人が死んだにもかかわらず加害者の刑が軽く、遺族が納得できない思いを持っている事件の加害者がナイフで刺されて殺害され、しかし遺族には確かなアリバイがあるという事件が3件立て続けに発生し、警視庁捜査1課の係長となっていた新田らは交換殺人を疑う。3遺族の行動確認を続ける中で、3遺族がそろってクリスマス・イブにホテル・コルテシア東京に宿泊予約をしていることを知った警察は、4件目の殺人事件の発生を阻止するため、新田を中心にホテル・コルテシア東京に潜入捜査を開始するが…というサスペンス小説。
「マスカレード・ホテル」シリーズの第4作または長編第3作。
警察の利害とホテル側の利害、多数の客等がゆきかう中での警察の焦り、その中で次第に惹かれ合う新田と山岸、終盤に待つ意外な展開…といったこのシリーズのお約束が手堅く書き込まれ、大きな驚きはないものの静かな満足感を与えるできになっていると思います。
人が死んでいるのに刑が軽すぎるというマスコミが大好きな問題提起も、糾弾一方というところからは少し外したところもあり(もちろん、反対には行きませんが)落ちついた印象を持ちます。「弁護士も無力だと痛感した」(327ページ)は、同感するところと外野席からそんなこと言われたくないという思いが半ばしますが、続けて「結局のところ裁判なんて、罪の重さを賭けた検察と弁護側のゲームに過ぎないと思った」(327~328ページ)などと言われるのは心外です。世間からはそう見られているのであれば、業界として反省すべきことはあるのでしょうけど。
東野圭吾 集英社 2022年4月25日発行
「マスカレード・ホテル」シリーズの第4作または長編第3作。
警察の利害とホテル側の利害、多数の客等がゆきかう中での警察の焦り、その中で次第に惹かれ合う新田と山岸、終盤に待つ意外な展開…といったこのシリーズのお約束が手堅く書き込まれ、大きな驚きはないものの静かな満足感を与えるできになっていると思います。
人が死んでいるのに刑が軽すぎるというマスコミが大好きな問題提起も、糾弾一方というところからは少し外したところもあり(もちろん、反対には行きませんが)落ちついた印象を持ちます。「弁護士も無力だと痛感した」(327ページ)は、同感するところと外野席からそんなこと言われたくないという思いが半ばしますが、続けて「結局のところ裁判なんて、罪の重さを賭けた検察と弁護側のゲームに過ぎないと思った」(327~328ページ)などと言われるのは心外です。世間からはそう見られているのであれば、業界として反省すべきことはあるのでしょうけど。
東野圭吾 集英社 2022年4月25日発行