングは間違ってるんじゃないかな!?


でも、スカパーというステークホルダーの意図で、大宮のホームゲームのイヴェントに出演することになったのが乃木坂46。
彼女らには罪はありません。
2ちゃんねるの書き込みにもありましたが、15歳とかの女の子のパフォーマンスに、いい大人が差別的言辞を弄したり、妨害したりというのは何とも大人げないな、、、と思います。
しかも、浦和にとってはアウエイです。
(何年か前、やはり浦和サポが新潟で、SMAPの中居某にブーイングしたと聞きましたが、それは中居某が読売ジャイアンツの話をしたからだそうです。それは仕方がないです。中居某が「勘違い野郎」だったからです。読売ジャイアンツファンの皆さま、気をつけませう・・・)

マスコミ報道では浦和サポの妨害は酷かったとの論調ですが、現地にいた感想をいうとこんな感じです。
たしかに耳障りな妨害もありましたが、浦和サポ全体として統一した行動ではなかったと私は感じました。
むしろ、この日のゲーム・プレゼンターである「ステラタウン」の社長のご挨拶へのブーイングに怒りを感じました。
実際、乃木坂46のパフォーマンス中、静観している人達のほうが圧倒的に多かったのを確認しました。

浦和の選手だってこんな感じです。


ま、こんな写真もあるんで浦和の一部サポはお怒りだったのかなと。
でも、いくら試合前だって、いいんじゃやないですかね?

「ダービーは戦争である」

なんて声も聞きます。
しかし、例えばスペインなどは、フットボール以前の歴史で実際の戦争・紛争があったわけで、現代になって「代理戦争」という形でフットボールの試合があるわけです。

「リアルの戦争・紛争」⇒「フットボール」

という図式があるわけですね。
「代理戦争」ってたしかに物騒ですけど、リアルの戦争よりははるかに平和的です。
いっそ、世界中の戦争が、フットボールとかスポーツの試合で肩替りしてくれるのなら、世界は平和になるんですけどね。

で、日本で「フットボールは戦争だ」という人達の思考は、海外の逆の図式なわけです。

「フットボール」⇒「戦争」

日本国内で内戦ってありましたっけ?
せいぜい、明治維新後の西南戦争ぐらいじゃないですか、大規模なのは。
しかも、薩長土肥の日本政府の仲間割れで、地域間紛争ではありませんでした。

国内で仲が悪い地域ってどこでしょうか?
私の知る限りでは、青森県の南部と津軽。
長野県の北部と南部。
長州と会津とか。
山梨県民は「武田信玄」と呼び捨てにはしません。今でも「信玄公」と呼びます。しかし群馬県では「信玄」は侵略者であり嫌われています。
ほかにもあるかと思いますが、せいぜい日本ではそんなもんでしょう。

さいたま市でも旧大宮市と旧浦和市はカラーが全く違います。
でも、欧州のように「ダービー=戦争」という図式を持ち込むのは無理がありすぎます。
フーリガン的な行動もそうですが、元々、争いの火種のないところに、そういう価値観を持ち込んで自らを高揚させるのはどうかな? と思わずにはいられません。

ワールドカップの世界で通用するようになるには、フットボールの文化の醸成が必要です。
クラブもサポーターも欧州のようなノリと空気感が必要かもしれません。
しかし、ポジとネガ全てを輸入すればいいということはありません。
日本の風土・土壌にカスタマイズすべきです。
ワールドカップで醜態をさらしたチームの監督の命が狙われるブラジルのような国にはなってほしくはありません。
Jリーグ観戦を始めてからの私の基本スタンス、それは「相手選手、サポーター、クラブへのリスペクト」です。
このスタンスが自分の中でブレるとき、観戦は楽しくないものになってしまいます。

「フットボールのために国家がある」というのはクレージーな倒錯です。

たとえワールドカップで優勝するような国にならなくても。
いや、日本人の流儀で世界を制覇することも可能かもしれません。
女子の「なでしこジャパン」は、それを達成しました。

■「一部サポーターの暴挙」といういい方

「一部サポーターの暴挙」というのは、マスコミはじめ多くのサポーターコミュニティで使われている言葉です。
便利な言葉ですね。
サポーター・ファンの数が増えるほど色んな人がいるのは当たり前です。
数年前、さいたまスタジアム2002に向かって、雨の中を歩いているとき、車が停まってくれて「乗ってきませんか?」と声を掛けられ、ありがたく同乗させていただいたことがありました。
「浦和レッズサポーター」にもこういう親切な方はいます(開始時間ギリギリだったので、親切なその方は少なくともクレイジーなサポではありません)。
土曜日の一件でも、選手に水をかけたりバスを囲んだのは数十名に満たない少数派だったはずです。
しかし、そういう「ごく一部」の人達でも、クレイジーな行動をとれば、サポーター・ファン全体がネガティブにラベリングされてしまいます。

で、相手選手への差別的発言や、施設での破壊行為に対しては、クラブから厳重な処分(観戦禁止など)が科されることもありますし、刑事罰が適用されることもあります。
しかし、こういった行為は一向になくなりません。
それはなぜでしょうか?

“上からの罰則”だけでは、あらゆる犯罪がなくならないのと同じことです。
今まで、ことが起こるたびに、「一部サポの暴挙」ということで、話が済んでいた感が否めません。
肝心なことはサポーター全体とクラブが一体となって、内部から一部のクレイジーな行為を排除することでしょう。
私の肌感覚では、バス囲みに対しても8~9割の浦和サポは否定的です。

もちろん難しいし時間はかかります。
一フットボールファンの私が今まで語ってきたのは“虫の眼”の視点からです。
“鳥の眼”でみれば、欧州や南米のフットボール文化を取り入れ、スタジアムでごく一部の熱狂サポーターがなにかしでかし、それが内外から批判を受ける、という価値観の衝突も一つのコンテンツであるからです。
しかし、浦和に限らず、Jリーグのクラブでこんな問題がマスコミで報道されれば、フットボール観戦を楽しむという文化の醸成はますます困難となってしまうでしょう。
決して、サポーター内部の内紛など期待していません。
クレイジーな熱狂が“かっこいい”と評価されるような環境を、時間をかけて改善していく「雰囲気」と「空気感」の醸成が必要なのです。

誤解のないように言っておきます。
たしかに先週土曜日の試合開始前と試合終了後、前記のような事態が発生しました。
しかし、実際、現地に足を運びましたが、決して身の危険を感じるようなことはありませんでした。
子供連れの皆さんも安心して楽しめるのが、日本におけるフットボール観戦なのです。

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