たまたま使われている曲が、盗作ではないかと疑われ、結局、酷似して
いると言われていた岡本真夜の『そのままの君でいて』がこのPRソング
の曲ということになったわけなんでありますが、なんだかちょっと
しっくりこないニュースでした。詳しい経緯は、私の昨日のブログ記事
上海万博のPRソング疑惑と岡本真夜をご覧ください。
さて、今日はこのミュージック・ビデオを細かく吟味していきましょう。
ビデオ動画は昨日の記事に貼付けてありますのでそちらでご覧ください。
音楽の件は、上海万博のPRソングの作曲者が日本の岡本真夜ということ
に正式になるのですが、中国の国家的な大イベントに日本のアーティスト
が起用されることは革命的な出来事です。岡本真夜さんにとっては
棚からぼたもち、ひょうたんからコマの出来事なのでしょうが、
中国側からみたらちょっと屈辱的な感じでしょうね。これで中国に
ひがまれたりしても困るんですが。是非、岡本真夜さんを応援して、
上海コンサートでもやってもらいましょう。
しかし中国の作曲家の方、知的所有権の侵害はいけませんよ。
(と言っても自分のブログでも有名人の写真を勝手に使ったりして
いるので、えらそうなことは言えないですが)
で、一番上の写真は、ご存知ジャッキー・チェンです。上海万博の
イメージ大使の一人です。香港人ですが、中国大陸では老若男女を問わ
ず圧倒的な人気がありますね。
彼は国際的にも知られているのですが、他の人たちはあまり知らない人
もいます。ちょっとビデオに沿って誰が誰だか見ていきましょう。
まずオープニングで登場して挨拶をする人、これは誰でしょうか?
この人も世博形象大使(イメージ大使)の一人ですが、郎朗(ランラン)
という中国を代表するピアニスト。1982年遼寧省瀋陽出身。世界の有名
オーケストラとの共演を続けている天才ピアニストで、彼の書いた自伝は
中国でベストセラーになったのだとか。彼の英語のウェブサイトはこちら
です→http://www.langlang.com/
その次に出てくるのが、バスケットボールの姚明(ヤオ・ミン)。
1980年上海生まれで、主にアメリカのNBAで活躍していますが、身長が
229cmの巨人。大陸では大人気のスポーツ選手です。北京オリンピック
でも彼のいた中国チームはベスト8にまでなっていたんですね。
さてジャッキー・チェンの次に出てくるのは、この女性。
誰?って感じですが、実は中国では有名な人気テレビキャスターで、
名前は楊瀾(ヤン・ラン)と言います。1968年生まれ、議員でも
あり、衛星テレビ局の経営者でもあり、出版したエッセイ集はベスト
セラーになっているんだそうです。でも、歌は本業じゃないんで、
ここで歌うのはちょっと無理がありましたね~。
そして次に出てくるのは、アンディー・ラウ(劉徳華)。
1961年生まれの香港の俳優・歌手です。ジャッキー・チュン
(張学友)、アーロン・クオック(郭富城)、レオン・ライ(黎明)
などとともに四天王と呼ばれておりました。映画『墨攻』や
『三國之見龍卸甲』など数多くの映画作品に出演しています。
以下の私の記事も彼が出演した映画に関するものです。
三国志の趙雲を主人公にした映画香港で封切り
ところでこの上海博のミュージックビデオの中のアンディー・ラウ
さん。あまり冴えない感じがすると思うのは私だけでしょうか?
彼のファンの皆さんには失礼かもしれませんが、衣装もなんか変だし、
帽子も変、ライティングも、カメラアングルも変。何か眩しそうで
顔の表情が上手く撮れていない。ちゃんとした歌手なのに歌が上手に
聞こえない。ミキシングの問題?ちょっとこれ演出が駄目なんじゃ
ない?と思ってしまう私でした。別に彼のファンであるわけでは
ないんですが...これも残念。
さてしばらくすると見かけないおっさんが登場してきます。
このおっさん誰?しかも歌がひどいじゃん。とお思いになるかもしれ
ないんですが、この人はかの有名な李寧(李宁、リーニン)氏です。
1963年生まれの体操選手で、80年代の中国体操界をリードしていた
人物。1984年のロスのオリンピックでは、ゆか、鞍馬、吊り輪で金、
跳馬で銀、男子団体総合で銀、個人総合で銅を取ったすごい選手だっ
たのです。大先輩だと思っていたら私よりも年下
1988年のソウルオリンピックの後、現役を引退。スポーツブランドの
李寧有限公司を立ち上げます。ブランドはLi Ning。ここのロゴは
ちょっといかにもナイキのパクリという感じで、ここでもちょっと
知的所有権抵触の雰囲気が漂うのですが、このブランド、スポーツ
メーカー市場では中国で、ナイキ、アディダスに次いで第三位のシェア
を誇っています。こちらがそのロゴ。
よくまあナイキが何も言わなかったと思えるようなロゴデザイン
ですよね?
