琵琶湖西湖地区にある老人介護施設もみじ園で人工呼吸器を付けていた100歳の老人が心肺停止状態で発見され死亡した事件をめぐり、施設の看護師、介護士らと警察、雑誌記者が錯綜するミステリー小説。
人工呼吸器に誤作動・アラーム不作動などあり得ないというメーカー側を崩せないために、当直の介護士を責め立てて犯人に仕立てようと強引な取調を続け、一方で妻の臨月・出産直後の時期に取調対象の介護士を夜間に呼び出して慰みの道具にする警察官濱中圭介というグロテスクな存在を、相手の介護士豊田佳代のマゾヒスティックな性向を描き出すことで被害・加害色を薄め、全体として正当化して行くことに、大きな違和感・不快感を持ちました。
時代がモンスターを生んで行くような気持ち悪さが書きたいテーマで、濱中のような人物はむしろその中で小物という位置づけなのでしょうけれども、公権力の濫用に我慢がならない身には印象の悪い読み物でした。

吉田修一 新潮社 2020年10月30日発行
「週刊新潮」連載
人工呼吸器に誤作動・アラーム不作動などあり得ないというメーカー側を崩せないために、当直の介護士を責め立てて犯人に仕立てようと強引な取調を続け、一方で妻の臨月・出産直後の時期に取調対象の介護士を夜間に呼び出して慰みの道具にする警察官濱中圭介というグロテスクな存在を、相手の介護士豊田佳代のマゾヒスティックな性向を描き出すことで被害・加害色を薄め、全体として正当化して行くことに、大きな違和感・不快感を持ちました。
時代がモンスターを生んで行くような気持ち悪さが書きたいテーマで、濱中のような人物はむしろその中で小物という位置づけなのでしょうけれども、公権力の濫用に我慢がならない身には印象の悪い読み物でした。

吉田修一 新潮社 2020年10月30日発行
「週刊新潮」連載