普通の人と違う感性だからか良かれと思いやったことが裏目に出る人生を歩んできたので、つい誰かを助けることに消去的になる。
小さい頃のある夜、劇場型の母は可愛がっていた兄にも激しく怒っていたことがあり私は慌てて百字帳に漢字を書いてリビングまで走り、ほら漢字書いたでーと、母親に見せに行った。ちらっとアニメをみたらバツが悪そうに俯いて、母は顔を歪めながらコイツでもこんなにすんねんで!と兄に言って収まった。私は兄を助けて良かったと思いながら、人が怒られてる時を狙って褒められたい嫌なヤツだと思われているんだろうなぁとも感じていた。その後もずっとおまえは変だ、とよく言われ嫌われていた。根本的には母が悪いと思っている。
今、なんだかニーチェのニヒリズムを知り前向きになれているのか、その時の私が愛おしい。兄を助けようと、ものすごい勢いで母が満足する数の漢字を書いた、空気を読まず怒り狂う母に話しかける勇気、その後どうせ嫌なヤツだと思われているんだろうと嫌われ者に相応しい振る舞いをした。兄は今天国でも地獄でもないところにいると思うけどなんか、あの時はありがとうって言ってくれている気がする。