日本ではこのブランドほとんど見かけませんが、先日シンガポールに
行ったときにショッピングモールのIONの地下にショップがありました。
中国ブランドとは思えないほどオシャレ。バドミントンなんかは、この
ブランドのウェアを着たらちょっと強く見えそうな感じです。
ところで、この李寧(リーニン)さん、実はみなさん過去にテレビで
ご覧になってます。そう、あの北京オリンピックの開会式での聖火の
最終ランナー。スタジアムの空中を駆け抜けていたあのおっさんはこの
おっさんだったんです。しかし、このビデオで歌ったのはまずかった。
この歌の話が来ても断るべきだったんですよ、このおっさん。
申し訳ないんですけど、声量はないし、音感もないし、かっこよくない。
もともと歌手じゃないんだから無理することなかったのに。しかも無理
やり歌わされた歌が盗作疑惑の歌だったなんて、踏んだり蹴ったり、
泣きっ面に蜂です。こんなに恥ずかしくては、大使の役は「離任」
したいはずです。
そしてこのおっさんの後に出てくるのは、この人。
劉翔(リュー・シャン)です。1983年上海生まれのハードルの選手。
アテネの110メートルハードルで金、北京では期待を背負いながら、
スタート直前に脚の故障で競技離脱をした悲運のアスリート。
彼のことは私のブログの次の記事で書いてありますのでご参照を。
劉翔(リュウ・シャン)はペガサスだったのだろうか
(しかし自分はいろんな人のことをこのブログで書いてるなあ、
と自画自賛)
香港の家の近所の風水屋(?)の店先に劉翔の運勢の分析が貼って
ありました。一時挫折をしたけれど強運の持ち主のようでした。
しかし、このビデオの静止画での登場はちょっといただけない。
翼を広げて飛ぶような(まさに自分の名前の翔の)恰好はちょっと
あほっぽい。先のリーニンさんもそうなんですが、彼もこういう
安易なコマーシャリズムに安っぽく利用されてはいけないんじゃ
ないかと思います。
あと一人忘れていました。こちらです。
女優の李冰冰(リー・ビンビン)です。1976年ハルビン生まれ
の彼女は、中国の映画、テレビで活躍する人気女優です。最近
では、映画「風声」の好演で、台湾のアカデミー賞こと「第46回
金馬奨」で「最優秀主演女優賞」に輝いています。
この映画はDVDで見ましたが、第二次世界大戦中の中国で日本の
憲兵が中国人スパイを探すという暗く緊張感のある映画でした。
こちらが香港版のビデオクリップです。
しかし上海万博のPRビデオの中の彼女は正直あまり綺麗に撮れて
いません。メークも、ライティングも、カメラワークも、衣装も
どれもあまり良くない。彼女はもっと美しく魅力的に見せられる
はずです。
しかも彼女は本来、歌手ではないので、こうやって歌わせるには
そもそも無理があるんですよね。
とういことで総合的に評価させていただければ、このPRビデオは
ちょっと残念な評価を与えざるをえません。音楽の盗作問題で
マイナスポイントがすでに付いてしまいましたが、ビデオ映像の
作り、人選、演出など残念ながらあまり満足のいくものではあり
ません。せっかく作っていただいたんですが、それにかなりの
制作費をかけていただいたんですが、ちょっと残念です。
これはおそらく北京オリンピックのときのPRソングを意識して
いたのだと思いますが、あの映像のインパクト、タレントの質、
芸術性の高さなどは、素晴らしかったと思います。それでは
最後にこのミュージックビデオをご紹介したいと思います。
やっぱ、こっちのが全然いいわ~。
よろしければ、こちらもついでによろしくお願いします。
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